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VOL.1033 就寝前の光照射量が妊娠糖尿病の発症リスクに影響する

2023年04月09日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1033              2023/4/9
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:就寝前の光照射量が妊娠糖尿病の発症リスクに影響する
・編集後記


最新ニュース解説 Apr. 2023__________________________________________

  睡眠前3時間の光照射量が妊娠糖尿病の発症リスクに影響する
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睡眠前の3時間に強い照明を浴びた妊婦は妊娠糖尿病にかかりやすくなるという研究報告がアメリカのノースウエスタン大学の研究チームからなされています。

これまで夜間に強い照明を浴びると糖尿病にかかりやすくなるという研究報告がいくつもなされていましたが、妊婦にも言えることが確かめられました。

夜に人工的な光を浴びることで、糖代謝異常を招き、インスリン抵抗性、ひいては糖尿病の発症を招くと考えられていますが、糖代謝異常は妊娠する力にもマイナスの影響を及ぼしますので、妊娠希望女性にも気をつけたほうがよいかもしれません。

◎どんな研究だったのか?
2011年から2013年にかけて、妊娠後期の女性741名を対象に、アメリカの8つの医療機関でされた研究で、被験者の光照射量を手首に装着したアクチグラフで測定し、光照射量と妊娠糖尿病の発症リスクとの関係が調べられました。

アクチグラフとは、腕時計構造の超小型加速度センサーで、さまざまな生活リズムの個人データが記録できます。

◎どんな結果だったのか?
妊娠糖尿病を発症した女性は就寝前3時間の光曝露量が多かったことがわかりました。

妊娠糖尿病発症リスクに関係すると考えられている、年齢やBMI、人種、学歴、雇用形態、季節、睡眠時間、睡眠中間点、睡眠規則性指数の影響を排除しても、結果は変わりませんでした。

また、日中や睡眠中の光照射量、活動量、さらには、睡眠時間や睡眠の質と妊娠糖尿病発症リスクは関係しませんでした。

このことから、入眠前3時間に強い光を浴びることが妊娠糖尿病の発症に影響したことが示唆されました。

◎体内時計とホルモンの分泌や代謝に影響
私たちの身体には、約24時間周期のリズムをつくりだす「体内時計」のメカニズムが備わっていて、体温やホルモン分泌など体の基本的な機能を調節しています。

今回の研究は、、夜間、特に就寝前3時間に人工的な強い照明を、習慣的に浴びることで、体内時計が不調和を起こし、ホルモンの分泌や代謝を調節する機能が低下し、血糖を下げるインスリンが低下し、糖代謝異常を招き、妊娠糖尿病の発症リスクに影響を及ぼしたのではないかと考えられています。

これまでも夜間に強い照明を浴びたり、照明をつけっぱなしで寝たりすると、糖尿病のリスクが高くなるとの研究報告がなされています。

就寝前の3時間は、強い照明を避け、体内時計が乱れないように気をつけることが大切です。

◎体内時計をしっかりとリセットする
体内時計のつくりだすサーカディアンリズムは、なぜか、24時間ではなく、24.5時間で、自然のサイクル(地球の自転リズム)よりも30分ずれているということになり、そのままにしておくと、24日で昼と夜が逆転してしまいます。

そのため、毎日、リセットして、体内時計をあわせてやる必要があります。

リセットの役割を担っているものはいくるかあるようですが、最も強力なのは、太陽の光を受けることです。

朝、起きて太陽の光を浴びることで、カチッと体内時計がリセットされます。

体内時計は光の影響を強く受けるので、深夜に明るい光を浴びたり、朝に太陽の光を浴びなければ、生体リズムは乱れてしまいます。当然、睡眠の質や免疫力が低下したり、ホルモンのバランスが崩れてしまいます。生活のリズムが乱れると、体調を崩したり、病気を招いてしまう根本原因です。

そして、年をとればとるほど、体内時計の修復力が徐々に低下します。

◎30代後半から体内時計のメンテナンスが重要
30代後半からは、積極的に体内時計を手入れし、ケアすることが卵巣機能の低下を遅らせることになるはずです。

反対にケアを怠り、放置しておくと卵巣機能の低下が加速してしまいます。

具体的な方法です。
1)早く寝る:どんなに遅くとも23時迄には寝る。
2)早く起きる:起床後14-16時間後にメラトニンの分泌が始まります。
3)起床後太陽光を浴びる:出来れば45分以上散歩して。
4)朝食は必ず食べる。:起床後2時間以内に。
5)朝食にはバランスよく、タンパク質も必ず食べる:リセット効果が高まります。
6)以上のことを毎日同じ時間に行う:週末も同じリズムを維持します。
7)夜はスマホやタブレット、PCを見ない。

特に、早寝早起き、朝食、スマホが鍵になりそうです。

文献)
1)Am J Obstet Gynecol MFM. 2023 Mar.5  doi: 10.1016j.ajogmf.2023.100922. Online ahead of print.

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編集後記____________________________________________________________

体内時計の乱れは、さまざまなメカニズムで生殖機能を低下させるようです。

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