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VOL.1181 最新の研究データから見た「睡眠」と「男性不妊」の関係とは?

2026年02月15日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1181                2026/2/15
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:最新の研究データから見た「睡眠」と「男性不妊」の関係とは?
・編集後記

最新ニュース解説 Feb. 2026__________________________________________

最新の研究データから見た「睡眠」と「男性不妊」の関係とは?
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睡眠の質が健康全般に影響を及ぼすことは、多くの研究で明らかにされています。そして、精子の質も例外ではないことが、昨年から今年にかけての研究報告で、睡眠が男性の生殖機能に及ぼす影響が徐々にわかってきました。

今週はそれらの重要な論文から、その詳細な関係とメカニズムに迫ってみたいと思います。

1) 臨床データが示す、睡眠の質と精液検査(中国)
中国の生殖医療センターで行われた727名の男性を対象とした研究では、不妊に悩む男性の75.1%が、睡眠に質が悪化していること(PSQIスコアによる判定)を報告しており、それによって精液所見に明らかな差が出ているという研究結果を報告しています(1)。

・精子濃度や精子運動率の低下
睡眠の質が低いグループは、良いグループと比較して精子濃度(β = -1.39)、前進運動率(β = -1.25)、精子総運動率がいずれも有意に低い結果であったことが示されています。

・パートナーの妊娠率への影響
注目すべきは、睡眠の質がパートナーの自然妊娠の妊娠率にもネガティブな影響を与えている可能性が示唆されたことです。

結論として、男性側の睡眠を見直すことが、精液所見の改善を通じてカップルの妊娠率を向上させるようなセルフケアになり得ることが強調されています。

2)睡眠の「量・質・タイミング」の影響(米国・カナダ)
北米の妊娠を希望するカップルを対象とした大規模なコホート研究(PRESTO)において、924名の男性を対象に行われた最新の研究結果です。

ここでは、睡眠の「時間」だけでなく「タイミング」にも焦点が当てられています。

・睡眠時間のU字型相関
睡眠時間が7時間未満の男性は、8時間の男性と比較して精子濃度が低下する傾向にあったことが示されています。

その一方で、極端に長い睡眠(9時間以上)もまた、必ずしも精液所見を向上させない「U字型」の傾向があるということが明らかにされています。

・睡眠負債とタイミング:
入眠時間が極端に遅い(深夜2時以降など)場合や、平日の睡眠不足を週末に補う「社会的時差ぼけ」が、精子のDNA断片化(DFI)のリスクを高める可能性が示されています。

この研究では、自然妊娠を目指すカップルの男性にとって、睡眠時間やタイミングが大切なポイントであることを教えてくれています。

3)睡眠の質が精子に影響を及ぼすメカニズム(中国)
最新のレビュー論文では、睡眠障害が男性不妊を引き起こす3つの主要な経路をまとめています。

・視床下部-下垂体-精巣系の抑制
睡眠不足はコルチゾールを上昇させ、テストステロンの産生を抑制します。特にテストステロンは睡眠中にピークを迎えるため、睡眠の中断はホルモン環境を直接悪化させます。

・酸化ストレスとメラトニンの欠乏
強力な抗酸化物質であるメラトニンは、夜間の睡眠中に分泌されます。睡眠障害によりメラトニンが減少すると、精巣内の酸化ストレスが増大し、精子の細胞膜やDNAがダメージを受けます。

・エピジェネティックな変化
概日リズム(サーカディアンリズム)の乱れは、精子形成に関わる遺伝子の発現を制御する「エピジェネティックなスイッチ」を書き換えてしまい、次世代への影響(DOHaD学説)を及ぼす懸念も指摘されています。

以上のように男性の妊活において、睡眠は単なる休息ではなく、「精子の質を担保する生物学的なメンテナンス時間」であると言えます。

ポイントは以下の通りです。
睡眠時間:7.5〜8時間の睡眠確保を目指す。
質:メラトニン分泌を最適化するため、就寝前のブルーライト曝露を避け、暗所での睡眠を徹底する。
セルフケアの期間:精子形成サイクル(約74日間)を考慮し、少なくとも3ヶ月以上の睡眠習慣の改善を推奨する。

ブルーライトは睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を妨げます。メラトニンは精子を酸化から守る強力な味方です。

入眠のルーチンとして、夜はスマホやPCを極力遠ざける、ぬるめのお風呂に浸かる、同じ時間に布団に入るなど、リラックスした状態で副交感神経を優位にすることが重要です。

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編集後記____________________________________________________________

睡眠時間を確保するのが難しい!という方も多いかもしれません。しかし、精子は約3ヶ月かけて作られます。今夜の質の良い睡眠が、3ヶ月後の未来を変えるかもしれません。 まずは今夜、いつもより30分早く電気を消してみませんか?

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1181
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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情報サイト:https://www.akanbou.com/
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