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VOL.1013 人工甘味料・アスパルテームの摂取と不妊症の関係

2022年11月20日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1013           2022/11/20
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:人工甘味料・アスパルテームの摂取と不妊症の関係
・編集後記


最新ニュース解説 Nov.2022__________________________________________

 人工甘味料・アスパルテームの摂取と不妊症の関係
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人工甘味料もアスパルテームを習慣的に摂取している女性は摂取していない女性に比べて不妊症リスクが高いことが台湾で実施された後ろ向き研究で明らかになりました(1)。

アスパルテームは人工甘味料の一つで、砂糖の100〜200倍も甘く感じられるにもかかわらず、低カロリーなため、多くも飲料や食品に使用されていて、世界で最もポピュラーな人工甘味料として知られています。

その一方で、天然には存在しない化合物であるため、安全性に対してはさまざまな議論があり、妊娠や出産の領域では、アスパルテームの摂取が早産リスクを高めるとの研究報告がいくつかなわれています。

◎どのような研究だったのか
アスパルテームの生殖能力への影響を調べることを目的に、840名の妊娠女性にアステルパームの摂取をはじめとする生活習慣や妊娠するまに要した期間を調査し、それらの関係を解析しました。

また、マウスを用いた試験で、アステルパームの摂取が性周期やAMH(抗ミュラーホルモン)、卵巣の酸化ストレス、卵巣のミトコンドリア機能への影響を調べました。

◎どんな結果だったのか
840名の妊娠女性のうち、不妊症(妊娠するまでに2年以上要した)だったのは164名で約20%、アステルパームを習慣的に摂取していた女性は208名で約25%でした。

アステルパームと不妊症リスクとの関連を解析したところ、アステルパームを摂取していた女性は摂取していなかった女性に比べて、不妊症リスクが高く、全体では有意な差でなありませんでしたが、35歳以下では有意な差をもって、高く、オッズ比は1.79で、アステルパームを習慣的に摂取する女性は不妊症になりやすいことがわかりました。

マウス試験ではアスパルテームの摂取は性周期の乱れ、AMH低下と関連し、抗酸化酵素活性低下、卵巣や顆粒膜細胞での酸化ストレス上昇とも関連することがわかりました。

これらの結果から、アステルパームの習慣的な摂取は卵胞発育抑制、抗酸化能力の低下を介して、生殖機能にマイナスの影響を及ぼす可能性があることが示唆されました。

◎人工甘味料と妊娠する力
砂糖や人工甘味料の顕微授精の治療成績への影響について調査した研究報告があります。(2)。

結論は、治療開始の半年間の精製糖や人工甘味料の摂取量が多いほど顕微授精後の着床率や妊娠率、出産率が低く、流産率が高く、天然、人工のかかわらず、甘いものの摂り過ぎは不妊治療には不利なようです。

サンパウロの不妊専門施設で、2015年1月から2019年12月までに752名の女性に実施された顕微授精を対象とした研究です。

治療開始時に過去半年間の精製糖や人工甘味料の1週間あたりの摂取頻度を調査し、顕微授精後の治療成績との関係を解析しました。

具体的には、1週間あたりの精製糖の摂取頻度が、0(なし)から7回以上までの4カテゴリーの妊娠率は、45.2%、35.0%、27.3%、18.7%、出産率は、39.3%、30.9%、22.2%、13.6%、そして、流産率は、10.5%、11.9%、18.5%、18.9%でした。

同様に、人工甘味料の摂取頻度が、なしから7回以上までの4カテゴリーの妊娠率は、37.2%、26.3%、24.2%、26.2%、出産率は、34.0%、21.1%、18.9%、19.8%、そして、流産率は、8.4%、20.0%、21.7%、18.2%でした。

◎甘いものとうまくつきあう
砂糖入り清涼飲料水が自然妊娠では妊娠するまでの期間の長期化、不妊治療では治療成績の低下に関連するという研究報告が相次いでなされています。

いずれの研究でも、ソフトドリンクを空腹時に飲むことで血糖値が急上昇し、それに伴ってインスリンが大量に分泌され、血糖値が急降下する、これを繰り返しているとインスリンの効き目が悪くなり、インスリン抵抗性を招き、糖尿病予備軍状態になることが妊娠する力の低下につながるのではないかと指摘しています。

このような糖の代謝のプロセスで卵巣はさまざまな影響を受けるからです。

たとえば、男性ホルモン、あるいは、レプチンが増え、いずれも卵胞発育を抑制するように働きます。

一方、空腹時の砂糖摂取は、同じメカニズムで男性の精子をも悪くします。

今回の研究では、たとえ、人工甘味料でも、マイナスの影響を及ぼすことが示唆されました。

ただし、アルテルパームを習慣的に摂取していたか、いなかったかという、大雑把な分け方で、頻度や量については調べられていません。

また、後ろ向き研究でバイアスの影響も否定できません。

そのため、今回の研究だけで人工甘味料が妊娠率を低下させると結論づけるのは早計です。

ただし、それほど神経質になることはありませんが、出来ることならば、人工甘味料は出来れば避けるに越したことはないのかもしれません。

甘いものを食べる時には、量的に食べ過ぎないこと、そして、タイミングとしては空腹時や夕食後は避けるのが無難かもしれません。

さらに、同じ甘いものでも、精製糖ではなく、黒糖や加工黒糖、赤糖、きび糖などの含蜜糖を選んだり、デザート的には果物にするほうがよいかもしれません。

最後に飲み物は、スポーツ飲料やコーヒーも含めて、砂糖入りのソフトドリンクではなく、ミネラルウォーターやお茶にすべきです。

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編集後記____________________________________________________________

人工甘味料については賛否両論があり、明確なことはわかっていません。そのため、決して、神経質に考えずに、甘いものとうまくつきあうことが大切です。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1013
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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:https://partner-s.info/
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