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VOL.1054 睡眠と精子の質との関係

2023年09月10日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1054              2023/9/10
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:睡眠と精子の質との関係
・お知らせ:不妊相談会
・編集後記


最新ニュース解説 Sep. 2023_________________________________________

 睡眠と精子の質との関係
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睡眠の質が低下すると乏精子症や精子無力症、奇形精子症になりやすくなるという研究報告が中国からなされています(1)。

寝不足や睡眠障害は、男性の精子をつくる働きを一時的に低下させたり、精子の質を悪化させたりするという研究報告は、これまでにも多くなされていますが、今回は睡眠の質の低下とOAT症候群との関係を調べています。

OAT症候群とは、精子濃度、精子運動率、正常形態精子率の低下が同時に起こっている状態のことです。

精液検査にはいくつもの項目がありますが、どれか一つだけが悪いというケースは少なく、数も、運動率も、正常形態率も低くなっていることが多いことから、欠精子症、精子無力症、奇形精子症を総称してOAT症候群といわれています。

◎どんな研究だったのか?
2020年7月から2021年6月まで、不妊クリニックに通院する男性を対象に、初診時に精液検査と同時に睡眠の質を評価しました。

睡眠の質はPSQI(Pittsburgh Sleep Quality Index)やESS(Epworth Sleepiness Scale)、STOP-BANGと呼ばれている質問票を用いて行われ、それらのスコアと精液検査結果との関係が調べられました。

◎どんな結果だったのか?
精液検査では、被験者男性466人のうち、347人が正常で、119人がOAT症候群であることがわかりました。

PSQIのスコアが5以上の睡眠の質が低下している男性は、正常グループでは29%だったのに対して、OAT症候群では42%もいました。

このことから、不妊クリニックに通院しているOAT症候群の男性は、主観的睡眠の質が低いことがわかりました。

◎日本人男性の睡眠
厚生労働省の国民健康・栄養調査の最新版をみてみると、1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満の割合が最も高く、男性32.7%、女性36.2% ですが、6時間未満の者の割合は、男性の 30~50 歳代では4割を超えています。

睡眠の質の状況について、男女ともに 20~50 歳代では「日中、眠気を感じた」と回答した者の割合が最も高く、睡眠の確保の妨げとなる点について、30~40歳代男性では「仕事」と回答した者の割合が最も高いという結果です。

男性は、仕事の影響で睡眠時間や質が低下している傾向がみてとれます。

◎スマホとの付き合い方で睡眠の質が左右される
睡眠の確保の妨げなる点について、20歳代では「就寝前に携帯電話、メール、 ゲームなどに熱中すること」という回答が最も多かったようですが、30代、40代でも少なくありません。

睡眠を司っているのは「体内時計」です。

この体内時計が、睡眠やホルンモン、神経活動、免疫など、さまざまな生理現象にリズムをもたらしているのです。性周期のない男性も同じです。メインの体内時計は一つで、脳内の視交叉上核、すなわち、目の神経が交差する部分の上にある神経細胞の集まりに存在しています。

そして、メインの他に全身の細胞、一つ一つにもあります。

メイン時計の1日の長さは、24時間より長いのですが、朝に目から入る光によって調節されます。

ところが、夜間に光を浴びると時計が狂ってしまいますので、寝る前はテレビやスマホは見ないようにすべきです。

特に、スマホは、テレビなどに比べて、目(脳)に近いので、その影響は強力です。40歳以上の女性では体内時計の乱れが卵巣機能低下を促進するという研究報告がなされています。また、スマホの夜間使用が精子の質を低下させるとの研究報告まであります。

夜間、そして、起床後すぐのスマホ使用は、男性の精子の質を低下させます。

スマホ使用を制限するだけでなく、以下の通り、生活リズムを意識して、体内時計を整えましょう。

1)夜は暗くする。
2)夜はスマホをみない。
3)早く(遅くとも12時までに)寝る。
4)朝は早く(決まった時間に)起きる。
5)目覚めと同時に自然光を浴びて、水を飲む。
6)朝食(タンパク質)を食べる。
7)午後3時以降はカフェリンを摂らない

文献)
1)Sleep Breath. 2023; 27: 1465-1471.

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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


お知らせ____________________________________________________________

東京都調布市のウイメンズクリニック神野主催の第31回不妊相談会が2023年9月16日の土曜日に開催されます。

院長の神野正雄先生は、情熱をもって不妊治療、特に、高度生殖医療に取り組まれ、高齢による卵巣機能低下が原因の不妊症に対して、独自の考え方と方法で、高い実績を挙げておられる先生です。

当サイトのドクターに訊くでも、「質のよい卵を育むための生活習慣~高齢不妊との正しい戦い方」というテーマでインタビューさせていただき、記事にしています。

神野先生は、現代における不妊の主な原因は、晩婚化によって、お子さん望むようになったときには、女性は、既に、妊娠しづらい年齢に差し掛かっていることが多くなったこと。また、現代に特有の不健康な生活習慣、すなわち、夜更かし、ストレス、歩かない生活、質の悪い食生活などが、インスリン抵抗性を招き、卵子や精子の質を低下させていることを指摘されています。

また、抗糖化機能性食品「ヒシエキス」が、ART反復不成功の高齢不妊患者さんの妊娠率を改善することを臨床試験により見出され、国内や海外の学会で発表され、論文にもなっています。

これまでの不妊相談会では、なぜ不妊になるのか、カップルで取り組むべきことはどんなことなのか、高度不妊治療とはどんなものなのかを解説しています。

個別相談も可能だそうです。
※先着8組まで。

◎第30回不妊相談会
日程:2023年9月16日(土)
時間:14:15~15:30
場所:調布市民プラザ あくろす 3階 ホール1
定員:50名
費用:無料
参加希望の方は下記あてお電話でお申込みください。
042-480-3105

・詳細はこちら
https://www.akanbou.com/seminar/fe2e3eea095dcb247c974836448a9d7c99bebd5d.pdf

・ウイメンズクリニック神野サイト
https://xs132599.xsrv.jp/index.html


編集後記____________________________________________________________

睡眠の質が悪いと酸化ストレスが上昇することがわかっています。酸化ストレスは精子の大敵です。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1054
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:https://partner-s.info/
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