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VOL.1077 全粒穀物を取り入れる

2024年02月18日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1077            2024/2/18
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今週の内容__________________________________________________________

・トピックス:全粒穀物を取り入れる
・お知らせ:研究参加者募集:あなたの有機フッ素化合物(PFAS)汚染を調べませんか?
・編集後記


トピックス Jan. 2024________________________________________________

 全粒穀物を取り入れる
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妊娠や出産に必要とされる栄養素は、食事から体内に取り入れています。そのため、どんな食材を、どう食べるかは、妊娠や出産がうまくいくかどうかに、さまざまな面で影響を及ぼします。

大切なことは「習慣」、すなわち、毎日の食習慣です。

その中でも、主食と呼ばれるごはんやパンなどの糖質は、毎食食べるもので、この糖質の食べ方が及ぼす影響が最も大きいと言っても過言ではありません。

毎日、毎食のことですからね。

そして、主食を「全粒穀物」にすることは、妊娠や出産、そして、それだけでなく、一生の健康に、とても有利になります。

◎全粒穀物とは精製度の低い穀物のこと
全粒穀物とは加工度が低い、すなわち、精製などの処理で糠となる果皮、種皮、胚、胚乳表層部といった部分を除去していない穀物のことをいいます。

玄米、全粒粉パン、全粒粉パスタ、そば、オートミールなどがあります。

精製することで、穀物に、元々、含まれているビタミンやミネラル、脂肪酸、ポリフェノール、食物繊維などが除去されてしまいますので、全粒穀物では、それらを丸ごと摂取することが出来ます。

そして、それらの中でも、食物繊維は消化をゆっくりにし、糖質の吸収を抑えるますので、食後の血糖値を上げにくくする作用があります。全粒穀物は精製されたものに比べて食物繊維含有量が多いため、血糖値を上げにくいという特徴があります。

これらは、いずれも卵子や精子の成育環境をよくすることに寄与し、そのことが良好な治療成績につながっていると考えられます。

そして、精製食品をできるだけ避けることも大切で、白米や白いパン、白い砂糖入りの食品や飲料は、特に、空腹時には摂らないように注意します。

大切なことは、全粒穀物を取り入れるのは「期間限定」ではなく、「習慣化」するということです。

期間限定であれば、「食べ方」の改善が身体の働きや体質の変化につながらないからです。

◎全粒穀物は体外受精の治療成績に良好な影響を及ぼす
全粒穀物を習慣的に食べることは体外受精の成績を向上させる可能性があります。

ハーバード大学では、関連病院のマサチューセッツ総合病院で体外受精を受けているカップルを対象に食事と治療成績の関連を調査する研究「EARTH研究」を行っています。

その中で、全粒穀物の摂取量と治療成績の関連についての臨床試験が行われ、治療開始前の1年間に全粒穀物をよく食べている女性ほど、体外受精の出産率が高かったがわかりました。

体外受精に臨む273名の女性を対象に、それまでの1年間の食事調査を行い、全粒穀物の摂取量とその後の427治療周期の治療成績との関連を解析しています。

その結果、全粒穀物の1日あたりの摂取量で4つのグループにわけたところ、全粒穀物の摂取量が多いほど女性ほど治療周期あたりの着床率や出産率が高く、摂取量が最も少なかったグループでの出産率が35%、最も多かったグループでは53%と、18%の差があったとのこと。

因みに、成熟卵数や胚質は全粒穀物の摂取量で違いがなかったのに対して、胚移植時の子宮内膜厚は摂取量が多いほど厚かったことから、子宮内膜の受容能の一つの目安である子宮内膜厚を介するものではないかとしています。

◎主食以外でも加工度が低い食材を選ぶ
精製度や加工度が低いほうが、身体の働きに有利になるのは、何も穀物だけではありません。穀物は、主食になりますので、毎日、毎食食べることで、影響力が高いと考えられますが、他の食材も同様です。

たとえば、ハンバーグを自分で肉をひいてつくるのと、加工食品、すなわち、予め調理されたハンバーグでは加工度は相当な違いがります。

加工度が低い食べ方とは、シンプルな食材をシンプルに調理して食べることです。

手間はかかりますが、習慣化するとその差は歴然としたものになるはずです。


また、考えてみれば、妊活はいつかは終了します。

ただ、妊活を経験したことがきっかけになって、全粒穀物を取り入れることが「習慣化」されれば、その後の長い人生で、家族の生活習慣病にかかりにくい健康が手に入る確率が高くなります。

もしも、赤ちゃんが授かることができれば、赤ちゃんにとっての「食育」になるはずです。


◎文献)
Fertil Steril 2016; 105: 1503-1510

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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


お知らせ__________________________________________________________

   研究参加者募集:あなたの有機フッ素化合物(PFAS)汚染を調べませんか?
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東京都調布市にあるウィメンズクリニック神野では、京都大学との共同研究「体内PFAS (有機フッ素化合物) 濃度と生殖補助医療成績との関連に関する研究」に参加いただける方を募集しています。

PFASとは有機フッ素化合物の総称で、撥水剤や消火剤、コーティング剤等に用いられていて、環境中で分解されにくく、蓄積性が高い物質であることから、水道水や井戸水などから体内に摂取されていると考えられています。

最近、PFASによる地下水汚染が日本全国で徐々に明らかとなってきており、東京都多摩地域もPFAS汚染が示され、 さらに多摩地域住民の血漿中PFAS濃度が高いことも示されました。

PFASの体内蓄積は、妊孕性低下との関連も示されています。

そこで、高度生殖補助医療を受けられる患者さんを対象に血液や卵胞液中のPFAS濃度を測定し、治療成績との関連を調査する研究がはじめられることになり、参加される方を募集します。

詳細は以下をご覧ください。
https://www.akanbou.com/PFAS_study.pdf


編集後記____________________________________________________________

主食を少しずつ、精製度の低い穀物に入れ替えてみてはいかがでしょうか。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1077
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:https://partner-s.info/
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◎発行部数
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・合計部数: 3,581部(2月18日現在)
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