有害重金属が体外受精の治療成績に及ぼす影響

妊孕性に影響する因子

2010年06月10日

Reproductive Toxicology

有害重金属は体外受精の治療成績にマイナスの影響を及ぼす可能性のあることが、アメリカで実施された試験で明らかになりました。

アメリカのニューヨーク州立大学の研究チームは、体外受精を受けている15組のカップルの血中と尿中の鉛やカドミウム、水銀などの有害な重金属の濃度と、卵の成熟や受精などの治療成績との関係を調べました。

年齢や喫煙など治療成績に影響を及ぼす要因の影響を排除した後、女性の血中の鉛の濃度が1mcg/l増えるごとに採卵率が75%低下しました。

また、男性の尿中のカドミウム濃度が1mcg/l増えるごとに受精率が81%低下することがわかりました。

この結果から有害な重金属の妊孕性への影響をさらに調べる必要があるとしています。

コメント

今回の報告は対象人数が少なく、カドミウムについては男女で相反する結果が出たりしていることから、有害重金属の濃度と体外受精の治療成績との因果関係が必ずしも明らかになったわけではありません。

ただし、有害な重金属の影響については従来から指摘されているところでもあることから、食物繊維の豊富な食生活を心がけたり、運動習慣を身につけて、身体に備わった排泄機能を高めることも大切なことかもしれません。