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妊娠しやすいカラダづくり No.1172 2025/12/14
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今週の内容__________________________________________________________
・トピックス:朝食の食べ方も妊娠しやすさに影響する
・お知らせ:不妊相談会
・編集後記
トピックス Dec. 2025_______________________________________________
朝食の食べ方も妊娠しやすさに影響する
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朝食を食べる習慣はART成績の向上につながることが東京医科大学を中心としたグループの研究で明らかにされています(1)。
朝食を抜くことは、肥満やメタボリックシンドローム、2型糖尿病、脳卒中、冠動脈性心疾患の発症リスクが高くなることは、広く知られていますが、妊娠や出産に際してもマイナスの影響を及ぼすことがわかってきました。
東京医科大学の研究では、ART治療を受けた117名の女性患者に治療前の1年間と20歳時点の1週間あたりの朝食を食べる回数を調査し、また、年齢やBMI、喫煙、飲酒、分娩歴、AMHをカルテから入手しました。
それらのデータとその後のART治療成績との関連を解析したところ、週に6、7回、つまり、ほとんど毎日朝食を食べる女性は、食べない女性に比べて出産率が高いことがわかりました。
朝食を食べることが、食事全体の質だけでなく、生活の質にまで影響を及ぼすことが、多くの研究でわかっています。
たとえば、朝食を食べる人は食べない人に比べて食事全体の質がよく、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素や食物繊維の摂取量も多いという、東京大学の研究グループが厚労省の国民健康栄養調査のデータを解析した結果(2)を報告しています。
朝食を食べた人と朝食を食べなかった人の食事全体の質や栄養素の摂取状況を比較した結果、18歳から49歳の男女で朝食を食べない人の食事全体の質のスコアが527±6だったのに対して、食べる人では599±2と、朝食を食べる人は食べない人に比べて食事全体の質が高いというのです。
また、食品の摂取量では、朝食を食べる人は食べない人に比べて、野菜や果物、肉、卵、乳製品の摂取量が有意に多く、反対に、菓子類や清涼飲料水の摂取量が少ないこともわかりました。
さらに、栄養素の摂取量では、朝食を食べる人は食べない人に比べて、ビタミンDやビタミンE、ビタミンB2、B6、葉酸、ビタミンC、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅の摂取量が多いこともわかりました。
このように朝食を食べるか食べないかは、単に食事の回数だけでなく、食事の質や栄養素の摂取量と強く関係することがわかりました。
次に、どう食べるかも影響することがわかっています。
朝食をしっかり食べ、夕食を軽くするような食べ方がよいというのです。
食事と食事の間隔が長くなると、食後の血糖値が上がりやすくなることが知られています。
そのため、朝食を抜くと、夕食の次は翌日の昼食になり、昼食や夕食後の血糖値の急上昇を招きます。
また、朝食、昼食、夕食のカロリーバランスも食後血糖値に影響し、朝食を軽くし、夕食を重くするほど、食後血糖値の上昇が急になります。
実際の研究で確かめられています。
イスラエルのテルアビブ大学の研究(3)で、肥満ではないPCOS患者さんをランダムに2つのグループに分け、一方のグループには朝食をしっかり食べてもらい、もう一方のグループのは夕食をしっかり食べてもらうという内容です。
いずれのグループも1日の総カロリーは1800カロリーと同じで、それぞれのグループの3食のカロリー配分は以下の通りです。
・朝食しっかりグループ:朝食980カロリー、昼食640カロリー、夕食190カロリー
・夕食しっかりグループ:朝食190カロリー、昼食640カロリー、夕食980カロリー
結果は驚くべきもので、90日後には、夕食をしっかり食べたグループはインスリンやテストステロンのレベルが上昇した一方、朝食をしっかり食べたグループはインスリンやテストステロンレベルは約50%も低下し、排卵率が50%高まったというのです。
このように、朝食をしっかり食べ、夕食を軽くする効果は抜群です。
この研究は、そもそも、PCOSの女性を対象にしていますので、ここまで厳格にやらなくても、今よりも朝食をしっかり、特にタンパク質を食べ、夕食の量、特に炭水化物を少なくするだけでも生殖機能にプラスの影響を及ぼす可能性が大です。
私たちの調査では、妊活カップルで、朝食を食べない、あるいは、食べてもタンパク質のおかずを食べない女性が3割以上でした。
朝食を充実させ、夕食を軽くすることは、盲点かもしれません。
文献:
1)Nutrition 2024; 127: 112555
2)Nutrients 2018; 10: 1551
3)Clinical Science 2013; 125: 423
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お知らせ__________________________________________________________
東京都調布市のウイメンズクリニック神野主催の第33回不妊相談会が2026年1月25日の日曜日に開催されます。
院長の神野正雄先生は、情熱をもって不妊治療、特に、高度生殖医療に取り組まれ、高齢による卵巣機能低下が原因の不妊症に対して、独自の考え方と方法で、高い実績を挙げておられる先生です。
当サイトのドクターに訊くでも、「質のよい卵を育むための生活習慣~高齢不妊との正しい戦い方」というテーマでインタビューさせていただき、記事にしています。
神野先生は、現代における不妊の主な原因は、晩婚化によって、お子さん望むようになったときには、女性は、既に、妊娠しづらい年齢に差し掛かっていることが多くなったこと。
また、現代に特有の不健康な生活習慣、すなわち、夜更かし、ストレス、歩かない生活、質の悪い食生活などが、インスリン抵抗性を招き、卵子や精子の質を低下させていることを指摘されています。
さらに、抗糖化機能性食品「ヒシエキス」が、ART反復不成功の高齢不妊患者さんの妊娠率を改善することを臨床試験により見出され、国内や海外の学会で発表され、論文にもなっています。
これまでの不妊相談会では、なぜ不妊になるのか、カップルで取り組むべきことはどんなことなのか、高度不妊治療とはどんなものなのかを解説しています。
個別相談も可能だそうです。
※先着26名まで。
◎第34回不妊相談会
日程:2021年1月25日(日)
時間:13:30~15:00
場所:調布市文化会館 たづくり 11階 1103 学習室
定員:26名
費用:無料
参加希望の方は下記あてお電話でお申込みください。
042-480-3105
・詳細はこちら
https://xs132599.xsrv.jp/setumeikai.html
・ウイメンズクリニック神野サイト
https://xs132599.xsrv.jp/index.html
編集後記____________________________________________________________
葉酸サプリメントを二分脊椎等の神経管閉鎖障害の発症リスクの低減のためには妊娠3ヶ月迄で十分ですが、その後も継続することのメリットは小さくありません。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.1172
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
企業サイト:https://partner-s.info/
情報サイト:https://www.akanbou.com/
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