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VOL.1043 妊娠中のオメガ3脂肪酸と出生児の食物アレルギー

2023年06月18日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1043             2023/6/18
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:オメガ3脂肪酸と小児アレルギー
・編集後記


最新ニュース解説 Jun. 2023__________________________________________

 オメガ3脂肪酸と小児アレルギー
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妊娠中や授乳中の母親のオメガ3脂肪酸のサプリメント摂取は出生児の食物アレルギー発症リスクの低減に寄与する一方で、乳幼児のオメガ3脂肪酸のサプリメントは食物アレルギーの予防に寄与しないことが台湾からの研究で明らかになりました。

オメガ3系脂肪酸は必須脂肪酸の一つで、α-リノレン酸やDHA、EPAなどがあり、フラックスオイル(亜麻仁油)やエゴマ油、シソ油、魚油などに豊富です。

必須脂肪酸とは、体内で作られていない脂肪酸で、食事で摂取するしかありません。そのため、食事内容、特に魚をあまり食べないと不足しやすくなります。

◎どんな研究だったのか?
システマティクレビュー&メタ解析という研究方法で、システマティック・レビューとは、一定の基準を満たす質の高い臨床研究を調査し、それらの研究から得られたエビデンスを適切に分析・統合を行うことで、メタ解析とは、それまで実施された複数の研究結果を統合するための統計解析です。

今回の研究では、条件を満たす12件の無作為比較対照試験が抽出されています。総被験者数は3274組の母子で、7件が妊娠中の母親、2件が妊娠中、授乳中の母親、3件が出生児のオメガ3脂肪酸サプリメントの有効性を評価したものでした。

オメガ3脂肪酸サプリメントの平均の1日あたりの摂取量は母親が492から3700 mg、出生児は184から390mgでした。

◎どんな結果だったのか?
妊娠中および授乳中の母親のオメガ3サプリメント補充は、乳児の卵アレルギーやピーナッツアレルギーのリスク低下と、それぞれ有意に関連しました。

また、生後3年以内の食物アレルギー、生後3年以降のピーナッツやカシューナッツアレルギーでも同様の結果が得られました。

その一方、幼児期のオメガ3脂肪酸の摂取は、食物アレルギーリスク低減との有意な関連は認められませんでした。

このことから、幼児期の摂取ではなく、妊娠中および授乳中の母親のオメガ3サプリメント摂取が、出生児の食物アレルギーおよび食物感作のリスク低減に寄与することがわかりました。

◎オメガ3脂肪酸とは?
脂肪酸とは油の成分で多くの種類があって、それぞれ性質や働きが異なりますが、大きく分けると飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。

飽和脂肪酸は、肉の脂肪やバターなどに多く含まれ、常温では固体です。一方、不飽和脂肪酸は主に植物や魚に多く含まれ、常温では液体です。

不飽和脂肪酸はさらに、オメガ3、オメガ6、オメガ9の3つのグループに分けられます。オメガ6系脂肪酸は、リノール酸などがあり、コーン油、ゴマ油、大豆油、紅花油、ひまわり油、サフラワー油などに多く含まれています。そして、オメガ3系脂肪酸はα-リノレン酸やDHA、EPAなどがあり、フラックスオイル(亜麻仁油)やエゴマ油、シソ油、魚油などに豊富です。最後のオメガ9系脂肪酸はオレイン酸などがありオリーブオイル、菜種油、パーム油などに豊富です。

これらの脂肪酸の中でも体内でつくることができない必須脂肪酸がこのオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の2つです。

これらは、細胞質を構成する成分になったり、炎症やアレルギー反応に関与する生理活物質の原料になったりすることから、生殖機能をはじめとした健康状態に大きな影響を及ぼします。

必須脂肪酸なので供給源は食事で、食事の内容次第で、過不足が生じ、現代に特有の食環境はオメガ6の過剰とオメガ3不足を招き、炎症反応の促進し、生殖機能へのマイナスの影響が懸念されています。

◎魚を食べる、もしくは、オメガ3脂肪酸(DHA、EPA)のサプリメント
オメガ3脂肪酸は妊娠、出産、育児において、とても重要な脂肪酸であることがわかります。

特に、魚油に豊富なDHAやEPAです。

亜麻仁油やシソ油、エゴマ油に豊富なαリノレン酸もオメガ3脂肪酸に属する脂肪酸で、αリノレン酸は体内でDHAやEPAに変換されます。

ところが、今回の研究でも指摘されていますが、αリノレン酸からDHAやEPAに変換される酵素の効率が遺伝的に低い人がいることもわかっています。
そのため、DHAやEPAを摂取すること、具体的には脂ののった魚を、週に2、3回は食べる、これに尽きます。

ただし、魚が苦手な方、万全を期したいという方はオメガ3脂肪酸のサプリメント摂取をお勧めします。


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編集後記____________________________________________________________

オメガ3脂肪酸は、妊娠や出産だけでなく、子どもの健康にも重要な脂肪酸で、まずは、母親になる女性がしっかりと摂ることが大切であることがわかりました。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1043
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