移植技術が子宮外妊娠の発生率に影響するのでしょうか?

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移植技術が子宮外妊娠の発生率に影響するのでしょうか?

胚移植をする先生の技術についてです。
現在通っている病院での体外受精で子宮外妊娠を1回経験しています。
胚盤胞を移植してでの子宮外妊娠だったので本当に運が悪いなあと思っていました。
先日あるサイトの口コミで私の通っている病院の事が書かれていました。
「先生の移植の腕が悪いらしく子宮外妊娠が多い」と。
現在凍結胚盤胞が2回分(2+1で3個)あります。
次回の周期に移植を予定しています。
ですがまた子宮外妊娠してしまったらと思うと移植が怖くなってきました。
先生の腕によって子宮外妊娠の確率が高くなるという事があるのでしょうか?

お名前:りり  性別:女性  年齢:34
結婚歴:5年  不妊期間:4年6ヶ月  不妊治療期間:4年6ヶ月
これまでに受けた検査:ホルモン検査/精液検査(ご主人)/子宮卵管造影  これまでに受けた治療:タイミング指導/ホルモン療法(クロミフェン等の薬の服用)/ホルモン療法(HMG・HCG等の注射)/AIH(人工授精)/IVF(体外受精)

Answer【回 答】妊娠しやすいカラダづくり 細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)

子宮外妊娠は、もちろん、その場所によってさまざまな原因が考えられるのでしょうが、最も多いとされている卵管内の妊娠では、直接的には、卵管に異常がある場合、卵管内を受精卵がスムースに移動できなくなってしまうために、起こることが多いとされています。

先生の腕、要するに、移植技術と子宮外妊娠の発生の関係はどうでしょう。

子宮外妊娠の発生率は、自然妊娠で、1%未満なのが、体外受精では、2~3%と高くなることから、子宮外妊娠は、高度生殖補助医療の合併症とされています。

もともと、体外受精を受ける方には、卵管に異常がある方が多いわけですから、体外受精で子宮外妊娠が増えるのは、そのような事情によるものと考えられます。

ただ、 これまでの文献では、胚移植の位置、要するに、子宮内のどの場所に胚を移植するかによって、子宮外妊娠の発生率が異なること、また、移植時に胚とともに子宮内に注入する培養液の量が多いと、子宮外妊娠の発生率が高まるとの報告があり、胚の操作が、子宮外妊娠の発生に関係することが示唆されています。

ですから、先生の移植技術によって、子宮外妊娠の発生率が変わる可能性がないとは言えません。

ただ、とても判断が難しい問題です。

子宮外妊娠というのは、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生するもので、医師の移植技術もその要因の1つである可能性は否定できないものの、さて、どれくらい発生率に影響するものなのか、全く不明です。

次に、「先生の移植の腕が悪いらしく子宮外妊娠が多い」と、サイト上の書き込みがあったとのことですが、それは、何を根拠にされてのことなのでしょうか?

実際にその病院での子宮外妊娠の発生件数を公表されているのでしょうか?

たとえ、子宮外妊娠の発生件数が、平均的な割合よりも多かったとしても、それが、医師の技術の低さが原因であるとは断定できません。

医師の医療技術を客観的に評価するのは大変難しいものだと思います。

アメリカやイギリスのように、全ての不妊治療のクリニックの治療成績が、統一の基準によって、公表されていれば、まだしも、日本では、そのような情報は全く開示されているわけでもありませんし。

ですから、私は、サイト上の書き込みは1つの噂程度と思っておいたほうがよいように思います。

りりさんの悩みは、不妊治療の際に、 病院や先生を選ぶために、限られた情報をどのように受け止めればいいのかという問題であるように思うのです。

不確かな噂は、あくまで、参考程度にして、あまり振り回されないことが大切です。

これまで治療を受けてこられて、治療に関する先生との受け答えの中で、りりさんご自身が、直接、感じたことをベースにお考えになるのが最も確かかと思います。

今後の治療についても、発生率が低いとされている胚盤胞移植で、子宮外妊娠がおこったことの原因として考えられること、また、再発することに対する予防策として、どのような方法があるのか、現在の不安を、率直に、先生にぶつけてみてはいかがでしょうか?

そして、先生の見解や治療方針に納得して、引き続き治療をお願いしたいと思えるかどうか、それとも、依然として、不安が大きいままなのかどうか、ご自身の目と耳で確かめてみることが大切だと思います。

これまで休みなく、ステップアップしてこられて、10回の胚移植にチャレンジされてこられたわけですから、この機会に、しばらく、治療を休憩されて、転院してみるのも選択肢としてあり、かとも思います。

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