妊娠前の食生活パターンは早産に関連する

生活習慣・食事・サプリメント

2014年11月08日

The Journal of Nutrition

妊娠前の栄養は早産に関連し、妊娠前の1年間、主に、魚や肉、鶏肉(高たんぱく)、そして、果物や精製度の低い穀物をよく食べる食生活パターンの女性は早産になるリスクが低く、ファーストフードや調理済食品、ポテトチップス、精製度の高い穀物、砂糖をよく摂る食生活パターンの女性は妊娠期間が短く、早産になりやすいことがオーストラリアで実施された研究で明らかになりました。

2009年の5月から2013年の7月まで、南オーストラリア州のLyell McEwin Hospitalで子を出産した女性を対象に、妊娠前1年間の食生活のパターンと妊娠期間や早産との関係を調べました。

食物摂取頻度調査票で妊娠前の1年間の食事の状況を調べ、その結果から309名の被験者の女性を以下の3つの食生活パターンのグループに分け、妊娠期間や早産との関係を調べました。

1)高たんぱく/果物:魚や肉、鶏肉、果物、全粒穀物をよく食べるパターン
2)高脂肪/砂糖/調理済食品:調理済み食品(ファーストフードや総菜)やポテトチップス、精製穀物、砂糖をよく食べるパターン
3)ベジタリアン:いろいろな種類の野菜や豆類、全粒穀物をよく食べるパターン

その結果、妊娠前の1年間に、肉、鶏肉、果物、全粒穀物をよく食べる傾向の強い女性は早産になるリスクが低く、その期間に、調理済み食品(ファーストフードや総菜)やポテトチップス、精製穀物、砂糖をよく食べる傾向の強い女性は早産になるリスクが高いことがわかりました。ただし、低出生体重児や子宮内胎児発育遅延のリスクとは関連は見られませんでした。

また、高たんぱく/果物パターンの傾向の強い女性は妊娠期間が長く、出生時の体重や身長が大きく、高脂肪/砂糖/調理済み食品パターンの傾向が強い女性は妊娠期間が短く、出生時の体重や身長も低いことがわかりました。

このことから妊娠前1年間の食生活は妊娠から出産にかけての子の成育に影響を及ぼすことがわかりました。

コメント

妊娠してから出産まで、赤ちゃんは全ての栄養を胎盤を通じて母親から受け取るわけですから、赤ちゃんの成育が母親の食事内容に影響を受けることは誰にでもわかることですが、その影響が妊娠する1年も前から及ぶことが初めて示された研究とのことです。

このことは、妊娠するまで貧弱な食生活をおくっていて、妊娠してから慌てて食生活を改善するのではなく、妊娠する前からバランスのよい食生活を送っておくことが大切であるということを教えてくれています。

そういう意味では、不妊を経験したことで、妊娠前から健康的な食生活を意識することになれば、不妊を経験することのメリットの1つであると言えるかもしれません。

それぞれの食生活パータンを栄養素レベルでみてみると、魚や肉、鶏肉、果物、全粒穀物をよく食べるパターンでは、オメガ3系脂肪酸やたんぱく質、コレステロール、亜鉛、鉄、ナトリウムの摂取量が多く、調理済み食品(ファーストフードや総菜)やポテトチップス、精製穀物、砂糖をよく食べるパターンでは、αリノレン酸、飽和脂肪酸、総脂肪、カロリー、糖質の摂取が多かったとのこと。また、ベジタリアンタイプでは食物繊維や葉酸、ビタミンAの摂取が多かったといいます。

個々の栄養素の多い少ないというよりも、バランスよく摂ることが大切であることがよくわかります。

妊娠、出産は、自分ではコントロール出来ない領域で進むものですが、自分でコントロール出来ることもあるわけです。

最近、子宮内の栄養環境が出生し、成人後の体質まで影響を及ぼし、生活習慣病のリスクに関係することがわかってきていますので、妊娠前からの食生活の影響は何十年も続くということになります。

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