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VOL.169 情報リテラシーを養おう!

2006年08月20日

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           妊娠しやすいカラダづくり 

            2006年8月20日 第169号
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http://www.akanbou.com
━不妊に悩むカップルを応援します!━━━━━━━━━━━━━━━━━

このメールマガジンは、
お子さんを望まれるカップルに向けて、
有益と思われるさまざまな情報を提供しています。

妊娠しやすいココロとカラダをつくるための自然な療法について、
また、不妊の悩みを克服するために、
二人で話し合い、考えるうえでの道筋を整理したり、
自分たちで答えを出すためのヒントになるような情報を、
出来る限り客観的な視点で、毎週末、登録頂いた皆さんに配信しています。

---[INDEX]--------------------------------------------------------

01 今週のコラム:不妊治療施設調査から
02 更新情報
03 最新ニュース解説:2004年度体外受精の臨床実施成績について

---[CONTENTS]-----------------------------------------------------

━01━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     今週のコラム
               VOL.169
        不妊治療施設調査から
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全国の体外受精等の高度な生殖医療を実施する病院やクリニックに対して、
不妊治療のための設備や体制、体外受精の妊娠率について、
厚生労働省研究班が、聴き取り調査した結果が、このほど発表されました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060810-00000014-mai-soci

それによりますと、
日本産科婦人科学会が高度生殖補助医療の治療施設として、
満たすのが望ましいとされる基準を満たしているのは17.3%、
1回の体外受精の妊娠率は平均26%で、
施設によっては、0〜75%まで差があったとのことが判明したとのこと。

学会の施設基準というのは、
採卵室や培養室の清浄度や温度管理の条件、
さらには、施設のスタッフとして必要な要員等です。
http://www.jsog.or.jp/kaiin/html/Rinri/announce_8jul05.pdf

この調査結果は、日本の不妊治療の病院やクリニックについて、
その設備や体制、そして、治療成績のレベルには、
大変なバラツキがあることを物語っています。

このような状況にあっては、
不妊治療を受ける側の患者にとっては、
病院選びには、当然、慎重にならざるを得ませんね。

そもそも、日本では、不妊治療病院やクリニックの数が多く、
例えば、2003年度に、高度生殖補助医療によって生まれた出生児の数は、
アメリカは、日本の倍以上ですが、
登録施設の数は、アメリカの437に対して、日本は、590です。

大変な差ですね。

これは、国の姿勢の"差"でもあるのです。

アメリカでは高度生殖補助医療を実施するクリニックについては、
そのの監査や臨床成績の報告が、国の法律で実施され、
関連学会は、国の委託を受けて、クリニックの設備を監査しています。
そして、高度生殖医療の治療成績については全国統計だけでなく、
全ての登録施設の個別の治療成績が公表されています。

これに対して、日本では、学会への登録はフリーパスで、
その後も野放し状態です。

このことは何を意味するのでしょうか。

それは、病院を選ぶ側が、自身の知恵と感性でもって、
自己責任のもとで、病院を選ばざるを得ないということです。

今回の調査を実施した厚生労働省研究班の班長の慶応大学の教授は、
調査結果について、以下のようにコメントしています。

「妊娠率のばらつきは治療技術の差ではなく、
 治療を受ける男女の状態の違いが原因だと考えている。
 妊娠率が極端に高い施設は、
 必要のない人に体外受精をしている可能性もある」と。

確かに、妊娠率を左右する要因は、
母親になる女性の年齢を始めとする患者側の身体の状態であって、
本質的には、治療技術の差ではないのかも知れません。

ところが、私たちのところに寄せられる多くのご相談内容から窺えるのは、
個々の患者の身体の状態や希望に相応しい治療内容を判断する力、
さらには、実際に、提供可能な治療技術のバリエーションは、
それぞれのクリニックや医師によって、驚くほどの差があるということです。

体外受精へステップアップする基準もクリニックによって、
大きなバラツキがあるということについては、コメント通りです。

クリニックや医師との出会いは、
ある程度は"運"に左右されるにしても、
自らの知識と知恵、そして、感性と嗅覚を総動員して、
判断し、選択する必要がありそうです。

大切なのは、サバイバル感覚ではないでしょうか?

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ご意見、ご要望等は、下記のアドレスにお寄せ下さい。
news-master@akanbou.com


━02━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今週の更新情報
http://www.akanbou.com
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サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2006年8月19日 最新ニュース
2004年度体外受精等の臨床実施成績が発表さる
http://www.akanbou.com/news/news.2006081901.html
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2006年8月18日 Q&A
何か他に原因があるのでしょうか?
http://www.akanbou.com/qa/qa.2006081801.html
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2006年8月17日 妊娠報告
ふっと力が抜けた時に気持ちが楽になって
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2006081701.html
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2006年8月16日 Q&A
生理がくる度に一人ひっそり泣いています
http://www.akanbou.com/qa/qa.2006081601.html
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2006年8月15日 妊娠報告
自分たちの力を信じ、変に力を入れずに努力はする
http://www.akanbou.com/houhoku/houkoku-2006081501.html
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2006年8月14日 最新ニュース
不妊治療施設基準クリアは17.3%
http://www.akanbou.com/news/news.2006081401.html
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上記の記事についてのご質問等は、下記のアドレス宛お寄せ下さい。
news-master@akanbou.com


━03━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       最新ニュース解説
2006/8/20
      2004年度体外受精・胚移植等の臨床実施成績について  
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8月10日に、日本産科婦人科学会から、
2004年度の体外受精・胚移植等の臨床実施成績が発表されました。
http://www.akanbou.com/news/news.2006081901.html

これは、学会の倫理委員会が登録施設に対して、
高度な生殖補助医療の実施状況について、
調査用紙を送付して、回答してもらった結果で、毎年、実施しています。

そして、各施設からの回答を集計した結果を発表ています。
学会のサイトでも公開されています。
http://www.jsog.or.jp/kaiin/html/Rinri/Rinri_report5808.pdf

この治療成績は、あくまで、全国集計のみです。

日本では、アメリカやイギリスに比べて、情報開示は格段の差があって、
患者にとっては、最も知りたい、また、知る必要のある、
それぞれの施設の治療成績は公開されていませんし、
また、年齢等の患者の状態や背景別の治療成績も知ることは出来ません。

ですから、この治療成績から医療機関を選ぶことは出来ません。

ここでは、読者の皆さんに参考にしてもらえそうなデータを、
ピックアップして、解説を加えられればと思います。

■高度生殖医療実施施設の数と治療周期数について

2004年度に、高度生殖補助医療を実施したと回答したのは547施設です。

ところが、治療周期数の分布をみると、
新鮮胚を用いた治療周期数では、
1〜50周期と回答した施設が337で、全体の61.9%を占めます。
そして、100周期までと回答した施設は435で、約8割になります。

一般に、技術レベルの維持に必要とされる、
年間300周期以上と回答したのは、19施設で、全体の3%です。

⇒ポイント

日本では、高度生殖補助医療を実施する施設の実績には、
大きなバラツキがあり、
一部のクリニックに患者が集中している傾向がある。

⇒解 説

病院を選ぶ際の目安の1つとして、治療実績があります。

日本のように、公的な情報開示がほとんどなされていない状況にあっては、
マスコミが調査、発表している病院ごとの治療実績を、
参考にせざるを得ません。

■治療法の実施に関する登録について

登録施設名の一覧には、実施可能な治療法が登録されています。

具体的な治療法は、体外受精・胚移植、
胚や卵の凍結保存と移植、
そして、顕微授精の3つです。

⇒ポイント

どこまでの治療が実施可能なのかも、病院を選ぶ際の大切な目安。

⇒解 説

状況に応じて、胚の凍結や顕微授精が実施することが可能な施設を選びたい。

■高度生殖医療による出生児数について

2004年度に高度な生殖補助医療による出生児数は、18,168人で、
これまでの累計出生児数は、135,757人です。

⇒ポイント

高度生殖補助医療による出生児数は、年々、増加する傾向にあります。

⇒解 説

2004年度の全出生児数は、1,110,721人ですから、
高度生殖補助医療で生まれた子供は全体の1.6%で、
61人に1人の赤ちゃんが体外受精によって生まれたことになります。

■治療成績について
http://www.akanbou.com/news/news.2006081901.html#1

新鮮胚を用いた体外受精の治療成績の全国平均は、
移植あたりの妊娠率は29.5%、採卵あたりの妊娠率は21.6%、
移植あたりの生産率は19.3%です。

また、妊娠あたりの流産率は21.3%で、
妊娠あたりの多胎率は17.5&%です。

⇒ポイント

一口に妊娠率と言っても、
妊娠率の分母や分子をどう定義するかによって、
数字は大きく異なってきます。

⇒解 説

分子である妊娠の判定については、
ここでは、超音波検査で胎嚢が確認された(臨床妊娠)こととしています。
もしも、尿検査で妊娠反応が確認された(化学的妊娠)こととすると、
妊娠率は上がります。

また、分母を採卵あたりとするのか、
移植あたりとするのかによっても妊娠率は異なります。

なぜなら、採卵しても、移植に至らないケースがあって、
採卵あたりの方が分母が大きくなる(妊娠率がよくなる)からです。

さらに、妊娠率は、例えば、母親になる女性の年齢や不妊の原因、
或いは、移植した胚の状態や胚の数によっても大きく左右されるものです。

ですから、この全国集計による治療成績は、
あくまで、平均値であることを理解する必要があります。

---[まとめとして]-------------------------------------------------

繰り返し、指摘している通り、
あくまで、全国の集計結果ですから、
実際のクリニック選びや治療方針を考えるうえで、
直接、参考になるものではありません。

ただし、見方によっては、間接的には、参考になるかも知れません。

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■編集後記 
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不妊治療施設調査や学会の治療成績の集計結果が発表される度に、
日本の不妊治療の患者の立場は弱いことを痛感してしまいます。

ただでさえ、辛く、悲しい思いをしている上に、
医療の助けを求める際に、
自立的な判断をするための材料がほとんどないに等しいのですから。

もちろん、全ての情報が開示されさえすれば、
間違いなく、自分に相応しいクリニックと出会えるかと言えば、
必ずしも、そうならないこともあるのでしょうが、
後々、不運を嘆くようなことは、
相当、避けられるのではないかと思われます。

ただし、この環境を嘆いていても何の解決にもなりませんし、
マスコミでも、徐々に、有用な情報が提供されているように感じます。

逆に、よい面しか紹介しない編集記事風広告も氾濫しています。

やはり、"見る眼"を養うしかありません。

私たちのメルマガやサイトが、その一助になれればと、思います。

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■ブログ「Happy aging のススメ」
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]   No.169
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【責任者】 細川忠宏(不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
【監 修】 西川 浩(医師・心斎橋中央クリニック院長)
荻田浩司(医師・医学博士)  
【WEB】 http://www.akanbou.com
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