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VOL.612 PCOSと生活習慣病のリスク

2015年03月08日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.612 2015/3/8
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:PCOSと生活習慣病のリスク
・お知らせ:「体外受精のためのヨガセラピー」受講申込受付中
・私たちが運営するサイト
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

 サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2015年3月7日 最新ニュース
PCOSの女性は生活習慣病等で入院するリスクが高い
http://www.akanbou.com/news/news.2015030701.html
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2015年3月6日 体外受精のためのヨガセラピー
4・5月コース受講申込受付中!
http://www.akanbou.com/info/20150306-3762.html
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記事についてのご質問は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


最新ニュース解説 Mar.2015___________________________________________
 
PCOSと生活習慣病等のリスク
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PCOSと診断された女性は、将来、心疾患や糖尿病などの生活習慣病や
精神疾患などで入院治療するようになるリスクが高いという西オーストラ
リア大学の研究者が報告しています。

西オーストラリア州のPCOSと診断された15歳以上の女性2566名
が1977~2011年の間にどんな病気で入院治療を受けたのか登録デー
タから調べ、同じ年齢のPCOSでない女性25660名のデータと比較
しています。

その結果、PCOSの女性はそうでない女性に比べると、明らかに入院治
療を受けることになることが多かったというのです。

どれくらいかというと、非PCOS女性の入院回数の中央値は2回に対し
てPCOS女性は5回、そして、主な疾患別の割合は以下の通りです。

・成人後発症糖尿病:12.5% vs 3.8%
・高血圧:3.8% vs 0.7%
・静脈血管性疾患:10.4% vs 5.6%
・喘息:10.6% vs 4.5%
・精神障害:14.0% vs 5.9%
・うつ:9.8% vs 4.3%

PCOSと診断された女性はPCOSでない女性に比べると明らかに将来
生活習慣病や精神疾患にかかりやすいと言えます。

━ PCOSとは?

PCOSとは多嚢胞性卵巣症候群のことで、小さな卵胞がたくさんみられ
る状態の卵巣のことを多嚢胞性卵巣といい、超音波検査で確認できます。

ただ、多嚢胞性卵巣であるだけでは、多嚢胞性卵巣症候群とは診断されま
せん。多嚢胞性卵巣であることに加えて、排卵しづらい(排卵障害)、あ
るいは、排卵しない(無排卵)という月経異常を伴うこと、そして、血中
男性ホルモン値が高い、または、LH(黄体化ホルモン)値が高いこと、
この3つをすべて満たすことが、最新の多嚢胞性卵巣症候群の診断基準と
されています。

ごく簡単に言えば、男性ホルモンの値が高いため、卵胞は発育するものの
途中で成熟が阻害されてしまい、排卵障害や無排卵を招くことで、不妊の
原因になるのが多嚢胞性卵巣症候群というわけです。

ただ、症候群なわけですから、その症状は、決して、一様ではなく、肥満
や内臓脂肪過剰、また、毛深くなるなどの男性化傾向がみられることがあっ
たり、インスリン抵抗性といって、インスリンの効き目が悪くなって、糖
や脂質の代謝に異常をきたす状態が、男性ホルモン値が高い背景にあるこ
とがあり、そのメカニズムはとても複雑なようです。

そのため、PCOSは、排卵障害や無排卵の原因というだけでなく、将来
的に、高血圧症や脂質異常症、心血管系疾患、糖尿病などの生活習慣病の
リスクの高いことが知られていました。

━ 日本ナースヘルス研究(JNHS)

日本でも同様の疫学調査が行われています。女性の生活習慣と健康に関す
る疫学調査、日本ナースヘルス研究で日本で最も信頼のおける疫学調査の
一つとされていますが、このデータを用いて実施されたものです。

日本産婦人科学会の調査では排卵障害の女性の約80%がPCOSとされ
ていることから、卵巣性不妊女性1167名の将来の高血圧、高コレステ
ロール血症、糖尿病などの生活習慣病のリスクを不妊症でない女性と比較
しています。

その結果も明確でした。

卵巣性不妊症女性は不妊症でない女性に比べて、将来、高血圧を発症する
リスクは65%高く、高コレステロール血症では40%、糖尿病ではなん
と3倍近くにもなるというものです。

━ PCOSは排卵障害だけでなく、将来、生活習慣病にかかりやすい

PCOSと診断された女性は、将来、生活習慣病や精神疾患にかかりやす
いという研究結果は数多く報告されています。

PCOSは症候群という病名の通り、その原因や発症メカニズムは遺伝的
なものも含めて複雑で複合的で、通り一遍のものではありません。

ただ、肥満の女性に多いこと、糖や脂質の代謝異常、インスリン抵抗性が
伴うことが多いことから、遺伝的、あるいは、生活習慣から栄養やホルモ
ンが悪いことが関与していることがはっきりしています。

そのため、その結果として、卵巣の働きが低下し、卵はたくさん育つけれ
ども排卵しない、排卵しづらくなり、不妊症の原因になっているわけです。

また、卵がたくさん育つわけですから、エストロゲン過多になり、子宮内
膜の異常な増殖だけでなく、将来的な子宮体がんのリスクも高くなるとさ
れています。

PCOSの原因となっているものが引き起こす結果の一つとして、生活習
慣病や精神疾患のリスクが高くなるということなのでしょう。

であれば、PCOSと診断されたら、もちろん、排卵障害や無排卵を治療
し、妊娠、出産を目指すだけでなく、それと同時に自分自身の体質をしっ
かりと把握し、将来にわたっての健康を見据えて生活習慣を見直すべきだ
と言えます。

━ 不妊を経験することのメリット

同様なことが男性不妊にも言えます。

男性不妊と診断された男性はそうでない男性に比べて、高血圧や心疾患な
どのリスクに関連するという研究報告もあります。

そもそも、生活習慣病は、突然、発症するものではありません。遺伝的な
ことと長期間に渡る生活習慣が相互に影響し、そして、徐々に、発症に向
かうものです。

明らかに自覚できるような不健康な生活習慣であれば気をつけることもで
きますが、遺伝的なものは自覚症状もないわけで、知りようがありません。

そのため、不妊治療のための精液検査やホルモン検査が自分自身の体質を
知るきっかけになるということは、ある意味でラッキーなことだと言えま
す。

新しい命を迎えるにあたって、まずは、お子さんを望むカップルの体内の
環境を整えることが大切だということだと思います。

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「体外受精のためのヨガセラピー」受講申込受付中!
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体外受精のためのヨガセラピーを開催しています。

体外受精のヨガセラピーとは体外受精の補完療法として、「リストラティブ
ヨガ」をベースにしたプログラムです。

体外受精の補完療法とか、リストラティブヨガとか、わかりづらいところが
あると思いますので、以下のページで解説しています。
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体外受精を受けていらっしゃる方、計画していらっしゃる方だけでなく、不
妊治療を受けていない方も大歓迎です。

受講の申込を受け付けています。コース内容の詳細や受講に関して、ご不明
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編集後記____________________________________________________________

3月の別名は「弥生」です。弥生の語源を語源辞典で調べてみると、「弥」
は、いよいよ、ますますという意味。そして、「生」は、その字の意味する
通りです。

つまり、弥生とは、ますます、新しい命が芽生えることを意味するわけです。

確実に気温が上がってくると、卵巣が卵子を成熟させる力も高まり、排卵率
も上がります。これまでと同じようにカラダに働きかけても、その反応がよ
くなってくるということです。

人間は、他の哺乳動物と違い、発情期があるわけではないのですが、やはり、
大自然の影響は確実に受けるものです。

年度末で、いろいろ、あわただしくなることもありますが、身も心も、新し
い生命を迎えるべく、大切に手入れしておきたいものです。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.612
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理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出
来る限り客観的な視点で、お届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://www.akanbou.com/
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