食生活を変えることでPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)が改善

生活習慣・食事・サプリメント

2006年04月21日

Fertility and Sterility VOL.85 Issue3 P.679-688 Mar.2006

排卵障害などの不妊の原因となり得る多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が、低炭水化物の食事に変えることで改善される可能性があることが、このほど発表された研究によって明らかになりました。

PCOSは、卵巣にたくさんの嚢胞があるものの、卵巣の表面硬くなって、排卵しづらい状態になる病気で、多毛や肥満、月経不順を伴うことがあり、不妊の原因になります。
また、糖尿病にかかりやすくなることでも知られています。

アラバマ大学の研究グループは、19~42歳のPCOSで、体重がノーマルから肥満のの女性で、追跡調査が可能な11名に、3種類の食事を、ぞれぞれ16日間ずつ摂ってもらいました。それぞれの食事の移行期には、前の食事の影響を排除するため、3週間あけました。

標準食は、炭水化物が56%、脂質が31%、残りをたんぱく質としました。
そして、もう1つの食事は、炭水化物55%、 一価不飽和脂肪酸を増やした脂質が33%、残りをたんぱく質とし、3つ目のパターンが炭水化物33%の低炭水化物で、脂質45%、残りをたんぱく質としました。

標準食に比べて、低炭水化物食は、インスリンの感受性が高まり、インスリン濃度が低下し、一価不飽和脂肪酸食に比べても、食後の血糖値の上昇は低めでした。

ただし、血中の生殖ホルモン値には、それぞれの食事内容による違いは見られませんでした。

この結果、PCOSの治療において、血糖値の急激な上昇を抑え、インスリン感受性を高め、インスリンの分泌量を低くするような食事にすることで、やがて、ホルモンのバランスの正常化に寄与し、症状の改善が期待出来るのではないかとしています。

コメント

多嚢胞性卵巣症候群は、その程度によっては、食事や運動療法等の生活習慣の改善だけで、順調な排卵が可能になったり、たとえ、クロミフェン等の排卵誘発剤やメトフォルミン等の糖尿病薬を服用する場合でも、生活習慣の改善を伴ったほうが、排卵が起こる割合が高いことが、これまでも報告されています。

PCOSと診断された場合は、まずは、生活習慣の改善に取り組むことがよいでしょう。

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