大豆成分は精子を衰弱させ、妊娠しにくくさせる

生活習慣・食事・サプリメント

2005年06月23日

BBC

妊娠を望む女性は、大豆を食べ過ぎないように注意すべきであると、イギリスの研究者がヨーロッパ生殖医学会で発表しました。

これは大豆に含まれるゲステインといわれるイソフラボンの一種である物質が、精子を衰弱させ、卵子と受精するのを妨げるためで、妊娠のためには、女性が妊娠しやすい期間は、大豆を食べるのを控えたほうがよいとしています。

ゲステインは、 豆乳等の大豆食品に含まれていますが、どれくらいの量を摂取すれば影響が出てくるのかは定かにはなっていないようです。

ゲステインが精子の受精能力を奪ってしまうと考えられるメカニズムは以下の通りです。

精子がゲステインに接触することによって先体反応(※)が起こることが確認されました。
これにより、膣内に射精された精子が、卵子に出会う前にゲステインによって先体反応を起こして、受精能を失くしてしまうのではないかということです。

一方、マウスの実験では、精子に反応が起こるのは大量のゲステインが必要であったのに対して、人間の場合は、血中濃度程度の微量で十分であったと報告しています。

ゲステインは植物性エストロゲンですが、精子を衰弱させる働きは、エストロゲンとしてのものではなく、サイキックAMPと呼ばれる精子中の情報伝達物質の生成を促すためではないかと、推測しています。

シェフィールド大学の男性学の教授で、イギリス生殖協会の会長は、実験室で起こったことが女性の卵管内で同様に精子にも起こると考えるのは早計であるものの、可能性は否定出来ないとコメントしています。

※先体反応とは?
精子が卵子と出会い、卵子の周囲の透明帯を通過する際に、精子の頭部である"先体"が、崩壊し、酵素が放出されることをいいます。この酵素は、アクロシン等のタンパク質を溶解する働きがあるため、卵子の透明帯に進入路が作られるというわけです。

コメント

大豆食品は日本人にとっては日常的に食べている大変馴染み深い食べ物ですが、植物性エストロゲンを含むことから、女性の体内では本物のエストロゲンの代わりに受容体に結びつくことで、エストロゲンの力を低下させ、子宮ガンや乳がんを予防したり、更年期に分泌が低下するエストロゲンを補うことで、更年期の不快な症状を緩和させることが知られています。

ところが、更年期の女性に有用であっても、生殖年齢にある女性にとっては、この大豆食品を食べすぎることは、本来のエストロゲンの働きを低下させ、時として低温期を長くして、排卵の機会を少なくしたりと、妊娠にはマイナスの働きをすることがあるようです。

ただ、今回の研究報告は、イソフラボンの一種のゲステインが、精子が卵子に出会う前に先体反応を誘発し、受精能を奪ってしまうのではという、大変、ショッキングな内容になっています。

本来は精子が卵子と出会い、卵子の透明帯に触れることで、この先体反応が起こり、卵子の中に進入するためには必要なことです。ところが、大豆を食べ過ぎて血中濃度のゲステインが高い女性では、精子が卵子に出会う前に、ゲステインによって精子に先体反応が起こってしまい、受精能を失くしてしまうのではないかということです。

ただし、実際に女性の身体の中でこのことが確かめられたわけではなく、あくまで、実験室の試験管の中で確認されたという段階ですので、このことから、すぐに大豆の摂取を控えるべきだとは言うことは出来ませんが、取り過ぎに注意をすることに越したことはないでしょう。

★大豆食品のとりすぎは控えるべき!

大豆食品は日本人にとってはずっと日常の食品として食べ続けてきたもので、急に食べるのを止めなければならないということはないでしょう。食べ過ぎることはよくないということです。

★イソフラボンや植物性エストロゲン含有のサプリメントは要注意!

イソフラボンのサプリメントを飲むことで、低温期が長くなり、排卵の機会が減るという報告も多く寄せらたり、植物性エストロゲンを含む食品を大量に取り続けても同様のようです。

ですから、安易にサプリメントの形でイソフラボンを摂取するとか、毎日、豆乳を大量に飲み続けるようなことは控えるべきでしょう。

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