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VOL.992 働かせるには「順番」を間違えないことが大事

2022年06月26日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.992            2022/6/26
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今週の内容__________________________________________________________

・トピックス:働かせるには「順番」を間違えないことが大事
・当社製品&サービス
・編集後記


トピックス Jun.2022_________________________________________________

 働かせるには「順番」を間違えないことが大事
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メラトニンは睡眠ホルモンと呼ばれています。体内時計に働きかけ、覚醒と睡眠を切り替えて、眠りを導入する誘う作用があるからです。

このメラトニン、睡眠をコントロールしているだけでなく、強力な抗酸化作用によって細胞を活性酸素から守ってくれているのですが、卵胞が発育するに伴って、卵胞液中のメラトニン濃度が高くなることがわかっています。

要するに、睡眠に関与するホルモンが、同時に卵胞の発育をもサポートしているのです。

このことは、睡眠の質が、卵子の質と密接につながっていることを教えてくれています。

山口大学医学部産婦人科の杉野教授らは、メラトニンの抗酸化作用に注目し、卵胞液中のメラトニン濃度と卵の質について、さまざまな基礎研究や臨床試験の結果を発表しています。

例えば、前回の体外受精が不成功に終わり、受精率が50%未満であった115名の女性を2つのグループに分けて、一方のグループには、採卵前周期の月経5日目から採卵日の前日まで、1日3mgのメラトニンを摂取してもらい、もう一方のグループにはメラトニンは摂取せず、前回の体外受精と比べて、変性卵率や受精率、妊娠率を比較しています。

その結果、メラトニンを摂取したグループでは、前回の体外受精周期と比べて、変性卵率は低下、受精率が上昇、19.6%の妊娠率であったのに対して、メラトニンを摂取しなかったグループでは、受精率の改善は見られず、妊娠率が10.2%だったとのこと。

また、杉野教授らのグループでは、これまでの研究で、以下のことを確認しています。

・排卵過程において、酸化ストレスが生ずると卵の成熟を妨げる。
・メラトニンが卵胞内で抗酸化物質として働き、卵を保護している。
・メラトニン投与が実際に卵の質を改善、受精率や妊娠率の向上につながる。

メラトニンの抗酸化作用は卵胞液中で卵を守っていると考えられ、実際にメラトニンを摂取することで、受精率や妊娠率がよくなることを確認したとのこと。

生殖医療の補助として、卵子の質の維持のためにメラトニンが使用されることがあるのは、このためです。

ただし、メラトニンはアメリカではサプリメントなのですが、日本ではホルモンであるため、サプリメントとして認められていません。

そのため、日本では医療機関で処方してもらうか、インターネットでアメリカから個人輸入するしかありません。

日本でサプリメント(食品)として認められていないということは、自己判断で摂取すべきでないと、国は考えているわけです。

また、品質の問題もあり、個人輸入にはある程度のリスクが伴うことから、やはり、メラトニンは医師の管理下で補充するのが無難かと思います。


そんな問題もありますが、メラトニンの補充についても、ビタミンやミネラルと同じように、「順番」が大切です。

つまり、ビタミンやミネラルが不足するということは、そもそも、食事のバランスに問題があるからで、そこをそのままにしたままで、サプリメントに頼ってしまうと、根本的な解決にはならないのと同じように、卵子の質を維持するためには、メラトニンを補充することもさることながら、体内でメラトニンを十分につくられるようにすることが先決です。

体内でメラトニンを十分な量にし、卵子を守るには、メラトニンの材料を不足させないこと、そして、つくる働きを活性化することがポイントになります。

例えて言えば、メラトニンの「材料」やメラトニンを「つくる人」を揃えるということです。

カラダが、いくら、メラトニンをつくろうしても「材料」や「つくる人」が揃っていなければ、どうしても十分な量をつくることが出来ないからです。

まず、メラトニンの材料は「トリプトファン」というアミノ酸で、つくる人は「葉酸・鉄・ナイアシン・ビタミンB6・マグネシウム」、そして、「腸内細菌」です。

そのため、アミノ酸はタンパク質の構成成分ですので、まずは、しっかりタンパク質を食べ、ビタミンB群や鉄を不足しないように摂り、そして、腸内環境を整えることです。

次に、つくる働きを整えます。

メラトニン活性のポイントは、ずばり、「リズム」です。

そもそも、このホルモンは、太陽が昇れば、分泌され、太陽が沈めば、止まります。

すなわち、大自然のリズムによって分泌されるわけですから、夜行性傾向が強くなるほど、メラトニン活性度が低下してしまいます。

そのため、夜は12時までに寝るようにします。メラトニンの分泌は、午前0時から午前2時の間にピークになるからです。

また、夜は暗くして寝ます。夜でも照明などで明るくしているとメラトニンの分泌が抑制されるからです。暗くして寝ることで、メラトニンがしっかりと分泌されます。

そして、朝は決まった時間に起きます。朝は決まった時間に起きることで睡眠のリズムが整うからです。前夜にどうしても夜更かしせざるを得なかった場合でも、いつもと同じ時間に起きることが大切です。

さらに、目覚めたらかならずカーテンを開け、朝に光を浴びます。そうすることで、メラトニンの分泌が完全に止まり、メリハリをつけることができるからです。

最後に、リズムを伴う運動もメラトニンの分泌を活性します。

朝に太陽光を浴びながら、一定のリズムでウォーキングするのがベストですが、長くゆっくりした複式呼吸もメラトニンの分泌を増やします。

このように、結局は、バランスのよい食生活、そして、生活リズムという、極々、当たり前な生活習慣ということになることがわかります。

そのように、私たちの身体が出来ているということですね。

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編集後記____________________________________________________________

寝る子は育つというメカニズムにも、メラトニンが介在しているに違いありません。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.992
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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