メルマガ

VOL.1047 空腹時高血糖に要注意

2023年07月16日

____________________________________________________________________

 妊娠しやすいカラダづくり No.1047              2023/7/16
____________________________________________________________________


今週の内容__________________________________________________________

・トピックス:空腹時高血糖に要注意
・お知らせ:不妊相談会
・編集後記


トピックス Jul. 2023________________________________________________

 空腹時高血糖に要注意
--------------------------------------------------------------------
空腹時高血糖が高めの人は、将来的に糖尿病にかかるリスクが高い、いわゆる糖尿病予備軍と呼ばれています。

この空腹時高血糖が、たとえ基準値内でも妊娠する力の低下に関連し、妊娠するまで時間がかかるという研究報告がなされています。

シンガポールのS-PRESTO研究というシンガポール妊娠前コホート前向き研究で、妊娠前や妊娠中の母親の食生活や生活週間が妊娠や出産、出生児の健康にどのような影響を及ぼすのかを調べ、母子の健康に寄与することを目的としたシンガポールの国家プロジェクトです。

S-PRESTO研究で、血糖値と妊娠しやすさの関係を調べることを目的に18-45歳の不妊症でない妊娠希望のアジア人女性(中国系、マレー系、インド系)766名を対象に実施されています。

研究開始時に被験者女性の空腹時血糖値、食後2時間血糖値、ヘモグロビン・エーワンシー(HbA1c)を測定し、血糖値とその後(追跡期間は1年間)の妊娠しやすさがどのような関係にあるかが調べられています。因みに妊娠しやすさは妊娠するまでにかかった期間から妊娠確率を算出しました。
まず、研究開始時の測定の結果、正常血糖だったのは633名で、高血糖(糖尿病予備軍、糖尿病)だったのは103名でした。

因みに糖尿病予備群はや糖尿病の基準は以下の通りです。
※糖尿病予備群
・空腹時血糖値:100.8-124.2mgl/dL (IFG)
・食後2時間血糖値:140.4-198mg/dL (IGT)
・HbA1c:5.7%-6.4%

※糖尿病
・空腹時血糖値:126mg/dL以上
・食後2時間血糖値:199.8mg/dL以上
・HbA1c:6.5%.以上

結果は、正常血糖女性に比べて高血糖女性はその後の妊娠率が44%低いというものでした。

また、空腹時血糖値で5つのグループに分けたところ、最も高いグループ(91.8mg/dL以上)の女性は最も低いグループ(79.2mg/dL以下)の女性に比べて妊娠率が40%低いこともわかりました。

空腹時血糖値以外は妊娠しやすさに関連しませんでした。

血糖値、特に空腹時血糖値が妊娠しやすさに関係するという結果だったのですが、特筆すべきは基準値内、すなわち、糖尿病予備軍でも、糖尿病でもなくても、妊娠しやすさの低下につながる可能性があるということです。

そのため、空腹時血糖値が少し高めであれば、食生活と生活習慣を改善することで空腹時血糖値を下げることで妊娠する力を取り戻せるかもしれません。

また、そのことは、妊娠しやすさだけでなく、妊娠後の胎児の成育環境も改善されることになり、出生児の健康にもつながることになります。

空腹時高血糖は、もちろん、不妊症の原因であるということではありませんが、妊娠率低下のリスクファクターになり得ることがこれらの研究で示されたことになります。

そのため、妊娠を望まれるカップルにとって、空腹時高血糖や高血圧を招きにくいライフスタイルを心がけることが大切です。

製薬会社のノボノルディスクファーマは「高血糖を防ぐためのアクションプラン10」を推奨しています。以下、サイトから抜粋します。

◎食事編

1)ベジタブルファースト
食事はまず野菜から。サラダや温野菜、野菜スティックがおすすめ。その後から 食べる糖質の吸収がゆっくりに。

2)糖質の重ね合いに注意
うどん+かやくご飯、パスタ+パンのような、糖質が主体のメニュー2 種を一度に食べるのは考えもの。野菜不足も心配。

3)食べ過ぎ、糖質の摂り過ぎに注意
目指すは「腹八分目」。糖質を控えめにしても、肉や揚げものなどから脂質をとり過ぎないように気をつけて。

4)食事は抜かない。夕食は早めに
欠食すると、次の食事で食後高血糖を起こしやすくなる。遅めの夕食は、寝ている間の高血糖と肥満のもと。

5)よくかんで、ゆっくり食べよう
満腹感が高まり過食が抑えられるとともに、かむことで腸からインスリン分泌 を促すホルモンが出てくる。

◎運動編

1)通勤時にひと駅分(20分程度)歩く
朝、ひと駅先まで歩くもよし、帰りにひと駅手前で降りて歩くもよし!

2)昼休みは「歩いて店へ→ランチ→歩いて会社へ」
ちょっと遠い店まで歩いて行ってランチを。帰りは自ずと"食後の運動"になる

3)「2up3down」までは階段へ
上りは2階分、下りは3階分までは、エスカレーターやエレベーターより階段で

4)出かけない日は掃除うあ片付けをがんばる
どこへも出かけない日は、家の掃除や模様替え、物置の整理整頓などにいそしんで!

5)歩数計をもとう(スマホの歩数計を見よう)
歩数計を身に着けるだけで「歩こう」というモチベーションが高まる

私たちには、血糖値や血圧などを適切な範囲内に維持する働きが備わっています。ホメオスタシス、日本語で言えば恒常性です。身体の内部や外部の環境因子の変化にかかわらず、身体の状態を一定に保つ働きのことです。

ところが、空腹時高血糖は、なんらかのバランスの悪化で、ホメオスタシスが追っつかなくなってしまている状態と考えられます。

あるいは、年齢によって、ホメオスタシスの働きが低下してしまいます。

そのため、年齢を重ねるにしたがって、食や身体活動のバランスを意識することは必須になります。

そのことによって、妊娠する力の低下を予防できるだけでなく、近い将来の生活習慣病の発症の予防、生活の質の維持や向上につながるはずです。

--------------------------------------------------------------------
記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


お知らせ____________________________________________________________

東京都調布市のウイメンズクリニック神野主催の第31回不妊相談会が2023年9月16日の土曜日に開催されます。

院長の神野正雄先生は、情熱をもって不妊治療、特に、高度生殖医療に取り組まれ、高齢による卵巣機能低下が原因の不妊症に対して、独自の考え方と方法で、高い実績を挙げておられる先生です。

当サイトのドクターに訊くでも、「質のよい卵を育むための生活習慣~高齢不妊との正しい戦い方」というテーマでインタビューさせていただき、記事にしています。

神野先生は、現代における不妊の主な原因は、晩婚化によって、お子さん望むようになったときには、女性は、既に、妊娠しづらい年齢に差し掛かっていることが多くなったこと。また、現代に特有の不健康な生活習慣、すなわち、夜更かし、ストレス、歩かない生活、質の悪い食生活などが、インスリン抵抗性を招き、卵子や精子の質を低下させていることを指摘されています。

また、抗糖化機能性食品「ヒシエキス」が、ART反復不成功の高齢不妊患者さんの妊娠率を改善することを臨床試験により見出され、国内や海外の学会で発表され、論文にもなっています。

これまでの不妊相談会では、なぜ不妊になるのか、カップルで取り組むべきことはどんなことなのか、高度不妊治療とはどんなものなのかを解説しています。

個別相談も可能だそうです。
※先着8組まで。

◎第30回不妊相談会
日程:2023年9月16日(土)
時間:14:15~15:30
場所:調布市民プラザ あくろす 3階 ホール1
定員:50名
費用:無料
参加希望の方は下記あてお電話でお申込みください。
042-480-3105

・詳細はこちら
https://www.akanbou.com/seminar/fe2e3eea095dcb247c974836448a9d7c99bebd5d.pdf

・ウイメンズクリニック神野サイト
https://xs132599.xsrv.jp/index.html


編集後記____________________________________________________________

妊活は、将来の生活習慣病の発症リスクを低くすることにもつながるということですね。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1047
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします。
--------------------------------------------------------------------
不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
--------------------------------------------------------------------
発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:https://partner-s.info/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎発行部数
・自社配信: 1,457部
・まぐまぐ: 2,230部
・合計部数: 3,687部(7月16日現在)
--------------------------------------------------------------------
◎免責事項について
当メールマガジンの提供する情報は医師の治療の代わりになるものでは決してありません。プログラムの実行は各人の責任の元で行って下さい。プログラムの実行に伴う結果に関しては、当社の責任の範囲外とさせて頂きます。
--------------------------------------------------------------------
◎注意事項
読者の皆さんから寄せられたメールは、事前の告知なく掲載させていただく場合がございます。匿名などのご希望があれば、明記してください。また、掲載を望まれない場合も、その旨、明記願います。メールに記載された内容の掲載によって生じる、いかる事態、また何人に対しても一切責任を負いませんのでご了承ください。
--------------------------------------------------------------------
◎著作権について
当メールマガジンの内容に関する著作権は株式会社パートナーズに帰属します。一切の無断転載はご遠慮下さい。