顕微授精においては精子回収法による妊娠率に差はない

男性不妊治療方法

2007年07月18日

Journal of Assisted Reproduction and Genetics 2007;24:167-172

さまざまな精子の回収法による顕微授精と、通常の体外受精による胚盤胞移植の妊娠率を比較したところ、有意な差はないことが、スウェーデンの研究チームの試験により明らかになりました。

研究チームは、587名の乏精子症の男性から射出された精子、31名の無精子症の男性からPESAやTESEによって精子上体や精巣から採取した精子を使って顕微授精と、680名の女性が受けた通常の体外受精の治療成績を比較しました。

受精卵が胚盤胞まで育ち、 胚盤胞移植できた割合は、それぞれ、60.5、66.0、66.9パーセントでした。

12週時点で、胚盤胞を1個移植した妊娠率は、それぞれ、41.4、51.6、40.4パーセントで、精子の回収法による差はみられませんでした。

コメント

精液に全く精子がいない無精子症には、精巣で問題なく精子がつくられているのに、輸送路に問題がある場合があります。
その場合、輸送路を治療する場合と、それが困難な場合には、精巣上体や精巣から手術によって直接精子を回収します。

局所麻酔によって精巣上体から針で精子を吸引採取するのがPESA(経皮的精巣上体精子吸引法)、陰嚢の皮膚を切開し、精巣を露出して精巣組織そのものを採取し、そこに含まれる精子を回収するのがTESE(精巣内精子採取法)です。