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VOL.1075 精子の質に目を向ける

2024年02月04日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1075            2024/2/4
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今週の内容__________________________________________________________

・編集長コラム:精子の質に目を向ける
・お知らせ:研究参加者募集:あなたの有機フッ素化合物(PFAS)汚染を調べませんか?
・編集後記


編集長コラム Jan. 2024_____________________________________________

 精子の質に目を向ける
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不妊の原因はさまざまあり、約半数のカップルで男性側に原因があるため、ふたりが一緒に検査や治療に取り組むことが大事であることはよく知られるようになったと思います。

ところが、精液検査に問題がなかったら、「お役御免」になってしまう男性が少なくないように思えてなりません。

もしも、そうなっているのであれば、妊娠までの道のりを遠まわりしている可能性があることを、是非、知っていただきたいと思います。

精液検査だけでは男性の妊孕性(妊娠させるための能力)を正確に知るには限界があるからです。

精液検査でわかるのは、精液量や精子の「数」「運動率」「形態」で、精子の「質」までは十分にはわかりません。

精子の質とは精子DNAの損傷度合いのことで、精液中の、DNAが損傷している精子の割合を精子DNA断片化指数(DFI)と呼び、パーセンテージであらわされます。

そのため、精液検査で問題なくても、質が低下した精子が多く、具体的には精子DFIが30%を超えると、治療成績にマイナスの影響が及ぼされることが知られています。

そして、そのようなケースが精液検査で正常と診断された男性の約3割に見られるとの研究報告もあります。

受精後の胚発育や妊娠の成立、継続には、当然ながら、卵子の質だけでなく、精子の質も深く関与しています。

卵子には受精後に精子のDNAの損傷を修復する働きが備わっていますが、それも女性の年齢が高くなれば、修復能力が低下することが知られていますので、女性が30代後半以上のカップルにとっては切実な問題です。

このように精液検査が全てではないということがおわかりいただけたかと思います。

さて、精子DNAの損傷の原因の多くは酸化ストレスで、それは、タバコや深酒、肥満、熱、ストレス、栄養不良、睡眠不足などで増大します。

ここで大切なことは、男性の精子は女性の卵子とは決定的に異なり、ほぼ生涯に渡り、つくり続けられているため、その時々の男性の心身の状態で、精子の質はよくなったり、悪くなったりするということです。

実際、禁煙やダイエット、抗酸化サプリメントの服用で、精子DNA断片化指数が改善されるという報告がなされています。

つまり、精子の質はどうにかすることが出来るということです。

そのため、パートナーが不妊治療を受けている男性は、バランスのよい食事をはじめ、健康的な生活習慣を心がけることで、精子の質が低下しないようにつとめることが妊娠への早道になるはずです。

さらに、そのことは、パートナーの負担が軽くなるだけでなく、ご自身の長期間に渡る心身の健康にも寄与することでしょう。

精液検査の結果にかかわらず、ふたりで取り組むことが何より大切なのです。

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↓編集長コラムバックナンバー
http://www.akanbou.com/column/henshuuchou/
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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


お知らせ__________________________________________________________

   研究参加者募集:あなたの有機フッ素化合物(PFAS)汚染を調べませんか?
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東京都調布市にあるウィメンズクリニック神野では、京都大学との共同研究「体内PFAS (有機フッ素化合物) 濃度と生殖補助医療成績との関連に関する研究」に参加いただける方を募集しています。

PFASとは有機フッ素化合物の総称で、撥水剤や消火剤、コーティング剤等に用いられていて、環境中で分解されにくく、蓄積性が高い物質であることから、水道水や井戸水などから体内に摂取されていると考えられています。

最近、PFASによる地下水汚染が日本全国で徐々に明らかとなってきており、東京都多摩地域もPFAS汚染が示され、 さらに多摩地域住民の血漿中PFAS濃度が高いことも示されました。

PFASの体内蓄積は、妊孕性低下との関連も示されています。

そこで、高度生殖補助医療を受けられる患者さんを対象に血液や卵胞液中のPFAS濃度を測定し、治療成績との関連を調査する研究がはじめられることになり、参加される方を募集します。

詳細は以下をご覧ください。
https://www.akanbou.com/PFAS_study.pdf


編集後記____________________________________________________________

精子の質をよくするのに最も有効なのは、射精の間隔を短くするという、本当に簡単なことです。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1075
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします。
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:https://partner-s.info/
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・合計部数: 3,580部(2月4日現在)
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