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VOL.1080 超加工食品の摂取はホモシステイン濃度上昇を招く

2024年03月10日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1080            2024/3/10
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:超加工食品の摂取はホモシステイン濃度上昇を招く
・お知らせ:研究参加者募集:あなたの有機フッ素化合物(PFAS)汚染を調べませんか?
・編集後記


最新ニュース解説 Mar. 2024__________________________________________

 超加工食品の摂取はホモシステイン濃度上昇を招く
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超加工食品の摂取量が多いほど血中総ホモシステイン濃度が増加することが、オランダのエラスムス医科大学で実施された研究で明らかになりました。

超加工食品とは、その名前の通り、加工の程度が非常に高い食品で、ソーセージや菓子パン、清涼飲料などが代表的なものです。

超加工食品は脂質や塩分、炭水化物を多く含む一方、たんぱく質や食物繊維、ビタミン・ミネラル類があまり含まれないため、多く食べることで食事の質が低下してしまいます。

一方、ホモシステインは悪玉アミノ酸と呼ばれ、妊娠や出産に際していろいろな悪さを働くことが知られています。

たとえば、胚の発育障害だけでなく、流産や妊娠合併症、赤ちゃんの先天異常のリスク上昇を招きます。

このホモシステインは葉酸やビタミンB群が不足すると濃度が上昇します。葉酸補充が赤ちゃんの先天異常の予防につながるのは、このホモシステインが介在しているのです。

今回の研究では超加工食品を多く食べる女性はホモシステイン濃度が高いことを示しています。

◎どんな研究だったのか?
オランダのエラスムス医科大学で実施されているロッテルダム周産期コホートに参加している1532名の女性を対象に行われた研究です。

まずは、食物摂取頻度調査票を使って食事調査を実施し、超加工食品の摂取量を算出し、血中のホモシステイン濃度との関連を調査しました。

◎どんな結果だったのか?
超加工食品を多く食べる女性ほどホモシステイン濃度が高いことがわかりました。

体格でわけて調べてみると、標準体重の参加者では全体と同じように、超加工食品を多く食べる女性ほどホモシステイン濃度が高いことがわかりましたが、過体重や肥満の女性では、標準体重に比べて超加工食品とホモシステイン濃度の関係性は弱くなりました。

おそらく、過体重や肥満女性では過剰なカロリー摂取によるマイナスの影響が超加工食品による影響を打ち消したのではないかと推測されています。

◎超加工食品について
超加工食品は、ブラジルの研究グループによる「NOVA分類」で定義されています。

NOVA分類とは、加工度により食品を4つのグループに分けていますが、グループ4を超加工食品に分類されています。

具体的には、ソーダ、キャンディー、クッキー、ケーキ、エナジーバー、フルーツヨーグルト、食品代替バー、シェイク、ホットドッグ、大量生産された各種包装パン、シリアル、冷凍食品などです。

これらの食品はしばしば脂肪分、糖分、ナトリウムが多く、たいてい調味料、色素、人工甘味料などの添加物が含まれています。

◎超加工食品がホモシステインを増加させるメカニズム
今回の研究では超加工食品の過剰摂取がホモシステイン濃度上昇を招き、妊娠、出産には不利になることがわかりましたが、そのメカニズムには、直的的なものと間接的なものがあることが示唆されました。

前者(直接的)は、超加工食品を多く食べる食生活そのものに、ビタミン類が少なく、葉酸やビタミンB群の摂取不足になり、ホモシステイン濃度が高くなるというメカニズムです。

後者(間接的)が、超加工食品を多く食べる食生活は腸内環境を悪化させ、細菌叢のバランスを乱し、そのことが葉酸やビタミンB群の吸収や合成を妨げるのではないかというメカニズムです。

腸内細菌の作用として、栄養素の吸収や合成に関わっていることが知られています。

そのため、腸内細菌の異常は葉酸やビタミンB群の吸収や合成を阻害し、その結果、葉酸やビタミンB群が不足し、ホモシステイン濃度上昇を招くというわけです。

要するにビタミンを摂取していても、腸内環境が悪ければ、不足を招いてしまう可能性があるということになります。

また、質の低い食生活は、直接的にも、間接的にも、ビタミンやミネラルの不足を招き、さまざまな代謝障害を招くことになるのです。

最初は妊娠や出産に不利になり、そして、その後は、さまざまな生活習慣病にかかりやすくなります。

文献)
1)Eur J Nutr 2024 Feb 21. doi: 10.1007/s00394-024-03334-w. Online ahead of print.

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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


お知らせ__________________________________________________________

   研究参加者募集:あなたの有機フッ素化合物(PFAS)汚染を調べませんか?
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東京都調布市にあるウィメンズクリニック神野では、京都大学との共同研究「体内PFAS (有機フッ素化合物) 濃度と生殖補助医療成績との関連に関する研究」に参加いただける方を募集しています。

PFASとは有機フッ素化合物の総称で、撥水剤や消火剤、コーティング剤等に用いられていて、環境中で分解されにくく、蓄積性が高い物質であることから、水道水や井戸水などから体内に摂取されていると考えられています。

最近、PFASによる地下水汚染が日本全国で徐々に明らかとなってきており、東京都多摩地域もPFAS汚染が示され、 さらに多摩地域住民の血漿中PFAS濃度が高いことも示されました。

PFASの体内蓄積は、妊孕性低下との関連も示されています。

そこで、高度生殖補助医療を受けられる患者さんを対象に血液や卵胞液中のPFAS濃度を測定し、治療成績との関連を調査する研究がはじめられることになり、参加される方を募集します。

詳細は以下をご覧ください。
https://www.akanbou.com/PFAS_study.pdf


編集後記____________________________________________________________

食品の加工度は高くなるほど、健康を害する可能性が高くなるのですね。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1080
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:https://partner-s.info/
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