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VOL.1003 超加工食品とCOVID-19感染リスク

2022年09月11日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.1003            2022/9/11
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:超加工食品とCOVID-19感染リスク
・お知らせ:保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022
・当社製品&サービス
・編集後記


最新ニュース解説 Sep.2022 _________________________________________

 超加工食品とCOVID-19感染リスク
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超加工食品をよく食べる人はCOVID-19に感染するリスクが高いことが、イギリスの大規模な前向き研究で明らかになりました(1)。

超加工食品とは、その名前の通り、加工度の高い食品で、米国糖尿病学会の定義では「糖分や塩分、脂肪を多く含む加工済み食品。硬化油・添加糖・香味料・乳化剤・保存料など添加物を加え、工業的な過程を経て作られる、常温で保存できたり、日持ちを良くしてある食品」とされています。

要するに、ファストフードやインスタント食品、清涼飲料水、スナック菓子、菓子パン、おかずパン、スウィーツ等です。

◎どんな研究だったのか?
健康に影響するさまざまな要因を調査することを目的とした前向きコホート研究に参加の約4万人の男女を対象に、過去の一定期間に摂取したものを思い出してもらう、24時間食事思い出し法で食事調査を実施し、摂取量に対する超加工食品の割合の平均を算出し、食事中の超加工食品摂取量の割合で4つのグループに分け、COVID-19の感染との関係を調べました。

◎どんな結果だったのか?
食事中の超加工食品の摂取量の割合が最も低かったグループに比べて、3番目に多かったグループはCOVID-19の感染リスクが24%、最も多かったグループは22%高かったことがわかりました。いずれも感染リスクも関与する因子の影響を排除した結果だったとのこと。

◎食事と感染リスク
これまで、食事パターンと感染リスクとの関係については、アメリカのハーバード大学が実施しています。

592,571名の健康な男女を対象にスマートフォンを用いて食物摂取頻度調査票を使った食事調査を実施し、hPDI(植物性食品を中心とした健康的な食事パターンスコア)を算出しました。

具体的には、全粒穀物や豆類、野菜、果物を多く食べる食事パターンで、この傾向が強いほど、スコアが高くなり、反対に精製穀物や砂糖入清涼飲料水、菓子類、ファーストフード、そして、動物性食品をよく食べるほど、スコアが低くなります。

COVID-19の発症の有無や症状の程度を把握し、hPDIスコアとの関連を解析しています。

hPDIスコアで4つのグループにわけたところ、穀類や豆類、野菜、果実などの植物性食品を中心とした健康的な食事パターンスコアが最も高かったグループは、最も低かったグループに比べて発症リスクは9%、重症化リスクは41%も低かったというものです。

全粒穀物や豆類、野菜、果物を多く食べる健康的な食事を心がけることで新型コロナにかかりにくくなったり、かかっても重症化しにくくなることが示唆されました。

全粒穀物や豆類、野菜、果物を多く食べることは感染リスクの低下に関連し、反対に超加工食品を多く食べることは感染リスク上昇に関連するというわけです。

つまり、食べ方は免疫に強く影響するということになります。

◎妊娠と免疫
妊娠の成立と維持は免疫系の絶妙なバランスの上に進行しています。

卵子と精子が一緒になった受精卵は、女性にとっては、もはや、非自己です。そんな受精卵、胚が、卵管内で分割しながら子宮の中にたどり着き、子宮の内膜に着床して、妊娠が成立します。

非自己、すなわち、異物である受精卵や胚、胎児を拒絶せずに受け入れることができるのは、妊娠には、免疫の微妙なシステムが働いているからで、妊娠の免疫寛容と呼ばれています。

このシステムがうまく働かなくなると、当然、不妊症や不育症のリスクが高まることになります。

最近、ビタミンDが不足すると、異物を排除する「細胞性免疫(Th1)」がさまざまな自己抗体を調節する「液性免疫(Th2)」よりも優位になり、着床障害のリスクを高めることがわかってきました。

おそらく、免疫調節機能はビタミンDだけでなく、さまざまな因子が関与していると考えられ、食事パターンが、それらの因子を介して、免疫に影響しているのでしょう。

◎地中海食
私たちは、日々、食事から栄養素を摂取しています。食品中には、さまざまな栄養素がさまざまな割合で含まれていますので、どんな食品(種類)を、どれくらい(量)食べるかによって、どんな栄養素をどれくらい摂取するかが決まります。

そのため、食と妊娠しやすさの関係を調べようとすれば、単体の栄養素の摂取量だけでは不十分なために食事パターンが注目されるようになりました。

最も有名で、研究されているのが地中海式食事パターンで、地中海食スコアが高いほど、生活習慣病にかかりにくく、体外受精の治療成績が高いという研究報告(2)もなされています。

COVID-19に感染リスクの低下に関連する食事パターンは、ほとんど地中海食パターンです。

地中海料理の特徴は以下の通りです。

・野菜、果物の摂取量が多い。
・全粒粉を使っている。
・脂質はオリーブオイルが中心。
・ナッツ類、ベリー類、豆類、イモ類の摂取量が多い。
・魚、鶏、乳製品を少量から中量、赤身肉の摂取は少ない。
・少量から中量のワインを食事と一緒に飲む。

COVID-19の感染リスクの低下は、すなわち、不妊のリスクの低下にも繋がっているということになります。

文献
1)Eur J Nutr. 2022 Aug16 Online ahead of print.
2)Hum Reprod 2018; 33: 494.

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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


お知らせ____________________________________________________________

保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022
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不妊・不育で悩む人をサポートする自助団体「NPO法人Fine」からのお知らせで、『保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」のご協力のお願いです。

保険適用前と後ではどのように変わったか、生の声をお聞かせてください。

◎保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022
https://questant.jp/q/HBBYBCX7

保険適用後の不妊治療の現状や必要と思われるサポート、その他ご自身の率直なお気持ちなどをお聞かせください。もちろん男性からのご回答もお待ちしております。

ご回答いただいた方の中から抽選で50名様にプレゼントもあります。

Fineではこのアンケートを通じて、保険適用後の不妊治療の現状を把握し、よりよい制度にするためにはどのようなサポートが必要か。そして、患者一人ひとりが納得のいく治療を受けられるよう、皆さんの声を広く社会や国へ届け、治療環境向上へつなげていくとのことです。

【アンケート対象者】
不妊治療を受けているすべての方(これから受ける方も含む)

【期間】
9月30日(金)まで

アンケート所要時間は10分程度です。

◆「保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」
https://questant.jp/q/HBBYBCX7


当社製品&サービス________________________________________________

・BABY&ME~新しい命のための環境づくり
 https://babyandme.jp/

・翻訳書:妊娠しやすい食生活
 http://www.akanbou.com/shoku/

・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
 http://www.akanbou.com/bookguide/


編集後記____________________________________________________________

「食」は、私たちのあらゆる機能のベースになっていますね。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.1003
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お子さんを望まれるカップルの"選択"や"意志決定"をサポートします。
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不妊に悩むカップルが、悩みを克服するために、二人で話し合い、考えを整理して、自分たちに最適な答えを出すためのヒントになるような情報を、出来る限り客観的な視点でお届けしています。
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:https://partner-s.info/
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◎発行部数
・自社配信: 1,278部
・まぐまぐ: 2,276部
・合計部数: 3,554部(9月11日現在)
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