ある程度のストレスは体外受精の成績にプラスにはたらく

ストレス

2007年03月06日

Fertility and Sterility on line 20 FEB.

体外受精を受けるカップルにとって、不妊によるストレスは、それほど強いものでなければ、治療成績にプラスに働くことが、アメリカのヴァーモント大学医学部で実施された試験で明らかになりました。

2002年5月から2005年4月の間に大学の病院で体外受精を受けた129組の夫婦に、治療に伴う各種検査の一環として、不妊やその他の要因によるストレスがどの程度のものなのかを調べるために、the Fertility Problem Inventory(FPI)と称するアンケートによるストレス度調査を実施しました。

FPIテストは5つの測定項目からなっています。

その結果、胚移植の2週間後に血液検査によって臨床的に妊娠が確認されたのは、69組(53.5%)でした。
FPIテストの結果については、妊娠したカップルは、妊娠しなかったカップルに比べ、セックスについてのストレスや親になることを切望することからくるストレスを特に強く受けていました。

また、出産まで至ったのは43%で、FPIテストの結果については、出産まで至ったカップルは、出産できなかったカップルに比べて、子どものいない生活が想像できないことからくるストレス、そして、親になることを切望することからくるストレス、さらに 、その他さまざまな要因からの複合的なストレスを特に強く受けていました。

それぞれの差は、主には女性のテストのスコアからくるものでした。

研究に携わった研究者は、適度なストレスは体外受精の成績にプラスに働くことを示唆しているとしています。

ただし、適度なストレスとはどの程度なのかは、議論の余地があるとしています。

コメント

ストレスが体外受精等の不妊治療の成績にどのように影響を及ぼすのか、これまでの研究では、悪い影響を及ぼすか、或いは、影響を及ぼさないというものでした。

ところが、今回の研究報告では、適度なストレスはプラスに働くというものでした。

もちろん、ストレスを強く受けるほうが不妊治療の成績がよくなるというものではありません。

精神的な状態が及ぼす影響については、その測定が大変難しいものでしょうし、成績に影響を及ぼす要因が女性の年齢をはじめとして、複数の要因があるものです。

今回の調査では、他の要因による影響は排除されているとされていますが、あくまでデータ上のことです。

ストレスの影響については、それほど神経質に心配する必要がないと理解するのがよいということでしょうか。