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VOL.1025 ビタミンDサプリメント摂取と体外受精妊娠率

2023年02月12日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1025            2023/2/12
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:ビタミンDサプリメント摂取と体外受精妊娠率
・お知らせ:不妊相談会
・編集後記


最新ニュース解説 Feb.2023___________________________________________
 
ビタミンDサプリメント摂取と体外受精妊娠率
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ビタミンDが不足している女性は、ビタミンDサプリメントを補充することで体外受精や顕微授精の妊娠率が改善されることが、中国の研究で明らかになりました。

研究は、メタアナリシスによるもので、これまで、ビタミンD補充がART治療成績に及ぼす影響を調査した複数の研究結果を統合し、解析した結果です。

これまでビタミンDが不足している不妊症女性は、充足している女性に比べて体外受精や顕微授精の治療成績が低いことがわかっていましたが、不足している女性がビタミンDのサプリメントを補充し、充足させることで治療成績が改善されるのかどうかは、改善されるという研究もあれば、変わらないという研究もあり、結果が一致していませんでした。

◎どんな研究だったのか
ビタミンDのサプリメント補充は体外受精や顕微授精の治療成績を改善させるのか否かを調べることを目的に、これまで実施された研究結果を統合し、解析しました。

2022年3月までにART女性患者を対象にビタミンDのサプリメントの補充の治療成績への影響を評価した臨床研究を検索したところ、条件を満たす研究が12件、被験者総数は2352名でした。研究方法の内訳は、無作為比較対照試験が9件(1677名)、コホート研究が3件(675名)でした。

◎どんな結果だったのか
ビタミンDサプリメントを補充したグループが、プラセボ(偽薬)、もしくは、なにも飲まなかったグループに比べて臨床妊娠率が有意に高い(OR:1.70、95%CI:1.24-2.34、I2=63%、P=0.001)ことが示されました。

ただし、着床率、生化学的妊娠率、流産率、多胎妊娠率には有意な差は認められませんでした。

また、ビタミンDサプリメント補充グループにおける臨床的妊娠率の改善は、補充開始時のビタミンD能レベル(濃度)やサプリメントの種類、ビタミンD摂取量、ビタミンD補充期間に影響されました。

よりよい妊娠成績の改善は、ビタミンDが不足「25(0H)Dが30ng/mL未満)していて、毎日、ビタミンDを1000~10000IUを30~60日間補充したグループにおいてみられました。

ビタミンDが不足しているART女性患者にとって、ビタミンDのサプリメントを適切な量で補充し、充足させることが治療成績が改善される可能性があることがわかりました。

◎ビタミンDと妊娠、出産
ビタミンDがどのようなメカニズムで妊娠や出産に関与しているのか、多くの研究結果が報告されています。

そもそも、卵巣や子宮内膜、胎盤には、多くのビタミンD受容体やビタミンDの代謝酵素が存在しています。

このことは、ビタミンDが妊娠や出産に関与している証拠です。

卵巣でホルモン産生に、栄養膜でhCGの分泌に、さらには、子宮内膜が着床環境を整えるのに、妊娠後は胎盤でプロゲステロンやエストロゲンの産生にと、妊娠の成立から継続まであらゆる場面でビタミンDが必要とされています。

◎ビタミンDは紫外線を浴びて皮膚でつくられる
ビタミンDの一番の特徴は、魚やきのこなどからも摂取していますが、必要な量のほとんどが、紫外線を浴びて皮膚でつくられるということでしょう。

普通、ビタミンは体内でつくることが出来ないとされていますので、ビタミンDだけは例外で、そのためビタミンDのことをステロイドホルモンという専門家もいます。

紫外線を浴びることでコレステロールからつくられ、活性型に変換された後は核内のビタミンD受容体に結合し、作用が発揮されるからです。

そのため、特に紫外線を避ける女性の間で不足していることが多く、不妊女性ではほとんどが不足していると言われています。

また、特に冬場は不足しやすい季節になります。

◎ビタミンDサプリメントで気をつけたいこと
ビタミンDの不足予防は、紫外線を浴びるようにつとめたり、魚、特に、鮭やキノコなどの摂取量を増やします。

もちろん、ビタミンDのサプリメントが効率的です。

サプリメントを利用する場合は剤型と摂取のタイミングが吸収率を大きく左右します。

ビタミンDは脂溶性(油に溶ける)なので、サプリメントを利用する場合は、ビタミンDを油に溶かしたソフトカプセルが、タブレットやハードカプセルタイプよりもベターです。

そして、必ず、夕食後すぐに摂取することです。

冬場は日照時間が短く、ビタミンDの体内での産生量も少なくなります。

妊娠を希望女性は、葉酸だけでなく、ビタミンDのサプリメントも必須という考えが世界の共通認識になってきつつあります。

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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


お知らせ____________________________________________________________

東京都調布市のウイメンズクリニック神野主催の第30回不妊相談会が2023年3月12日の日曜日に開催されます。

院長の神野正雄先生は、情熱をもって不妊治療、特に、高度生殖医療に取り組まれ、高齢による卵巣機能低下が原因の不妊症に対して、独自の考え方と方法で、高い実績を挙げておられる先生です。

当サイトのドクターに訊くでも、「質のよい卵を育むための生活習慣~高齢不妊との正しい戦い方」というテーマでインタビューさせていただき、記事にしています。

神野先生は、現代における不妊の主な原因は、晩婚化によって、お子さん望むようになったときには、女性は、既に、妊娠しづらい年齢に差し掛かっていることが多くなったこと。

また、現代に特有の不健康な生活習慣、すなわち、夜更かし、ストレス、歩かない生活、質の悪い食生活などが、インスリン抵抗性を招き、卵子や精子の質を低下させていることを指摘されています。

抗糖化機能性食品「ヒシエキス」が、ART反復不成功の高齢不妊患者さんの妊娠率を改善することを臨床試験により見出され、国内や海外の学会で発表され、論文にもなっています。

これまでの不妊相談会では、なぜ不妊になるのか、カップルで取り組むべきことはどんなことなのか、高度不妊治療とはどんなものなのかを解説しています。

個別相談も可能です。
※先着5組まで。

◎第30回不妊相談会
日程:2023年3月12日(日)
時間:13:30~15:30
場所:調布市文化会館たづくり 10階 1001学習室
定員:50名
費用:無料

参加希望の方は下記あてお電話でお申込みください。
042-480-3105

・詳細はこちらから
https://www.akanbou.com/seminar/d14bb28433ec699ad7c01a8f04e39262f09af9b9.pdf

・ウイメンズクリニック神野サイト
http://home.j07.itscom.net/ivfjinno/index.html


編集後記____________________________________________________________

ビタミンDのサプリメントは有用ですが、やはり、魚食と日光浴が基本で、長い目でみて有効です。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1025
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:https://partner-s.info/
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・自社配信: 1,395部
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・合計部数: 3,650部(2月12日現在)
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