ディーゼル排ガスが子宮内膜症に悪影響

妊孕性に影響する因子

2006年04月12日

栃木臨床病理研究所・東京理科大学

胎児期や幼児期にディーゼル排ガスを大量に浴びると、成長後、子宮内膜症が治りにくくなる可能性があることを、栃木臨床病理研究所と東京理科大学の共同研究グループが、ラットを使った実験で明らかにしました。

実験は、妊娠中のラットに、環境基準の10倍に相当する濃度のディーゼル排ガスを、1日6時間ずつ、3週間浴びせ、その後、生まれた子どもの雌ラットにも8週間浴びせました。
そして、ラットの子宮内膜を手術で腹膜に移植し、子宮内膜症と同じ状態にし、きれいな空気で育った雌ラットのも同じ手術を施し、状態の推移を観察したところ、2週間後には、きれいな空気で育った雌ラットは子宮内膜症は自然に治癒していたのに対して、ディーゼル排ガスを浴びた雌ラットは、内膜の増殖が続いており、腹膜でアレルギー反応が起きていたとのこと。

研究グループは、排ガスを浴びたことによって、アレルギー反応が強い体質になり、そのことによって、子宮内膜症を悪化させたのではないかと推測しています。

コメント

栃木臨床病理研究所は、過去に、子宮内膜症の病変部組織にマスト細胞と呼ばれるアレルギー反応に特有の細胞が多かったこと、抗アレルギー薬によって子宮内膜症の症状に改善がみられたことから、子宮内膜症の原因はアレルギーではないかとの見解を発表しています。

今回の研究発表は、ディーゼル排ガスを浴びることで強まったアレルギー体質が、子宮内膜症を悪化させたのではないかと考えられているようです。

ラットを使った実験であることから、同様のことが人間にも言えるのかどうか分りませんが、子宮内膜症の改善策として、アレルギー体質の改善を試みてもよいのではないでしょうか。