メルマガ

VOL.1174 食事の質とマルチビタミンミネラルの関係を考える

2025年12月28日

____________________________________________________________________

 妊娠しやすいカラダづくり No.1174               2025/12/28
____________________________________________________________________


今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:食事の質とマルチビタミンミネラルの関係を考える
・お知らせ:不妊相談会
・編集後記


最新ニュース解説 Dec. 2025__________________________________________

食事の質とマルチビタミンミネラルの関係を考える
-----------------------------------------------------------------------
妊娠前からの食事の質は、出生児の2歳時点での認知機能や言語発達に良好な影響を及ぼすが、食事の質が低い場合にはマルチビタミンミネラルのサプリメントが有効に働くことがカナダで実施された出生コホート研究で明らかになりました(1)。

妊娠前からのマルチビタミンミネラルのサプリメント摂取が推奨されていますが、出生児の2歳時点の神経発達まで良好な影響を及ぼすことは初めて報告されました。

そこで、その研究内容を紹介しながら、マルチビタミンミネラル使用についてどう考え、どう使うべきかのヒントを共有したいと思います。

この研究は、カナダ・ケベック州で実施されている3D Cohort Studyという、妊娠期から出生後までを追跡する大規模出生コホートのデータを用いて行われました。

◎研究デザイン
1500名以上の妊婦を対象に妊娠20〜24週に3日間の詳細な食事記録をつけてもらい、その結果からカナダの食事ガイドラインにそっているかどうかをスコア化し、食事の質が高いグループと食事の質が低いグループに分けました。また、マルチビタミンミネラル摂取の有無を記録しました。

一方、出生児が2歳に時点で認知発達、言語発達、運動発達を標準化検査で評価し、スコアが算出されました。

この研究の最大の特徴は、「食事の質」と「マルチビタミン摂取」を同時に評価し、両者の相互作用を調査した点にあります。

◎研究で何がわかったのか?
1)食事の質が低く、かつ、マルチビタミンも摂取していないグループの母親の出生児の認知や言語発達のスコアが最も低いことはわかりました。

2)食事の質が高いグループは、かつ、マルチビタミンを摂取してもいなくても認知・言語発達スコアは良好、マルチビタミンを使用しても明確な効果はみられませんでした。食事から十分な栄養がとれている場合、マルチは必須ではないことが示唆されました。

3)食事の質が低いグループでは、マルチビタミンを摂取していないと発達スコアは低いものの、マルチビタミンを摂取していると認知発達スコアが有意に高いことがわかりました。つまり、食事の質が十分でない場合に、マルチビタミンが補完的に働く可能性が示されました。

◎この研究が教えてくれる大切なメッセージ
この研究の結論は、とてもシンプルで、妊娠中の十分な栄養は、「質の高い食事」または「マルチビタミン」によって確保され得るということです。
ただし、その必要性は食事の質によって異なります。

つまり、食事の質が高い人にとってマルチビタミンは「必須」ではありませんが、食事の質が低い人にとってマルチビタミンは重要なセーフティネットになり得るということです。

この研究は、「マルチビタミンは飲むべきか・飲まないべきか」ということではなく、次の順番で考えることの大切さを示しています。

1)まず、自分の食事の質を振り返る
2)食事で十分に整えられるなら、それを最優先に
3)食事改善が難しい場合に、マルチビタミンで"底上げ"する

マルチビタミンは万能ではありませんが、適切に使用すれば、意味のある補充になります。

妊活前妊娠中の栄養は、「何かを足す」前に全体を整える視点が重要です。


文献:
1)Nutrients 2025; 17: 2020

--------------------------------------------------------------------
記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@partner-s.info


お知らせ__________________________________________________________

東京都調布市のウイメンズクリニック神野主催の第33回不妊相談会が2026年1月25日の日曜日に開催されます。

院長の神野正雄先生は、情熱をもって不妊治療、特に、高度生殖医療に取り組まれ、高齢による卵巣機能低下が原因の不妊症に対して、独自の考え方と方法で、高い実績を挙げておられる先生です。

当サイトのドクターに訊くでも、「質のよい卵を育むための生活習慣~高齢不妊との正しい戦い方」というテーマでインタビューさせていただき、記事にしています。

神野先生は、現代における不妊の主な原因は、晩婚化によって、お子さん望むようになったときには、女性は、既に、妊娠しづらい年齢に差し掛かっていることが多くなったこと。

また、現代に特有の不健康な生活習慣、すなわち、夜更かし、ストレス、歩かない生活、質の悪い食生活などが、インスリン抵抗性を招き、卵子や精子の質を低下させていることを指摘されています。

さらに、抗糖化機能性食品「ヒシエキス」が、ART反復不成功の高齢不妊患者さんの妊娠率を改善することを臨床試験により見出され、国内や海外の学会で発表され、論文にもなっています。

これまでの不妊相談会では、なぜ不妊になるのか、カップルで取り組むべきことはどんなことなのか、高度不妊治療とはどんなものなのかを解説しています。

個別相談も可能だそうです。
※先着26名まで。

◎第34回不妊相談会
日程:2021年1月25日(日)
時間:13:30~15:00
場所:調布市文化会館 たづくり 11階 1103 学習室
定員:26名
費用:無料

参加希望の方は下記あてお電話でお申込みください。
042-480-3105

・詳細はこちら
https://xs132599.xsrv.jp/setumeikai.html
・ウイメンズクリニック神野サイト
https://xs132599.xsrv.jp/index.html


編集後記____________________________________________________________

今年の最後の配信です。ご愛読いただきありがとうございました。よいお年をお迎えください!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1174
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします。
--------------------------------------------------------------------
不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
--------------------------------------------------------------------
発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
企業サイト:https://partner-s.info/
情報サイト:https://www.akanbou.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎発行部数
・自社配信: 1,732部
・まぐまぐ: 1,984部
・合計部数: 3,716部(12月28日現在)
--------------------------------------------------------------------
◎免責事項について
当メールマガジンの提供する情報は医師の治療の代わりになるものでは決してありません。プログラムの実行は各人の責任の元で行って下さい。プログラムの実行に伴う結果に関しては、当社の責任の範囲外とさせて頂きます。
--------------------------------------------------------------------
◎注意事項
読者の皆さんから寄せられたメールは、事前の告知なく掲載させていただく場合がございます。匿名などのご希望があれば、明記してください。また、掲載を望まれない場合も、その旨、明記願います。メールに記載された内容の掲載によって生じる、いかる事態、また何人に対しても一切責任を負いませんのでご了承ください。
--------------------------------------------------------------------
◎著作権について
当メールマガジンの内容に関する著作権は株式会社パートナーズに帰属します。一切の無断転載はご遠慮下さい。