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VOL.1051 長時間のデスクワークは精子の質を低下させる

2023年08月20日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1051              2023/8/20
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今週の内容__________________________________________________________

・トピックス:長時間のデスクワークは精子の質を低下させる
・お知らせ:不妊相談会
・編集後記


トピックス Aug. 2023_________________________________________

 長時間のデスクワークは精液検査結果ではなく精子の質を悪くする
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男性のデスクワークは精子DNA断片化率の上昇を招くかもしれないという研究結果がなされています。

精子DNA断片化率とは、損傷したDNAをもつ精子の割合のことで、20%以上になると受精率や妊娠率が低くなったり、流産率が高くなったりすると言われています。

この研究結果で興味深いのは、長時間のデスクワークは精液検査の結果には影響せず、精子DNAの損傷率を高めたということです。

ポーランドのポメラニアン医科大学の研究チームによって実施された研究で、大学病院に通院中で、週に35時間以上働く男性254名に、就労時間とデスクワークの時間を回答してもらい、デスクワークの時間が就労時間の50%以上の男性と50%未満の男性に分けて、精液所見や精子DNA断片化率との関係を調査したというものです。

その結果、デスクワークの時間と精液検査結果は関連しませんでしたが、精子DNA断片化率は関連したというのです。

・精子DNA断片化率中央値
デスクワーク50%以上:21.0%
デスクワーク50%未満:16.5%

・精子DNA断片化率高値(30%以上)
デスクワーク50%以上:31.0%
デスクワーク50%未満:16.7%

このようにデスクワークが50%以上の男性は50%未満の男性に比べて精子DNA断片化率が高くなるリスクが2倍でした。

論文の筆者は、今回の結果の原因として考えられるのは長時間のデスクワーク、すなわち、長時間、股間を圧迫した状態でいることが精巣の温度の上昇を招いたためではないかとしています。

そもそも、精巣の温度は体温に比べて1-2℃低い、32から35℃の間が適しているとされています。それは、精子形成に関わる遺伝子の発現レベルが精巣温度が上昇することで低下し、精子をつくる働きが低下してしまうからです。

そのため、精巣温度の上昇そのもの、また、そのことによる酸化ストレスの上昇により精子DNAの損傷を招いたのではないかとしています。

一方、男性の精巣温度を24時間モニタリングしたイタリアの研究で、健康な男性でも、車の運転中や仕事中など同じ姿勢で座ることで陰嚢の温度が上昇することを確認しています。

ただし、長時間座って仕事をしている時でも、コーヒーブレイクの時は温度が急降下していることから、体制を変えたり、休憩時には歩き回ることで精巣を冷やせるようです。

また、ハーバード大学の研究では、ボクサータイプ(ゆったりしたタイプ)の下着をつける男性は、その他のタイプの下着(肌にフィットしたタイプ)をつける男性に比べて精子濃度や総精子数、総運動精子数が多かったとの報告がなされています。

このように日常生活でのちょっとした心がけで、精子の質を維持できることがわかっています。

今回の研究では長時間のデスクワークは精子DNA断片化率の上昇を招いているものの、精液所見への影響はみられませんでした。

このことは、精巣の温度上昇は精子の数や運動率を低下させることなく、精子DNAを損傷し、精子の質を低下させたことが示唆されます。

精子DNA断片化率の検査はどこのクリニックでも受けられるものではありません。そのため、たとえ、精液検査に問題がなかったからといって、男性側、すなわち、精子の問題が妊娠率にマイナスの影響を及ぼさないとは言い切れないということになります。

特に高齢女性の卵子は精子のDNAの損傷の修復能力が若い頃に比べると低下すると言われています。

そのため、たとえ、精液所見に問題がなくても、精子の質を低下させないような生活習慣を心がけることが大切です。

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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
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お知らせ____________________________________________________________

東京都調布市のウイメンズクリニック神野主催の第31回不妊相談会が2023年9月16日の土曜日に開催されます。

院長の神野正雄先生は、情熱をもって不妊治療、特に、高度生殖医療に取り組まれ、高齢による卵巣機能低下が原因の不妊症に対して、独自の考え方と方法で、高い実績を挙げておられる先生です。

当サイトのドクターに訊くでも、「質のよい卵を育むための生活習慣~高齢不妊との正しい戦い方」というテーマでインタビューさせていただき、記事にしています。

神野先生は、現代における不妊の主な原因は、晩婚化によって、お子さん望むようになったときには、女性は、既に、妊娠しづらい年齢に差し掛かっていることが多くなったこと。また、現代に特有の不健康な生活習慣、すなわち、夜更かし、ストレス、歩かない生活、質の悪い食生活などが、インスリン抵抗性を招き、卵子や精子の質を低下させていることを指摘されています。

また、抗糖化機能性食品「ヒシエキス」が、ART反復不成功の高齢不妊患者さんの妊娠率を改善することを臨床試験により見出され、国内や海外の学会で発表され、論文にもなっています。

これまでの不妊相談会では、なぜ不妊になるのか、カップルで取り組むべきことはどんなことなのか、高度不妊治療とはどんなものなのかを解説しています。

個別相談も可能だそうです。
※先着8組まで。

◎第30回不妊相談会
日程:2023年9月16日(土)
時間:14:15~15:30
場所:調布市民プラザ あくろす 3階 ホール1
定員:50名
費用:無料
参加希望の方は下記あてお電話でお申込みください。
042-480-3105

・詳細はこちら
https://www.akanbou.com/seminar/fe2e3eea095dcb247c974836448a9d7c99bebd5d.pdf

・ウイメンズクリニック神野サイト
https://xs132599.xsrv.jp/index.html


編集後記____________________________________________________________

連日の猛暑で、男性の下半身に熱がこもると、精子の質が低下するおそれがあります。熱中症予防だけでなく、精子の質の低下予防にも意識する必要があります。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1051
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:https://partner-s.info/
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