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VOL.688 運動や日常生活の活動と体外受精の治療成績の関係

2016年08月21日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.688 2016/8/21
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:運動や日常生活の活動と体外受精の治療成績の関係
・編集室からのお知らせ:不妊治療を考えたら読む本出版記念講演会
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2016年8月21日 最新ニュース
女性の身体活動と体外受精治療成績の関係
http://www.akanbou.com/news/news.2016082101.html
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2016年8月20日 曇り時々雨、のち晴れますように
寝不足ではないですか?
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20160820.html
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2016年8月18日 曇り時々雨、のち晴れますように
カウンセリング事例:体外受精(1)
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20160818.html
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2016年8月17日 曇り時々雨、のち晴れますように
リオオリンピック
http://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20160817.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


最新ニュース解説 Aug.2016_________________________________________

 運動や日常生活の活動と体外受精の治療成績の関係
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運動や日常生活の活動内容は、体外受精の治療成績とは関連しないというハーバード大学によるEARTH研究の結果が発表されました。

━ 運動や日常生活の活動と体外受精の治療成績の関係

EARTH研究とはハーバード大学医学部の関連病院であるマサチューセッツ総合病院で体外受精や顕微授精を受けているカップルを対象に、栄養や食生活、環境中の化学物質などの治療成績への影響について調べる前向きコホート研究のことで、2006年にスタートして現在も進行中です。

今回は273名の女性を対象に、運動や日常生活の活動は体外受精の治療成績にどのような影響を及ぼすのかを調べています。

運動については、ウォーキング、ジョギング、ランニング、サイクリング、スイミング、テニス、スカッシュ、ウエイトリフティング、エアロビクス(マシンを使ったエクササイズを含む)などの運動の週の平均時間を、日常生活の活動は仕事や車の運転、自宅で座っている週の平均時間を、それぞれ、治療に入る前に調べたところ、運動や何もしていない時間と治療成績とは関連しなかったとのこと。

要するに、日常の身体活動は治療成績に影響しなかったというのです。

ただし、運動の種類別にみると、エアロビクスやボート漕ぎ、スキー、踏み台昇降マシンを週に平均1.5時間以上行う女性は、そうでない女性に比べて出産まで至る確率が高いこと、もう1つ、BMIがノーマル(18.5-25)な女性では、ジョギング、ランニング、サイクリング、スイミング、テニス、スカッシュ、エアロビクスなどの高い強度の運動と良好な治療成績に関連していたということです。

━ 不妊治療によい影響を及ぼす「運動」についての定義はない

適度な運動は、バランスのよい食生活や休息(睡眠)とともに、健康で長生きするための3つの柱とされていますが、このことは、そのまま、健康なお子さんの妊娠、出産についても言えることです。

ところが、不妊治療に臨む女性にとっての現実の問題として、どんな運動をどれくらい行えばいいのか、定かではありません。

つまり、不妊治療によい影響を及ぼす「運動」の定義はないということです。

実際に、これまでいくつもの研究報告があります。

たとえば、競技スポーツのアスリートの女性は、運動をしない女性に比べて、不妊症のリスクが高いという報告があります。

また、一般女性を対象にした疫学調査では、日常の運動時間が長くなるほどBMIに関係なく、排卵障害の不妊症のリスクが低く、週に5時間程度の運動が最もリスクが低かったという報告があります。その一方で、運動の強度と頻度が高くなるほど不妊症リスクが高くなるという報告があります。

体外受精の治療成績との関連研究では身体活動が活発な女性ほど妊娠率が高いとの報告があります。

このように相反する結果が出ています。

その理由としては、そもそも、身体活動を正確に把握することは困難であるということがあります。

実際に身体活動を測定するために開発された質問票が存在しますが、研究によって質問票が異なり、その精度にバラつきがあるからです。

もう1つ、身体活動の影響には個人差が大きいということ。

運動が生殖機能に良好な影響を及ぼすのは、血流や代謝の改善、インスリン抵抗性の改善、そして、ストレスの軽減などのメンタル面への働きなどが考えられています。

そのため、それぞれの身体の状態によって運動がプラスに働く場合もあれば、マイナスに働く可能性は否定できません。

そのため、同じ運動を行っても、その影響には個人差が大きく反映される可能性がありますし、どんな運動がそれぞれの女性に適しているのかについても異なるのかもしれません。

━ 自分たちにとっての最適な身体活動をみつける

今回の研究結果でも、全体でみると運動や日常生活の活動と体外受精の治療成績は関連しなかったというものですが、運動別、体格別にみると、運動が治療にプラスに影響していることもわかりました。

つまり、運動と妊娠しやすさの関係は、一概には言えないということになります。

であれば、自分たちに適した運動とそのレベルや時間をみつけて、取り組むことが大切なのかもしれません。

いずれにしても、治療成績に、直接、関連しなくても、ストレス軽減や身体の調子を整えることになる運動は「治療環境」をよくすることは間違いありません。


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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


編集室からのお知らせ______________________________________________
 
 不妊治療を考えたら読む本~科学でわかる「妊娠への近道」出版記念講演会のご案内
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7月20日に発売するやいなや、Amazonベストセラーランキング第一位になり、注目を浴びている「不妊治療を考えたら読む本~科学でわかる妊娠への近道」の出版記念講演会が開催さます。

・不妊治療を考えたら読む本~科学でわかる妊娠への近道
http://www.akanbou.com/bookguide/isbn10-4062579766.html

共著者である、浅田レディースクリニック院長の浅田義正先生、出産ジャーナリストの河合蘭さん、お二人の講演会です。

既に本を読み、もう少し、詳しく知りたいと思った方、本は読んでいないけれども、不妊治療を受けている、考えているので、著者のお二人のお話を、直接、聞いてみたいという方も、参加されてみてはいかがでしょうか。


<講演会詳細>
日時:9月10日(土)
入場:16:45~
講演:17:00~18:30

講師:浅田義正先生(医療法人浅田レディースクリニック理事長)
   河合 蘭氏(出産ジャーナリスト 科学ジャーナリスト賞2016受賞)
司会・ファシリテーター 松本亜樹子

会場:AP品川アネックス(〒108-0074 東京都港区高輪3丁目23-17品川センタービルディング受付1F)
Tel:03-5475-6109  Fax:03-5475-8109
https://www.tc-forum.co.jp/kanto-area/ap-shinagawaanex/shna-base-2/

会費:本をすでにお持ちの方 2000円
   本購入希望の方    3000円

定員:40名

お申し込みはこちらのフォームで 
https://goo.gl/forms/77qWKcSYWrLzTo1J3
ご質問・お問合せは株式会社メディエンス・池上まで(office@mr-net.org)

当社製品&サービス________________________________________________

・サプリメント:BABY&ME~新しい命のための環境づくり
 http://babyandme.jp/

・翻訳書:妊娠しやすい食生活
 http://www.akanbou.com/shoku/

・妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
http://www.akanbou.com/bookguide/


編集後記____________________________________________________________

暑さが厳しい日が続きますが、こんな季節に運動と言われても、ピンとこないかもしれませんね。
その上、そもそも、健康習慣など、よい習慣はなかなか長続きしなくて、悪い習慣はすぐに身についてしまうということがあります。

よい習慣が長続きしないことについて、アメリカで実施された興味深い研究があります。

それは、3日坊主で終わる人の特徴として、自分の意志の強さを過信する傾向があるのだそうです。それに対して、よい習慣が長続きする人は、自分は意志が弱いことを認識し、習慣が長続きするようなさまざまな工夫をしているとのこと。

なるほど!と思いましたね。

人間は、「意志」よりも、どちらかと言えば、「環境」に支配されていることを考えると、大切なことは「意志を強くする」よりも、「環境を整える」ということかもしれませんね。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.688
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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・自社配信: 1,919部
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・合計部数: 5,546部(8月21日現在)
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