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VOL.1129 35歳以上になるとビタミンD欠乏に注意

2025年02月16日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1129              2025/2/16
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:35歳以上になるとビタミンD欠乏に注意
・編集後記


最新ニュース解説 Feb. 2025__________________________________________

35歳以上になるとビタミンD欠乏に注意
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35歳以上で体外受精を受ける女性では、ビタミンDの欠乏が子宮内膜の着床環境悪化を介して着床率や妊娠率にマイナスの影響を及ぼす可能性があることが中国の研究で明らかになりました(1)。

普通、ビタミンと言えば体内でつくることが出来ないので、食事から取り入れる必要があります。

ところが、ビタミンDは例外でビタミンと呼ばながら、必要とされる量のほとんどは日光を浴びることで体内でつくられています。

そのため、特に女性ではお肌のために紫外線を避ける傾向が強いため、ほとんどの日本人女性でビタミンDが不足していることが知られています。

その一方で、ビタミンDは妊娠や出産に深く関わっていますので、ビタミンDを不足させないことは妊活の重要なテーマです。

特に35歳以上で体外受精を受ける女性にとっては大事であることを今回の研究結果が教えてくれています。

◎どんな研究だったのか?
初めて体外受精を受ける女性患者1459人を対象に治療開始前(ゴナドトロフィン投与初日)に採血し、ビタミンDを測定しました。

測定結果で年齢層(35歳未満と35歳以上)別に、欠乏グループ(20ng/mL未満)、不足グループ(20-29.9ng/mL)、充足グループ(30ng/mL以上)の3つのグループに分けて、それぞれの治療成績を比較しました。

また、体外受精女性患者35名を対象に着床時期に子宮内膜組織を採取し、子宮内膜受容能の目安となるマーカーの量を測定し、同様に年齢層別に欠乏グループ、不足グループ、充足グループの3つのグループの子宮内膜の受容能を比較しました。

◎どんな結果だったのか?
35歳未満の女性でも、35歳以上の女性でも、採卵数、正常受精卵数、良好胚数、移植可能胚数で、ビタミンDの欠乏、不足、充足で差はありませんでした。

ところが、胚移植の着床率や妊娠率は欠乏グループが最も低く、充足グループが最も高くなることがわかりました。

年齢層別では35歳未満は統計学的な有意差はありませでしたが、35歳以上になると有意に欠乏グループよりも不足グループ、不足グループよりも充足グループが高くなることがわかりました。

また、子宮内膜受容能も、35歳以上のグループのみが欠乏グループが最も低く、充足グループが最も高いことがわかりました。

これらのことからビタミンDの不足や欠乏は子宮内膜の受容能の低下を介して、胚移植後の着床率や妊娠率に対してマイナスの影響を及ぼす可能性があることがわかりました。

◎日本人女性不妊患者のほとんどはビタミンDが不足している
関東の不妊治療クリニック(亀田IVFクリニック幕張)で、2016年9月から2021年12月までの期間にクリニックを受診した2029人の女性について、血清25(OH)Dや、季節ごとの変動、また卵巣の予備能や免疫マーカーとの関連性を調査した研究があります(2)。

尚、25(OH)Dというのは、ビタミンDの過不足を知るための指標されています。血中の25(OH)Dが30ng/mL以上で充足、20〜30ng/mLで不足、20ng/mL未満で欠乏とされています。

その結果、平均血清25OH)Dは18.2±7.0ng/mLで、充足している人は6.7%、不足している人は28.0%、欠乏している人は65.5%で、93.5%がビタミンDが不足していたとのことです。

また、季節ごとの25(OH)D濃度を統計的に分析したところ、冬以外の季節では25(OH)D濃度が有意に高いことが確認されました。

この研究から、日本の生殖年齢の不妊女性のほとんどでビタミンDが不足や欠乏状態であり、わずか6%しか十分なビタミンD濃度が得られていないことがわかりました。

また特に2月の冬季に最も低い濃度となることが明らかとなっています。

◎年齢的には35歳以上、季節的は冬が要注意
中国の研究から体外受精の成績に明らかにマイナスの影響が出てくるのは35歳以上でした。

また、日本の研究から季節的には冬が最も欠乏しやくなることが明らかです。

ビタミンDが豊富な食材は限られていて、キノコ類やサケなどの魚類です。

そのため、ビタミンD不足対策は、出来るだけ日光を浴びることですが、紫外線はマイナスの影響もありますので、やはり、ビタミンDのサプリメント補充が最も確実です。

◎文献)
1)Front Endocrinol (Lausanne) . 202; 15: 1485238
2)nutrients 2023; 15: 5059

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編集後記____________________________________________________________

炭水化物は「制限」するのではなく、「選ぶ」ことが大切です。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1129
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