精子正常形態率が基準値を下回った場合の治療方針について

症状、検査・治療

Questionご質問・ご相談内容

精子正常形態率が基準値を下回った場合の治療方針について

夫の精液検査を2回実施しましたが、いずれも正常形態率が5%前後と非常に低い値でした。

インターネットなどで調べると、正常形態率15%以上がWHOで規定されている基準値で、治療としては「正常形態率が低い場合は体外受精・顕微授精を行う」と記載されている記事を目にします。

しかし、通院している病院では、「ご主人はDNA検査に問題がないので、正常形態率が低くてもそれほど問題ではない。しばらくタイミング治療で良いです。」という治療方針になりました。

もしもこのままタイミングをとっても、正常形態率が低いために妊娠が望めないのであれば、すぐにでもステップアップをしたいと思います。
主治医が「しばらくはタイミングでよい」という言葉をなかなか飲み込めなくて・・・。

一般的に正常形態率が5%前後の場合、どのような治療方針をとるものでしょうか?

お名前:pas  性別:女性  年齢:33
結婚歴:3年  不妊期間:2年1ヶ月  不妊治療期間:1年0ヶ月
これまでに受けた検査:ホルモン検査/精液検査(ご主人)/子宮卵管造影  これまでに受けた治療:タイミング指導/ホルモン療法(クロミフェン等の薬の服用)

Answer【回 答】妊娠しやすいカラダづくり 細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)

基準値を下回れば、必ずしも、体外受精や顕微授精でしか受精が成立しないというわけではありません

精子正常形態率は受精能力を知るための目安の一つです。

つまり、精子の正常形態率が低ければ、受精能力が低いのではないかと懸念されるということです。

ただし、そもそも、15%を基準値としているのは、体外受精による受精率と正常形態率の関係を調べたところ、正常形態率が15%以上であれば、率にかかわらず、受精率は変わらないことが確認されたからです。

ですから、正常形態率が、低い、すなわち、受精能力が低いことが懸念される場合には、体外受精や顕微授精を施すことでカバ-するわけですが、だからといって、基準値の15%を下回れば、必ずしも、体外受精や顕微授精でしか受精が成立しないというわけではありません。

つまり、15%というのは絶対的なものではなく、相対的なものと認識すべきということです。

実際のところ、東京歯科大学市川総合病院における自然妊娠例では、精子正常形態率の分布は2.5%から82%との報告があります。

また、正常形態率は受精能力をはかる目安の一つに過ぎません。

同じく受精能力を知る手がかりになるDNAの損傷度については問題ないとのことですし、さらには、妊娠の成立には、精子濃度や運動率なども大きく影響しますから、総合的に判断する必要があるわけす。

しばらくは、タイミング療法をお勧めになるのは、あくまで、身体に負担の少ない方法で妊娠の成立を目指そうとのお考えによるものでしょう。

時間を無駄にしたくないとのお気持ちはよく分かりますが、不妊治療はリスクを伴うものです。

また、納得のいくまで、先生にも直接疑問点をご相談になってみるのがよいと思います。

Q&A

これまでの相談一覧

カテゴリーメニュー

年齢別

症状、検査・治療

気になるキーワード

予め知っておいてほしいこと

回答について
専門家による回答ではありますが、限られた情報に対しての一つの見解であることをご理解ください。
また、すべての回答にお答えできないこと、回答に時間を要する場合があること、急を要するご質問・ご相談への対応や医療機関の紹介は行っておりませんのでご了承ください。

免責について
掲載された情報は、ご自身の判断と責任の元でご利用になられるもので、もし、掲載された情報をご利用になられた結果、不都合等が発生した場合でも、回答者や当サイトの運営者には一切の責任が発生しないことをご了承ください。