ストレスへの対処法は体外受精の妊娠率に影響を及ぼす

ストレス

2006年10月20日

Fertility and Sterility Vol.86 Issue3. P.672-677

不妊治療のストレスへの対処の仕方が治療成績に影響を及ぼすという研究報告がなされています。

具体的には、自分の感情を表に出して、仲間と感情を共有するような方法は、例えば、何か好きなことに取組んで、気持ちを紛らせて、対処するような方法に比べて、妊娠率が明らかに低かったといいいます。

試験は、ギリシャのAristotle Universityの研究チームによって、ギリシャのクリニックで体外受精を受けた342名の女性を対象に実施されました。

それによりますと、79名が妊娠(23.3%)に至ったのですが、その要因として、不妊期間や不妊の原因、それまで体外受精を受けた周期数、そして、不妊治療によるストレスがあるかどうかは、さほど違いがみられず、妊娠率に影響を及ぼした要因として確認されたのは、ストレス対処法で、自分の感情を表現することでストレスを対処する方法(emotinally expressive coping)に取組んだ女性は、妊娠率が有意に低かったと報告されています。

試験に携わった研究者は、今後は、どのようなストレス対処法が、治療の成績にプラスに影響するのかを調べてみたいとしています。

コメント

心理学では、ストレスに対処することを「コーピング」と呼ぶそうですが、その方法には、さまざまな方法があるようです。

例えば、「自己主張する」、「相談相手を持つ」、「我慢する」、「逃げる、避ける」等があるそうです。
(ストレスマネジメント教育実践研究会「ストレスマネジメントの基礎知識」より)

報告では、「Emotinally expressive coping」というコーピングが妊娠率が低かったとしていますので、自己主張するにあたると考えられるでしょうか。

具体的には、自分の感情をみつめて、それを表現し、感情を共有化しようとするものと書かれています。

研究では、そのような心理学的な取り組みよりも、単に、好きなことをして、気持ちを紛らせるような方法の方が、より妊娠しやすいストレス対処法であると指摘しています。

要するに、ストレスに積極的に立ち向かうよりも、逃げたり、避けたりするのが、結局は、よいということでしょうか?