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VOL.736 快眠、快食、快便!

2017年07月23日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.736 2017/7/23
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・トピックス:快眠、快食、快便!
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2017年7月22日 曇り時々雨、のち晴れますように
ルーツ
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20170722.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
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トピックス Jul.2017_________________________________________________

 快眠、快食、快便!
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思うように授からない期間が長くなってくると、あれもやっておいたほうがいい、これもやっておかなければと、いろいろなことが気になるようになってくるかもしれません。ましてや、限られた時間の中で、すこしでもよい結果を求めようとするとなると尚更のことと思います。

そうなると、関心事はどんどん細かいこと、細かいところになっていきがちです。

ところが、そんな、To do リストをつぶしていくような「妊活」は、ともすれば、ストレスになり、マイナスになってしまうことがあります。

もしも、そうなりつつあるかな、そんな心当たりのある方は、To do リストは、いったん、横に置いておいて、そして、少し発想を変えてみて、「心地よさ」を追求してみてはどうでしょうか?

■心地よさが「妊娠力」のバロメーター

昔から、快眠、快食、快便と言われているように、よく寝て、よく食べ、よく排泄することこそが、健康状態の一番のバロメーターとされています。

それは、カラダが心地よく感じるのは、カラダがよく働いているということなのでしょう。


であれば、カラダに備わっている「妊娠しようとする力」も、また、カラダが心地よく感じ、喜び、自ら、そうしようとする時に最も高くなるはずです。

そんな発想で、「妊娠」を求めるのではなく、「心地よさ」を求めみてはどうでしょうか、ということです。

遠回りに思えるかもしれませんが、そのことが結果として、近道になるかもしれません。

最近、そのことを確かめた研究報告が増えてきています。

■快眠:よく眠ると受精率が高い

7月20日、21日の2日間、米子市で開催された日本受精着床学会で、「睡眠の質は受精率に影響する」という、神戸のクリニックからの発表がありました。

クリニックの患者さんに対して睡眠の質の指標を調べる質問票(ピッツバーグ睡眠質問票)を実施して、得点と受精率や胚盤胞率、良好胚盤胞率の関係を調べました。

質問票の得点は21点を最高に得点が高いほど睡眠が障害されていて、5点以下が睡眠障害なし、6-8点を軽度障害、9点以上を高度障害としたところ、受精率は順番に67.1%、63.1%、48.6%、胚盤胞率は62.9%、57.1%、48.4%、良好胚盤胞率は26.1%、21.9%、12.9%と、睡眠の質がよいほうが成績がよい傾向があり、受精率では有意な差がみられました。

このことから、睡眠の質の向上は妊娠する力を高めると考えられるとしています。

睡眠の質を高めるには、朝、早く起き、昼間、体を積極的に動かし、夜は暗くし、スマホはPCを遠ざけることがポイントです。

それが難しければ、メラトニンのサプリメントを利用するという次善策もあります。

■快食:よく食べるとのさまざまなメリット

快食とは、なんでも美味しく食べるということであれば、いろいろな種類の食材を偏りなく食べるということになりますが、このことのメリットは計り知れません。

食材ごとに含まれる栄養素の組成は異なりますので、偏りなく食べることが、結果として、未知のものも含めて、必要な栄養素を満遍なく摂り入れることになります。

栄養素の働きとして、それぞれの栄養素がエネルギーの源になったり、身体をつくる材料になったりするわけですが、それらは主な働きではありますが、全てではなく、特に、栄養素同士の相互作用によって、あらゆる働くを通して、私たちの身体の健康を維持し、そして、妊娠、出産を縁の下の力持ち的存在で支えています。

ビタミンB群は環境ホルモンによるマイナスの影響を中和する働きがある可能性があります。

中国の上海交通大学医学院の研究で、ビタミンB群が充足している女性の妊娠率は血中のDDT(環境ホルモン)の濃度に影響を受けなかったのに、ビタミンB群が不足している女性では血中DDT濃度が高くなると妊娠率の低下がみられることを確かめています(1)。

また、DDT濃度が高い女性は流産のリスクが高い傾向がありましたが、葉酸の濃度が高くなると流産率が低くなったといいます。

このことから過去に農薬や殺虫剤に使われていて、環境ホルモンとして生殖機能の低下のリスクを高めると考えられているDDTの影響に対してビタミンB群は予防効果を有することが示唆されたとしています。

また、アメリカのハーバード大学の研究では、大豆食品が環境ホルモンの1つであるビスフェノールA(BPA)の不妊治療成績へのマイナスの影響が緩和されることを確かめています(2)。

体外受精に臨む女性に、大豆食品の摂取量を調べ、尿中のBPA濃度を測定し、大豆食品の摂取が尿中BPA濃度と体外受精の治療成績との関係にどのように影響を及ぼすのかを解析しています。

その結果、大豆食品をあまり食べない女性では、尿中のBPA濃度が高くなるほど治療成績(出産率)が低くなりましたが、反対に、大豆食品をよく食べる女性では、尿中のBPA濃度が高くなっても治療成績が低下しなかったというのです。

このことから、大豆食品はBPAの不妊治療の治療成績へのマイナスの影響を緩和させる可能性があることがわかりました。

中国とアメリカの2つの研究は、ビタミンB群や大豆食品が、有害化学物質の妊娠へのマイナスの働きを中和しているというもので、そのメカニズムは、もちろん、不明ですが、なんらかの相互作用が働いているのではないかと推測されています。

さらに、亜鉛は生殖機能に深く関与していますが、鉄とともに不足しやすいミネラルとしても知られていますが、亜鉛の吸収は摂取しさせすればよいわけではなく、さまざまな因子が複合的に絡み合い、吸収効率が変わってくると言われています(3)。

たとえば、ミルクに含まれるクエン酸は亜鉛の吸収を高め、タマネギやニンニクには亜鉛の生体利用率を高める効果があり、大豆食品には亜鉛の吸収を高めるさまざまな因子がふくまれているとのこと。

その一方で、豆類や穀類には亜鉛と結合して亜鉛吸収を阻害するフイチン酸が多く含まれるため,亜鉛含量が比較的多いにもかかわらず生体利用率は低いと考えられています。 また、インスタント食品に含まれるポリリン酸も亜鉛と結合してその吸収を阻害します 。

このように、あらゆる食品や食材に含まれる種々雑多な栄養素や成分は、複雑に絡み合い、栄養素の吸収や活用、そして、有害な物質のマイナスの影響の中和に働いているようです。

大豆食品と言えば、イソフラボンが有名ですが、イソフラボンだけを抽出して、サプリメントで補うことは、限定的な働きしか得られないのかもしれません。

やはり、なんでも気持ちよく食べることに勝るものはありません。

■快便:マイクロバイオームの組成が妊娠力に影響を及ぼす

マイクロバイオームが、あらゆる領域で関心が高まっていますが、生殖医療でも全く例外ではありません。

マイクロバイオームとは、私たちの体の内部や表面、そして、あらゆる生活の場に存在する微生物の集まりのことです。

腸内細菌叢の組成が健康や免疫を調節していることがよく知られるようになりましたが、膣や子宮内のマイクロバイオームの組成が妊娠、出産に深く関与していることも、最近の研究で、どんどんわかってきました。

その背景には遺伝子検査技術の急速な進歩があります。要するに、微生物のDNA配列を測定することができるようになったおかげで、微生物の組成を精密にわかるようになったことがあります。
子宮内のマイクロバイオームの組成と治療成績との関係を調べた最新の研究がスペインのグループから発表されています(4)。

反復着床不全の患者を対象にマイクロバイオームの組成が善玉乳酸菌として知られているラクトバチルス優勢(90%以上)の患者は優勢でない(90%未満)患者に比べて、着床率や妊娠率、継続妊娠率が高く、流産率が低かったというのです。

あくまで、相関関係があったということで、善玉菌を優勢にすれば治療成績が改善されるかどうかがわかりません。

また、腸内の細菌叢は食事を改善すれば組成が変化することがよく知られていますが、子宮内の細菌叢も食事の影響を受けるのかわかりません。

ただし、食生活の改善を通して腸内細菌叢を善玉菌優勢しに、快便を目指すことで、栄養素の吸収や活用、さらには、免疫バランスが改善されることは間違いありません。

いかがでしょうか。

快眠、快食、快便を通して、妊娠や出産にふさわしい環境をつくることがご理解いただけましたでしょうか。

目指すべきは、「妊娠」ではなく、「心地よさ」です。


◎文献
1)Am J Clin Nutr December 2014; 100: 1470.
2)J Clin Endocrinol Metab 2016; 101: 1082.
3)J Brewing Society of Japan 2011; 106: 811.
4)Am J Obstet Gynecol 2016; 215: 684.

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編集後記____________________________________________________________

本格的な夏がやってくろと、日中は外にいるだけでも汗が噴き出してくるもの。そのため、せっかくの運動習慣もすっかり過去のものになってしまっていませんか?

であれば、早朝ウォーキングで運動習慣を復活させましょう!

さすがに早朝だと紫外線の強さもそれほどではなく、さわやかに汗をかくことができます。

はじめは朝早く起こるのがつらくても、すぐになれるもの。そして、朝早く起こることで、夜も早めにねむくなり、一石二鳥です。

夏バテ予防にもなりますね。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]    VOL.736
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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