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VOL.484 妊娠スイッチを探していませんか?

2012年09月23日

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 妊娠しやすいカラダづくり 第484号  2012年9月23日発行

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 お子さんを望まれるカップルを応援します。

 なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、悩みを克服する
 ために、"二人で話し合い、考えを整理"して、"自分たちにふさわし
 い答えを出す"上でのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な
 視点で、毎週末、配信しています。


━[今週のテーマ]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼編集長コラム
妊娠スイッチを探していませんか?

▼編集後記


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 編 集 長 コ ラ ム
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 妊娠スイッチを探していませんか?
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妊娠中に脂っこい食事を摂り過ぎると、生まれた娘や孫娘は乳がんにかかり
やすくなるとのショッキングなニュースが報道されています。アメリカのジ
ョージタウン大学の研究者を中心とするチームがラットを使った実験で確か
めた結果とのこと(*1)。

妊娠中のマウスを2つのグループにわけて、一方には健康的な食事を、もう
一方には高脂肪の食事をさせたところ、高脂肪食の母親から生まれたメスの
ラットは健康的な食事をしていても乳がんにかかりやすかった、そして、同
様の影響は、その次の世代にまで引き継がれたというのです。

妊娠中の高脂肪食が、娘のみならず、孫娘の乳がん発症リスクまで高くする
とは、驚くばかりです。

母親の子宮内の環境が子どもや孫の遺伝子の発現にまで影響を及ぼすという
わけで、例の「エピジェネティック」な変化によるものと考えられてるよう
です。
http://www.akanbou.com/mailmagazine/20120520.html

この実験では発ガン性物質を食べさせて、乳がんにかかりやすいかどうかを
確かめていることから、この結果をそのままヒトに当てはめることには無理
があると断ってはいます。

ヒトでも同じことが言えるのか、確かめようもないのでしょうが、「新しい
命が育まれる環境の重大さ」ということについては、ヒトでも全く同じはず
です。

新しい命が育まれる環境の重大さ。

それは、生まれた後でも、妊娠中でも、そして、たとえ、妊娠前であったと
しても同じことです。

妊娠、あるいは、受精の前でも、母親になる女性の体内の栄養環境は、新し
い命が発生し、成育することに、決定的な役割を担っています。

その証拠に、アメリカのハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、アメリ
カの女性看護師を対象とした大規模な疫学調査で、妊娠前の生活習慣と不妊
症のリスクの関連を明らかにしています。
http://www.akanbou.com/news/news.2007110201.html

また、オランダのロッテルダムにあるエラスムス大学の研究チームは、妊娠
前の食生活が体外受精の治療成績に明らかな影響を及ぼすことを確かめてい
ます。
http://www.akanbou.com/news/news.2010030901.html

さらには、ニュージーランドのオークランド大学の研究チームは、妊娠前の
食生活と子宮内胎児発育遅延(SGA)リスクに密接に関連していることを
報告しています。
http://www.akanbou.com/news/news.2010102201.html

妊娠(受精)前の子宮の栄養環境は、卵の成熟、受精卵や胚の成育、そして、
胎盤の形成、さらには、胎児の器官形成にまで決定的な影響を及ぼしていま
す。

ほ乳類の母親の体内(胎内)は、植物にとっての土壌や天候に相当するのだ
と思います。

種をまいた後に私たちにできることは、水や光、養分などが不足しないよう
にしたり、雑草をとったりすることだけです。

思うように授からない期間が長くなると、無意識に「妊娠スイッチ」を探し
て、スイッチをいれようともがくような気持ちになるかもしれません。

でも、新しい命は自ら成育するもので、妊娠はその通過点にしか過ぎません。

私たちにできることは、成育に適した環境を整えること、言い替えると、赤
ちゃんがすこやかに成育できるような体内の環境をつくることです。

もちろん、そうすれば、確実に妊娠、出産出来るようになるというわけでは
ありませんが、どの程度なのかは定かではないものの、その確率は高くなる
はずです。

そして、何よりも自分や自分の家族の健康という財産が手に入るのです。

進む方向は、間違いなく、「妊娠スイッチ」の探索ではなく、「自分たちの
体内環境」の向上です。


〈文献〉

*1)High-fat or ethinyl-oesrajiol intake during pregnancy
incresce mammary cancer risk in several generations of
offspring
Sonia de Assis et al.
Nature communications Published 11 September 2012

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 編 集 後 記
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日本産婦人科学会では、毎年、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療の実
施状況を発表しています。それは、高度生殖医療を行っていることを登録し
ている医療機関からの報告に基づいて、治療方法別の治療実施数や妊娠数な
どを公表しています。

先日、2010年分が集計され、公表されました。

それによりますと、2010年に実施された体外受精や顕微授精の治療周期
総数は、24万2161周期で、前年に比べて14%増加しています。

そして、それによって、2万8945人の赤ちゃんが誕生しています。

治療周期あたりの出産率は12%です。

また、その年の新生児出生数は107万1304人ですから、ちょうど3%、
つまり、新しく生まれた赤ちゃんの33人に1人が体外受精で生まれている
わけです。

人工授精や排卵誘発剤の使用などの一般不妊治療を受けて生まれた子どもも
いれれば、もっと、割合は高くなるはずです。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.484
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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