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VOL.1167 妊娠前のマルチビタミンサプリメントと出生児の神経発達障害の関係

2025年11月09日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1167                2025/11/9
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:妊娠前のマルチビタミンサプリメントと出生児の神経発達障害の関係
・編集後記


最新ニュース解説 Nov. 2025_________________________________________

 妊娠前のマルチビタミンサプリメントと出生児の神経発達障害の関係
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妊娠前からのビタミンDやマルチビタミンサプリメント補充、及び、良好な食事の質は、出生児のADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)リスク低下と関連し、それは出生児の脳容積を介している可能性があることが、オランダの大規模出生コホート研究、Generation R 研究で明らかになりました。

妊娠前の栄養状態が、出生後の長期間に渡る脳の発達や行動に影響することは、これまでの多くの研究で報告されています。

最近、その規模や質で世界的に有名なオランダの大規模出生コホート研究、Generation R 研究で、妊娠中のビタミンDやマルチビタミン、葉酸の摂取と、子どもの脳の構造や注意欠如・多動性障害(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)傾向との関係が調査されました。

◎どんな研究だったのか?
この研究には、約4,000人の母子が参加しました。

母親の妊娠中にビタミンDや葉酸の血中濃度が測定され、サプリメント摂取状況や食事の質が調査されました。

一方、子どもが9〜11歳になった時点でMRIによる脳画像解析が実施されました。

最後に保護者によってADHD・ASD傾向の質問票が記入され、妊娠前の母親の栄養状態、出生児の脳の構造、そして、出生児の9から11歳時点での神経発達障害の状況の関係が調査されました。

◎どんな結果だったのか?
ビタミンD濃度が高い母親の子どもはASD傾向が少なく、マルチビタミンを摂取していた母親の子どもではADHD傾向が少ないことがわかりました。

また、妊娠中の食事の質が良い母親の子どもでも、ADHDやASDの傾向が弱い傾向がみられました。

さらに、ビタミンDや食事の質が高い母親の子どもでは、側頭葉や頭頂葉といった脳の領域がやや大きいことが確認されました。

これらの脳の領域は注意や社会的理解に関わる部分であり、脳構造の違いが、ADHDやASD傾向との関係を部分的に媒介していることも示されました。

つまり、母体の栄養が胎児期の脳の形成に影響を与え、その結果として行動や発達特性に反映される可能性があるということです。

効果の大きさ自体は小さいものの、ビタミンDやマルチビタミンの摂取、そしてバランスの良い食事が、子どもの脳の健康的な発達を支える一助となることを示唆する重要な知見です。

この研究では葉酸単独の影響は明確ではありませんでしたが、これはオランダでは葉酸摂取が広く推奨されているため、全体的に摂取量が高く差が出にくかった可能性もあります。

妊娠中は「何を食べるか」だけでなく、ビタミンDのような不足しがちな栄養素をどのように補うかも大切です。

妊娠前からバランスのよい食事を心がけること、そして、その上で葉酸やビタミンDを十分量が含まれるマルチビタミンサプリメントを補充することで、お子さんの脳の健康に良好な影響が及ぼされる可能性が期待できるかもしれません。

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編集後記____________________________________________________________

サプリメントだけでなく、食事の質+マルチサプリメントがポイントです。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1167
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