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VOL.995 自分が思っていることや感じていることを書く

2022年07月17日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.995            2022/7/17
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今週の内容__________________________________________________________

・トピックス:自分が思っていることや感じていることを書く
・お知らせ:保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022
・当社製品&サービス
・編集後記


トピックス Jul. 2022_________________________________________________

 自分が思っていることや感じていることを書く
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不妊治療を受けていて、なかなか思うようにいかないことで、ストレスを感じることが少なくないと思います。

もしも、そのストレスが、治療成績にマイナスの影響を及ぼすことで、治療が長引き、そのことが、さらなるストレスになってしまうと、悪循環のループに迷い込んでしまいかねません。

そもそも、ストレスをなくすることは現実的ではないので、ストレスと付き合うことが大切になってくると思うのですが、「考えていることを書く」ことで、ストレスが緩和されるそうです。

そして、そのことで体外受精の治療成績にまでよい影響を及ぼすという研究報告までなされています。

コストも、リスクもありません。

単に、書くだけなのですが、筆記開示法と呼ばれているストレス対処法の一つで、もともと、心的外傷後のストレス障害への対処を目的に開発され、相応の有効性が心理学的にも認められているようです。

具体的には、1日20分程度、自分が思っていることや感じていることを「書く」だけなのですが、そのことで、ネガティブな感情が少なくなり、ポジティブな感情が高まり、ストレス緩和になるだけでなく、なんと!幸福感まで高まることが、多くの研究で確かめられています。

この筆記開示法が不妊治療を受けている女性にも有効に作用するかどうかを確かめた研究がいくつかなされています。

デンマークのオーフス大学の研究グループは、体外受精や顕微授精を受ける163名の女性患者を筆記開示法を受けるグループと受けないグループにランダムに分け、その後の抑うつ症状や治療成績を比較しています(1)。

その結果、筆記開示法を受けた女性は受けなかった女性に比べて抑うつ症状が軽減され、妊娠率も高かったとのこと。ただし、妊娠率は統計学的に有意な差でがなかったとのこと。

もう1つ、ローマ大学の研究グループによる研究があります(2)。

初めて体外受精に臨む女性患者を、筆記療法を行うグループとなにもしないグループにランダムに分け、治療成績を比較しています。

卵巣刺激の開始前から採卵前まで、筆記療法のガイドラインにそって専門家のアドバイスのもとに、不妊治療を受けることで思ったことや感じたこと、そして、その考えや感情を深く掘り下げ、パートナーや両親、友人、親戚との関係、また、過去、現在、未来の自分をみつめ、自分は今、そして、この先、どうなりたいか、1日20分で一気に書くというものです。

その結果、筆記療法を行ったグループでは28%(13/46)が妊娠に至ったのに対して、なにもしなかったグループでは5%(5/45)しか妊娠に至らず、筆記療法のほうが有意に妊娠率が高かったというのです。

単に、書くという行為でこれだけの妊娠率の差が出るというのは驚きです。

専門家は、日々、経験することを文字にして書くことで、自分を客観視できるようになり、意識していなかったことに気づけるようになるといいます。

その結果、考えや気持ちが整理され、精神的に楽になるというメカニズムです。

また、大変興味深いのは、最近、デンマークの研究のデータを用いて睡眠の質の低下がどの程度、蔓延しているかを調べた研究の結果が報告されています(3)。

それによると、参加者の9割が睡眠の質が低下していたというのです。

そして、睡眠の質が低い女性ほど、抑うつ症状が強く、妊娠率も低かったとのこと。

睡眠の質の低下は、ストレスの強さの目安になるかもしれません。

いずれにしても、メンタルな状態が治療成績に及ぼす影響は目にみえず、測定することは出来ません。

そのため、筆記療法がどのようなメカニズムで妊娠率の向上につながったのかを明らかにすることは難しいものの、不妊治療のストレスを軽減したり、なにより、治療成績に振り回され、自分を見失わないようになれるだけでも、コミニケーションをとったり、判断したりする力にプラスになることは間違いないでょう。

自分でコントロールできること、できないことを冷静に見極め、自分でコントロール可能なことについては、正しい方法で取り組むことが大切ですね。


文献)
1)Hum Reprod 2017; 32: 391
2)Psychol Health  2020; 35 :718
3)Sleep Health 2022; 8: 242

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記事についての感想やご意見は下記のアドレス宛お寄せ下さい。
info@akanbou.com


お知らせ____________________________________________________________

保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022
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不妊・不育で悩む人をサポートする自助団体「NPO法人Fine」からのお知らせで、『保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」のご協力のお願いです。

保険適用前と後ではどのように変わったか、生の声をお聞かせてください。

◎保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022
https://questant.jp/q/HBBYBCX7

保険適用後の不妊治療の現状や必要と思われるサポート、その他ご自身の率直なお気持ちなどをお聞かせください。もちろん男性からのご回答もお待ちしております。

ご回答いただいた方の中から抽選で50名様にプレゼントもあります。

Fineではこのアンケートを通じて、保険適用後の不妊治療の現状を把握し、よりよい制度にするためにはどのようなサポートが必要か。そして、患者一人ひとりが納得のいく治療を受けられるよう、皆さんの声を広く社会や国へ届け、治療環境向上へつなげていくとのことです。

【アンケート対象者】
不妊治療を受けているすべての方(これから受ける方も含む)

【期間】
9月30日(金)まで

アンケート所要時間は10分程度です。

◆「保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」
https://questant.jp/q/HBBYBCX7


当社製品&サービス________________________________________________

・BABY&ME~新しい命のための環境づくり
 https://babyandme.jp/

・翻訳書:妊娠しやすい食生活
 http://www.akanbou.com/shoku/

・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
 http://www.akanbou.com/bookguide/


編集後記____________________________________________________________

書くことで、自分の感情や思い、考えを、いったん、外に出すことで、自分を客観視できるようになり、頭や心の中が整理されるのかもしれませんね。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.995
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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・合計部数: 3,530部(7月17日現在)
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