[要 約]
凍結保存された精子による治療の成功率は比較的高いにもかかわらず、
生殖能力を損なうリスクのあるガン治療前に精子を凍結保存する男性はされほど多くないことが、
このほど発表されたスペインの調査によって明らかになりました。
スペインの大学の研究チームは、ガン治療前に、
治療後の生殖能力低下に備えて精子を凍結保存した男性186人を追跡調査しました。
治療終了から半年後、新たに41人の精子を検査したところ、
30%は造精機能に異常はみられませんでしたが、70%は精子数が低下、或いは、無精子でした。
研究者は、たとえ、治療後の造精機能に異常がなかったとしても、
遺伝的、或いは、構造上への影響はないとも限らないので、
最終的には妊娠に達するまでは、生殖能力が維持されているかどうかは、
安易に、
判断すべきではないと指摘しています。
数年後、治療前に凍結保存した精子に頼る必要があったのは15%でした。
研究チームは、ガン治療の前に凍結保存した精子を使った体外受精の成績と、
女性に不妊原因があって凍結保存精子を使った通常の体外受精の成績を比較したところ、
精子の凍結保存期間が、ガン治療前のケースでは平均1022日、
通常のケースでは平均46日という違いがあったにもかかわらず、
2つのグループの間の精子はその特性において、違いはみられませんでした。
ガン治療前の男性から凍結保存した精子のよる体外受精では、
35周期で16の妊娠が確認され、通常の体外受精に比べて、変わりない成績が得られました。
このことから、ガン治療前の男性が、生殖能力の低下に備えて、
精子を凍結保存しておくことは、最善の策であることが証明されました。
|