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VOL.461 体外受精を受けた夫婦の20年後の関係

2012年04月15日

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 妊娠しやすいカラダづくり 第461号  2012年4月15日発行

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 お子さんを望まれるカップルを応援します。

 なかなかお子さんが授からないことに悩むカップルが、悩みを克服する
 ために、"二人で話し合い、考えを整理"して、"自分たちにふさわし
 い答えを出す"上でのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な
 視点で、毎週末、配信しています。


━[今週のテーマ]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼今週の更新情報

▼トピックス
体外受精を受けた夫婦の20年後の関係

▼ヤングのコーナー
ステップダウンから再度の転院

▼妊カラ編集室から
「妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング」

▼編集後記


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 今 週 の 更 新 情 報 一 覧
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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■妊娠報告(2012年4月10日)

「卵巣嚢腫摘出、AMHが3でも5回目の採卵後の凍結移植で」

卵巣嚢腫の摘出手術のため年齢以上に卵巣機能が低下したにもかかわらず、
5回目の採卵で妊娠された39歳のけいこさんからの妊娠報告です。

http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2012041001.html
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■ドクターに訊く(2012年4月9日)

「ストレスフリーの不妊治療を目指して」

治療で感じるストレスは治療成績を低下させてしまいかねません。そこで、
自らも不妊治療を受けてお子さんを授かった経験をお持ちの不妊治療医でい
らっしゃる、京都の田村秀子婦人科医院院長の田村秀子先生にストレスに負
けない不妊治療という観点でお話をお伺いしました。

http://www.akanbou.com/oshiete/dr_tamura/index.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


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 ト ピ ッ ク ス
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 体外受精を受けた夫婦の20年後の関係 
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不妊治療は始めるよりも、やめるほうが難しい、、、。これまで何人もの女
性から聞いた言葉です。

◎不妊治療をやめるとき

今週の「妊カラ編集室から」では、「妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生
きる女のライフプランニング」という本を紹介しています。その本の中で、
41〜43歳の3年間不妊治療を受けたミサキさんが不妊治療をやめる決断
を下したときのことが以下のように書かれています。そのまま抜粋します。

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「チャレンジした」という事実が、子供のいない人生を受け入れることをラ
クにしてくれたと彼女は言います。

治療を諦めるときにこう考えたそうです。

1)子供がいない自分は不幸だという思いこみはやめよう。
2)子供を育てること、あるいは「母になること」を自分のアイデンティテ
  ィとするのはやめよう。
3)不妊治療は期限を決めるべきだ。
4)自分の子供を育てなくても、他の子供のために貢献する方法はいくらで
  もある!と俯瞰的な考え方をしよう。

こう考えて、彼女は次に踏み出すことができました。

---

不妊治療を受けても子供を授かることが保障されているわけではありません。
特に、女性の年齢が高くなればなるほど、授からないまま終える確率が高く
なってしまいます。

であれば、たとえ、現在進行形で治療を受けているカップルでも、子供のい
ない人生、すなわち、二人の生活を受け入れる心づもりをしていくことは、
自分たちを守るための保険になるでしょう。

ただ、二人だけの生活なんて想像もできないと思われているかもしれません。

そこで、実際に体外受精を受けた夫婦はその20年後どのような関係でいる
のかについて調べたスウェーデンの研究(1)があります。

その結果が、とても興味深く、かつ、勇気づけられる内容なのです。

不妊治療のやめどきに心が揺れ動いているカップルに是非とも知ってもらい
たいと思い、ここに紹介します。

◎体外受精を受けたカップルの20年後

1986年から1989年の間にスウェーデンの大学病院で体外受精を受け
たカップルを対象に、ENRICHと呼ばれている夫婦の関係を調査する手
法を用いて、788人のデータを解析しています。

それによると、20年後も夫婦関係が続いているカップルとって、子供がい
るかいないかは夫婦関係の良好性に影響を及ぼしていません。

現実には、良好な夫婦関係を築くのに子供がいるかいないかは関係ないとい
うことのようです。

そして、それどころか、子供がいない夫婦のほうが良好な関係を築けている
ようなのです。

詳しくみてみましょう。

まず、コミュニケーションスコアは、子供がいない夫婦は子供がいる夫婦よ
りも著しく高くなっています。

そして、問題解決スコアも同様に子供がいない夫婦のほうが高くなっていま
す。これは夫婦間の問題を隠したり、先送りせずに、解決しているかどうか
のスコアのことです。

また、パートナーに対する満足度スコアも子供がいない夫婦のほうが高く、
さらには、レジャー活動や性生活、親戚や友人とのつきあい、夫婦間の平等
性においても、子供のいない夫婦のほうが高いスコアを示しているのです。

子供がいるいないにかかわらず、長期間に渡って良好な夫婦関係を築くのが
可能であるどころか、子供のいない夫婦のほうが自分たちの人生を楽しんで
いることが垣間見えるようです。

---【文献】----------------------------------------------------------

Relationships in IVF couples 20 years after treatment
Hum.Reprod.(2011) 26 (7): 1836-1842.

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記事ついての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
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 ヤングのこれまでの事 〜 ステップダウンから再度の転院 〜
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毎週読んでいただきありがとうございます、ヤングです。

さて卵管が通っている事実が判明し、子宮外妊娠でお世話になった大学病院
で引き続き、不妊治療をお願いすることにしました。

以前通っていた不妊専門クリニックと明らかに異なった事と言えば、日々の
食事をノートに記録し、診察の度に、基礎体温表と一緒に先生に見ていただ
き、アドバイスを受けながらの治療が始まった事です。

当時の私は、専業主婦で遅寝遅起き、朝食抜きの1日2食のぐうたら生活が
習慣となっていたので、先生からはいつも朝食を食べるように言われたもの
です。

今思うと、妊娠しやすいカラダにはほぼ遠い生活習慣を送っていたわけです
(お恥ずかしい・・・)。

その頃からです、自分自身の意識が変化しはじめたのは。

ちょうど、妊カラサイトとメルマガにも出会い、治療に頼るだけではなく、
妊娠に近づくために自分で出来る事をしようと考え始めました。

ただ、それと同時に、その後、タイミング法を2回、人工授精を2回受ける
も妊娠できなかったため、自分の年齢を考えると、焦る気持ちが大きくなり、
タイムリミットを考えると、やはり、最も確率の高い体外受精を受けるのが
ベターではないかと思うようなりました。

そして、前回とは別の不妊専門クリニックに転院し、体外受精に挑むことに
しました。

転院にあたって、主人と約束したことがあります。

それは、あと1回だけ体外受精に挑戦して、それで最後にしようというもの
です。

ところが、いざ体外受精が始まると、1回目の採卵で受精できずに終わって
しまい、土俵にさえ上がれなかった私の落込み具合が酷く、あきらめきれな
い私の姿をみて、主人の方から次の私の誕生日まで頑張ってみようと、提案
をしてもらいました。

それぞれの事情もあるかと思いますが、我家にとって治療費が家計を圧迫し
ていたのですが、いや、だからこそ、最後のタイムリミットまでは、残りの
貴重な時間を無駄にしないよう頑張ろうと思いました。

でも、そんな決意とは裏腹に、ここにきて、FSH(卵胞刺激ホルモン)の
値が高くなったり、子宮内膜が厚くならないという体の変化、いわゆる老化
を目の当たりにして、本当に子供が授かる事ができるのだろうかという不安
が大きくのし掛かってくることになるのです。

治療もそうですが、妊娠しやすいカラダに近づくために出来る事を頑張りた
いのはやまやまなのですが、肝心のモチベーションが上がらず、気持ちはど
んどん「あきらめる」の方向へ・・・。

夫婦二人だけの今後の生活を視野に入れつつ、治療を淡々と受ける日々が続
きました。

しかし、友人からの「喝」で一気に気持ちが切替わり(単純かしら?)、現
在の妊娠に至る事ができました。

詳しくは、次号でお届けいたします。

■「不妊治療と夫婦関係」に関する記事

・不妊治療(体外受精)が夫婦関係に及ぼす影響とは?
http://www.akanbou.com/news/news.2007022201.html

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ヤング宛のメールは下記のアドレスまでお寄せ下さい。
young@akanbou.com


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 妊 カ ラ 編 集 室 か ら
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 妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング
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トピックスでご紹介した本です。

『「婚活」時代』の著者であるジャーナリストの白河桃子さんと不妊治療医
で国立成育医療研究センターの齊藤英和先生の共著です。

いつかは子供を産みたいと願う方のために書かれた本で、単なる不妊治療の
解説本ではなく、もっと広く、産むためにハードルをいかに越えていくかに
ついて、さまざまな情報を提供しています。

以下、私の感想です。

この本を読んで、つくづく、結婚することも、妊娠、出産、そして、子育て
も、その昔は、家族や親戚、地域の共同体、そして、職場などの「おせっか
い」が相当関与していたことに思い至りました。

本人がのんびりしていても、周囲が固めていくような雰囲気があったように
思います。

個よりも、組織の論理が優先されたところがまだまだ大きかった時代です。

ところが、個や個性が尊重されるようになり、女性も男性と同じように仕事
をするようになると、それまでの「おせっかい」は、「親切」から「セクハ
ラ」と称されるようになったようです。

そうなると、結婚も、妊娠、出産も受け身では実現が難しくなったというこ
となのだと思います。

そして、白河さんは、現代女性が妊娠、出産を念頭に置いたときに、超えな
ければならない4つのハードルとして、産めるカラダをどうメンテナンスし
ていくか、結婚、仕事や経済力、パートナーの協力という自分の周囲の問題、
不妊を挙げています。

これをみると確かに受け身では超えられないハードルです。

社会の仕組みや意識がまだまだ整っていないこと、そして、日本経済の停滞
ということもありそうです。

ただ、いずれにしても、その分、女性が孤軍奮闘しなければならない面があ
ります。

確かに大変なことなのですが、視点を変えてみると、いろいろなしばりから
解放されて、個人の選択肢が増えた幸せな時代であるという面もあるわけで
す。

もちろん、選択肢が増えたことは手放しでは喜べないところもあります。

自らの責任で情報を収集して、人生設計し、そして、自らの力でハードルを
クリアしなければいけませんからね。

でも、その先には自ら選んだ生き方を楽しめるようになったということでも
あると思いました。

一読をお勧めします。

タイトルは、「妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプラン
ニング」、講談社+α新書から出ています。


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私たちはお子さんを望まれるカップルを応援しています。

▼不妊に悩む夫婦の自己決定を支援する情報サイト
→「妊娠しやすいカラダづくり」
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▼妊カラ・男性不妊編
→「男性不妊 〜 ふたりで知っておきたいオトコのこと」
http://www.akanbou.com/dansei-funin/index.html

▼医師がサポートするサプリメントセレクトショップ
→「ネイチャーズギフト」
http://www.nature-g.com/

▼ドコモ、au、ソフトバンク公式携帯サイト
→「おしえて!不妊ナビ」
http://funinavi.edia.ne.jp/index.html

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でもない研究報告やトピックなども紹介しています。よければフォローくだ
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 編 集 後 記
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子供のいない夫婦の関係性のスコアで最も高かったのがコミュニケーション
でした。

ついつい、理解してくれない、協力してくれないと嘆いてしまいがちです。

でも、男性と女性は違うわけで、とにかく、コミュニケーションをとること
しかないのですね。

改めてそう思いました。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.461
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com
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◎配信部数
・自社配信: 201部
・まぐまぐ:5,001部
・合計部数:5,202部(4月15日現在)
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