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VOL.1107 レスベラトロールは卵巣刺激への反応性を改善する

2024年09月15日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1107                2024/9/15
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:レスベラトロールは卵巣刺激への反応性を改善する
・お知らせ:不妊相談会
・編集後記


最新ニュース解説 Sep. 2024__________________________________________

 レスベラトロールは卵巣刺激への反応性を改善する
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35歳以上で体外受精を受ける女性への治療開始前3ヶ月間のレスベラトロールのサプリメント補充は、卵巣刺激への反応性を高めることが、イタリアで実施された無作為化比較対照試験で明らかになりました(1)。

◎レスベラトロールとは?
レスベラトロールはブドウの皮などの植物に含まれるポリフェノール(ほとんどの植物に存在する苦味や色素の成分。自然界に5,000種類以上あるとされています。)の一種です。

そもそも、ポリフェノールは、動くことが出来ない(敵から逃げられない)植物が紫外線や害虫、有害微生物などのストレスから身を守るために作り出す成分であり、抗酸化作用や抗炎症作用を有します。

私たちは、野菜や果物のような植物を毎日食べることで、さまざまなポリフェノールを体内に取り込み、健康を維持していますが、それは植物が自らを守るためにつくったものをいただいているというわけです。

その中でも、レスベラトロールは、アンチエイジング作用が最も期待されているポリフェノールです。

それは、細胞内のミトコンドリア活性を維持、改善するという、老化現象の進行を左右する根本的なメカニズムに関わっているからです。

30代後半から卵巣機能の低下がはじまりますが、それをなんとか遅らせることを期待してさまざまなサプリメントが使われていますが、このレスベラトロールが基礎研究や動物実験、臨床試験のデータが最も豊富です。

◎どんな研究だったのか?
この研究は2019年1月から2022年12月までナポリ大学IVFユニットで実施されました。

AMH(アンチミューラリアンホルモン)が1.2ng/mL以上で、35歳以上のART女性患者70名を無作為にレスベラトロール投与群(37例)とプラセボ群(33例)にグループわけしました。

そして、治療が開始される前の3ヶ月間、レスベラトロール群には1日150mgのレスベラトロールが、プラセボ群には同じ期間プラセボが投与され、その後の治療成績が比較されました。

◎どんな結果だったのか?
残念ながら妊娠率や出産率には差は出ませんでしたが、卵巣刺激に対する反応性がレスベラトロールによって改善されました。

具体的には、卵巣刺激に対する反応性の指標であるFORT(卵巣刺激後の発育卵胞数/刺激前の胞状卵胞数)やFOI(採卵数/刺激前の胞状卵胞数)がプラセボ群に比べてレスベラトロール群が有意に高いことがわかりました。

同じように卵巣刺激を実施した結果、採卵前の発育卵胞数や採卵数になる割合が高く、それは、レスベラトロールによって卵巣機能が向上したからだと考えられます。

このことから、35歳以上のART女性患者への治療開始前3ヶ月間のレスベラトロール投与は、FHSに対する卵巣感受性を改善することが示唆されました。

レスベラトロールは、卵巣予備能が正常な高齢ART女性患者の予期せぬ低反応のリスク減少に寄与する可能性があると考えられます。

◎ポリフェノールを意識した食生活
ポリフェノールの積極的な摂取が地中海食のアンチエイジング効果を高めるという研究報告がなされています(2)。

ポリフェノールだけをサプリメントで摂るというのも有りだとは思いますが、地中海食をベースにして、その上で、ポリフェノールを積極的に摂取するほうがベターです。

摂取する上での重要なポイントが2つあります。

1つは、出来るだけ多くの種類の野菜や果物を食べて、満遍なく摂るということです。

これまで名前の知られたポリフェノールは、よく調査研究されているということであって、ほとんどの植物に含まれているわけですから、とにかく、多くの種類の野菜や果物を食べるように工夫することが大切です。

もう1つは、毎日、摂取するということです。

ポリフェノールは水に溶けやすい性質があるため、比較的短時間で作用しますが、効果は長時間持続しないことが知られているからです。

最後に地中海食は和食にとても似ていて、昔ながらの和食のご飯を白米から玄米や胚芽米にし、野菜や果物の量を2~3倍にすることで、限りなく地中海食に近くなります。

地中海食と言えば、オリーブオイルを連想されるかもしれませんが、栄養学的にとても似た食べ方のようです。

植物が自らのサバイバルのためにつくられたポリフェノール、まさに、「自然の恵」としかいいようがありません。

この恩恵を利用しない手はありません。

文献)
1)J Ovarian Res 2024; 17: 81.
2)Nutrition 2018; 48: 87-95

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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@partner-s.info


お知らせ__________________________________________________________

東京都調布市のウイメンズクリニック神野主催の第32回不妊相談会が2024年11月9日の土曜日に開催されます。

院長の神野正雄先生は、情熱をもって不妊治療、特に、高度生殖医療に取り組まれ、高齢による卵巣機能低下が原因の不妊症に対して、独自の考え方と方法で、高い実績を挙げておられる先生です。

当サイトのドクターに訊くでも、「質のよい卵を育むための生活習慣~高齢不妊との正しい戦い方」というテーマでインタビューさせていただき、記事にしています。

神野先生は、現代における不妊の主な原因は、晩婚化によって、お子さん望むようになったときには、女性は、既に、妊娠しづらい年齢に差し掛かっていることが多くなったこと。

また、現代に特有の不健康な生活習慣、すなわち、夜更かし、ストレス、歩かない生活、質の悪い食生活などが、インスリン抵抗性を招き、卵子や精子の質を低下させていることを指摘されています。

さらに、抗糖化機能性食品「ヒシエキス」が、ART反復不成功の高齢不妊患者さんの妊娠率を改善することを臨床試験により見出され、国内や海外の学会で発表され、論文にもなっています。

これまでの不妊相談会では、なぜ不妊になるのか、カップルで取り組むべきことはどんなことなのか、高度不妊治療とはどんなものなのかを解説しています。

個別相談も可能だそうです。
※先着28名まで。

◎第32回不妊相談会
日程:2024年11月9日(土)
時間:13:00~15:00
場所:ウィメンズクリニック神野
定員:28名
費用:無料
参加希望の方は下記あてお電話でお申込みください。
042-480-3105
・詳細はこちら
https://www.akanbou.com/seminar/b675e3600bc13cbb69bbab0d4ad70ca069c7b0cd.pdf
・ウイメンズクリニック神野サイト
https://xs132599.xsrv.jp/index.html


編集後記____________________________________________________________

ポリフェノールのアンチエイジング作用は貴重です。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1107
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
企業サイト:https://partner-s.info/
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