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妊娠しやすいカラダづくり No.1117 2024/11/23
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今週の内容__________________________________________________________
・トピックス:これからの季節、ビタミンD欠乏に要注意
・編集後記
トピックス Nov. 2024________________________________________________
これからの季節、ビタミンD欠乏に要注意
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この10年で、ビタミンDは、妊娠、出産に際して、極めて重要な役割を担うことが多くの研究で明らかになりました。
ビタミンDはビタミンとされているにもかかわらず、必要量のほとんどは紫外線にあたることで皮膚でコレステロールから合成されています。
もちろん、ビタミンDは食事からも摂取していますが、他のビタミンと異なり、ビタミンDが摂取できる食品は、ほとんど、魚だけで、それも「サケ」くらいです。
多くの女性は日焼け止めを使い、ビタミンDがつくられる紫外線をカットする上、冬は日照時間が短くなりますので、これからの季節は、特に不足しやすくなります。
◎日照時間や緯度によるビタミンD濃度の違い 北九州のオフィスワーカー男性312名、女性217名を対象に7月と11月の血中のビタミンDのマーカーを測定した研究(1)があります。
それによると、平均値は7月が27.4ng/mlだったのに対して、11月は21.4ng/ml と低く、ビタミンD欠乏(20ng/ml未満)の割合が7月では9.3%だったのに対して、11月では46.7%と半分近くになっています。
また、日照時間は季節だけでなく、場所(緯度)によっても異なります。そのため、同じ日本に住んでいても南と北ではビタミンDの体内濃度が違うはずです。
1日に必要とされるビタミンDをつくるのに必要とされる日光浴の時 間を札幌、つくば、那覇で7月と12月で比較した研究(2)があります。
それによると、両手と顔を露出した場合、7月の正午では那覇で2.9 分、つくばで3.5分、札幌で4.6分だったのに対して、12月の正午では那覇で8分、つくばで22分、札幌で76分と北にいくほど夏と冬の差が 大きくなっています。
このように、冬、特に北日本では、ビタミンD欠乏を意識的に回避す る必要があると言えます。 必要とされる量のビタミンDを体内でつくるのに、どれくらいの時間、日にあたればいいのか、推奨日光照射時間をタイムリーに教えてくれるサイトがあります。
国立環境研究所/地球環境研究センターが提供するビタミンD生成・紅斑紫外線量情報の簡易サイトです。
http://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/mobile/
まず「観測局の選択」で最寄りの観測局を選び、その日のその時間の天気で、適切な量のビタミンDを体内で生成するために推奨される日光照射時間が表示されます。
◎ビタミンD不足の影響は年齢が高くなるほど大きくなる
体外受精や顕微授精を受けている女性患者では、36歳以上では妊娠に至った女性は至らなかった女性に比べて、血液中や卵胞液中のビタミンD濃度が高かったという研究報告がなされています(3)。
イタリアの不妊治療クリニックで体外受精や顕微授精に臨む103名の女性患者を対象に、採卵時に血液中と卵胞液中のビタミンDの濃度を測定し、その後、妊娠に至ったグループ(34名)と妊娠に至らなかったグループ(69名)で比較し、ビタミンDの妊娠への影響を調べたという研究です。
妊娠グループと非妊娠グループの血液中のビタミンD濃度は、それぞれ、28.27ng/ml、24.02ng/ml、卵胞液中のそれは、それぞれ、28.7ng/ml、24.02ng/mlで、差はみられなかったものの、対象者年齢を36歳以上に絞って比較すると、妊娠グループと非妊娠グループの血液中のビタミンD濃度は、それぞれ、42.02ng/ml、24.98ng/ml、卵胞液中のそれは、それぞれ、41.76ng/ml、25.22ng/mlで、血液中でも、卵胞液中でも、妊娠グループのほうが統計学的に意味のある差でビタミンD濃度が高かったというのです。
要するに、年齢が高くなるほどビタミンDの充足は妊娠成立にとって重要な因子になり得るというわけです。
◎ビタミンD不足や欠乏を回避するために
これまでの研究で、魚介類をよく食べること、運動習慣があること、そして、タバコを吸わないことが、ビタミンDが不足しにくいことがわかっています。
ビタミンDが豊富に含まれる食品は、魚、それもサケですが、毎日、サケを食べるわけにもいきませんので、基本は日にあたることです。
意識して日光浴をするのも難しいと思うので、やはり、ウォーキング等の運動が現実的かもしれません。
ただし、女性の場合、季節を問わず日焼け止めクリームなどの紫外線対策を欠かさないという方も少なくないでしょうから、確実なのはサプリメントになると思います。
サプリメントを利用する場合は、ビタミンDは脂溶性のため摂取するタイミングが大切です。1日のうちで食事が最も多い食後が吸収効率がよいとされています。
文献)
1)J Epidemiol. 2011; 21: 346-53.
2)J Nutr Sci Vitaminol. 2013; 59: 257-63.
3)Eur Rev Med Pharmacol Sci. 2021; 25: 4964.
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編集後記____________________________________________________________
VDは、妊娠や出産に際して、葉酸の次に重要なビタミンですが、特に、冬場は不足予防が必須の季節です。
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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.1117
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