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VOL.987 どのように食べるによって精子の質に及ぼす影響が変わる

2022年05月22日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.987            2022/5/22
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:どのように食べるによって精子の質に及ぼす影響が変わる
・当社製品&サービス
・編集後記


最新ニュース解説 May.2022__________________________________________

 どのように食べるによって精子の質に及ぼす影響が変わる
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男性の肉類、特に、加工していない肉や生野菜をよく食べることは精子運動率に良好な影響を及ぼし、反対に加工肉や炒めた肉をよく食べることはマイナスの影響を及ぼす可能性があることが中国の研究で明らかになりました(1)。

「なにをどう食べるのか」が精子の質に影響を及ぼすことが、これまでに多くの研究報告がなされています。

具体的には、果物やナッツ、全粒穀物、魚介類、鶏肉、低脂肪乳製品の摂取量が精子の良好な質と関連し、反対に、脂質の多い食品や大豆イソフラボン、スイーツは精子の質の低下に関連するとの報告がなされています。

ところが、肉や野菜の摂取と精子無力症のリスクとの関係については、相反する報告がなされています。

そこで、中国医科大学シェンジン病院の研究グループは、摂取量だけでなく、調理法も関与しているのでないかと考え、研究を実施しました。

◎どんな研究だったのか?
精子無力症の男性患者552名と健常男性(精子無力症でない)585名を対象としました。精子無力症(WHO2010年)の定義は研究実施時は精子運動率が40%以下、前進運動率が32%以下でした。現在(2021年版)では精子運動率が42%以下、前進運動率が30%以下に改訂されています。

まずは、被験者男性に、食物摂取頻度調査票を用いて過去1年間の食事状況を調査し、トータルの肉や非加工肉、加工肉、野菜の摂取量、そして、肉や野菜の調理法別、肉は揚げる、煮る、焼く、炒める、蒸す、野菜は揚げる、煮る、焼く、炒める、生にわけて、それぞれの摂取頻度を調べました。

次に、被験者を、トータルの肉、非加工肉、加工肉、野菜の摂取量が少ない方から3分の1(最小摂取グループ)、摂取量が多い方から3分の1(最高摂取グループ)と、その中間(中間摂取グループ)に三等分しました。

各グループの1日あたりの摂取量は以下の通りでした。

・トータルの肉/最高摂取グループ:116.45g以上・中間グループ:89.43-116.44g・最小グループ:89.43g以下
・非加工肉/最高摂取グループ:108.57g以上・中間グループ:85.68-108.56g・最小グループ:85.68g以下
・加工肉/最高摂取グループ:5.74g以上・中間グループ:2.87-5.74g・最小グループ:2.87以下
・野菜/最高摂取グループ:207.08g以上・中間グループ:121.25-207.07g・最小グループ:121.75g以下

また、肉や野菜の調理法別に、週に4回、週に2回から3回、月に2回から3回のグループにわけました。

そして、それぞれのカテゴリー別にの精子無力症のリスクを算出し、比較しました。

◎どんな結果だったのか?
トータル肉や加工肉の摂取量が多くなると精子無力症のリスクが低下しました。トータルの肉類の最高摂取グループは最小摂取グループに比べて44%、非加工肉摂取量の最高摂取グループは最小摂取グループに比べて39%、それぞれ、精子無力症リスクが低いことがわかりました。

反対に、加工肉摂取量の最高摂取グループは最小摂取グループに比べて、精子無力症リスクが44%高いことが明らかになりました。

その一方、野菜の総摂取量については精子無力症リスクと関連しませんでした。

ところが、野菜の調理方法別の摂取頻度で調べてみると、生野菜の摂取頻度が高いと精子無力症のリスクが低くなりました。

具体的には、生野菜の摂取頻度が週に4回以上の男性は月に2回から3回の男性に比べて精子無力症リスクが33%低いことがわかりました。

肉の調理方法別では、炒めた肉料理の摂取頻度が多くなると精子無力症リスクが高くなることがわかりました。

具体的には、摂取頻度が週に4回以上の男性は月に2回から3回の男性に比べて精子無力症リスクが58%高いことがわかりました。

以上のように、トータルの肉類や非加工肉、生野菜の摂取は精子無力症リスクの低減に関連し、加工肉や炒めた肉料理の摂取はリスク上昇に関連することがわかりました。

◎なにを食べるかでだけでなく、どのように食べるかも気を配りたい
今回の研究の特徴は、なにを食べるかだけでなく、どのように食べるか、すなわち、調理方法についても、精子無力症との関連を調査したことです。

このような調査はこれまで実施されたことはなく、初めての報告だった筆者らは述べています。

そして、トータルの肉の食べる量は、精子無力症によい影響を及ぼしていても、加工していない肉は精子運動率に良好な影響を及ぼしていましたが、加工肉はマイナスの影響を及ぼしていたことがわかり、正反対の結果でした。

また、野菜のほうは、トータルの食べる量では関連しなかったものの、生野菜の摂取量は精子の質にプラスに働いている可能性が示されました。

このように、同じ肉や野菜を食べても、どのように調理して食べるかによって、精子の質に及ぼす影響がよくも、悪くもなるということが、今回の研究で明らかになったというわけです。

なにを食べるかだけでなく、どう調理して食べるかについても気を配りたいものです。

◎文献)
1)Nutrition 2022; 14: 1956

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編集後記____________________________________________________________

新鮮な食材を調理することが大切ですが、調理方法も大切なようです。

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