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VOL.973 食事からの葉酸摂取量と妊娠率

2022年02月13日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.973          2022/2/13
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:食事からの葉酸摂取量と妊娠率
・当社製品&サービス
・編集後記


最新ニュース解説 Feb.2022___________________________________________

 食事からの葉酸摂取量と妊娠率
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食事からの葉酸摂取量が多いほど妊娠率によい影響を及ぼすことが、北米とデンマークで実施された研究で明らかになりました。

葉酸は胎児の二分脊椎症などの先天異常の予防に寄与することはよく知られていますが、妊娠しやすさにもプラスの影響を及ぼすという研究報告が相次いでさなれています。

◎どんな研究だったのか?
デンマークのオーフス大学とアメリカのボストン大学の研究者らは、食事からの葉酸摂取量や食事とサプリメントをあわせた葉酸摂取量は、自然妊娠の周期あたりの妊娠率にどの程度関連するのかを調べるために、妊娠希望の女性を対象とした、2つの前向きコホート研究(北米のPRESTO研究:n=5,804名、デンマークのSnart Foraeldre研究:n=3,755名)のデータを解析しました。

それぞれの研究に参加した被験者に、2013年から2020年までの間に、8週間ごとに食物摂取頻度調査票に回答してもらい、1年間、或いは妊娠するまで追跡しました。

1日あたりの食事からの葉酸摂取量で3つのグループ(250μg未満、250μg以上390μg未満、400μg以上)に分け、さらに、それぞれのグループで、葉酸サプリメント使用有りと無しにわけ、合計で6つのグループにわけ、周期あたりの妊娠率を比較しました。

◎どんな結果だったのか?
デンマークのSnart Foraeldre研究では、1日の食事からの葉酸摂取量が400μg以上だった女性の周期あたりの妊娠率を1とすると、250μg以上390μg未満だった女性では0.92、250μg未満っだった女性では0.8と、食事からの葉酸の摂取量が少なくなるほど有意差をもって妊娠率が低くなりました。

同様の傾向は北米のPRESTO研究でも認められ、250μg以上390μg未満だった女性では0.95、250μg未満っだった女性では0.81でした。

また、サプリメントの有る無しを加えると、1日に食事から400μg以上の葉酸を摂取し、葉酸サプリメントも摂取し、最も葉酸を摂取していた女性の周期あたりの妊娠率を1とした場合、食事から250μg未満で、サプリメントも摂取しない、葉酸摂取路量が最も少なかった女性では、デンマークのSnart Foraeldre研究で0.76、北米のPRESTO研究では0.49と、さらなる妊娠率の低下が認められました。

ただし、食事から250μg未満でも、葉酸をサプリメントで補充していた女性では、デンマークのSnart Foraeldre研究で0.79、北米のPRESTO研究では0.92と、特にPRESOT研究では妊娠率も低下は軽微でした。

2つの研究の結果の違いは、北米では小麦粉などへの葉酸が添加されていますが、デンマークでは添加されていないことが影響しているかもしれません。

このように食事からの葉酸の摂取量が250μgを下回り、かつ、葉酸のサプリメントを使用していない場合は、妊娠率にマイナスの影響を及ぼすことがわかりました。

◎葉酸は妊娠に際しての最重要ビタミン
昨年の11月に、体外受精や顕微授精を受けている女性では、食事とサプリメントからの葉酸の摂取量、特に、葉酸サプリメントの摂取量は、わずかながら、良好な卵巣予備能と関連するというハーバード大学のEARTH研究の報告を紹介しました。

それまでも、1日に800μgの葉酸サプリメント摂取はプラセボ(偽薬)摂取に比べて妊娠率が高い、葉酸の摂取量が多いほど排卵障害のリスクが低い、葉酸を含むマルチビタミンのサプリメント摂取は排卵障害の不妊症リスクが低い、また、葉酸摂取量が多いほど妊娠までにかかる期間が短い、ART治療成績が良好であるという研究報告がなされています。

そもそも、葉酸には、細胞が分裂増殖する際にDNAが正常にコピーされることに関与しています。

つまり、卵子や受精卵、胚が成育するには、細胞が正常に分裂、増殖することが必須ですが、そのプロセスに葉酸がなくてはならない役割を担っているというわけです。

また、遺伝子発現調節に関与するメチル基の供給に関わっています。

これは、妊娠時には遺伝子発現調節が正常に維持される必要がありますが、葉酸は遺伝子発現抑制に関与するメチル基の供給にも関わっているということです。

そして、ホモシステインと呼ばれる悪玉アミノ酸の濃度を低くします。ホモシステインは胚発育障害や早産、流産のリスク上昇に関与する悪玉アミノ酸で、葉酸はアミノ酸の代謝に関わっているため、不足するとホモスシテイン濃度が高まることから、ホモシステインを抑制することは重要です。

◎30から49歳の日本人女性の平均葉酸摂取量は240μg
今回の研究では葉酸のサプリメントの使用有りと回答した女性では1日400μgを想定していますが、サプリメント使用有りの女性の間でも、トータルの葉酸摂取量が多いほど、妊娠率が高くなっています。

つまり、食事からの葉酸を多く摂取するほうが妊娠によい影響を及ぼすことが示唆されているということになります。

一方、厚生労働省の国民健康栄養調査2019年度版では、30代、40代の日本人女性の食事からの平均の葉酸摂取量は240μgとなっています。

今回の研究では、日本と同じように小麦粉等に葉酸を添加していないデンマークでも、また、添加されている北米でさえ、食事からの葉酸摂取量が250μgを下回ると妊娠率が低下していました。

そのため、妊娠希望の女性は、まずは、食事からの葉酸摂取量を1日に100から200μg程度は増やしたいものです。

ほうれん草やブロッコリー、アスパラガスなどの緑黄色野菜、藻類や肉類、卵類、乳類、豆類などにも含まれています。

そして、1日に400から800μgの葉酸サプリメントは、もはや、大前提となり、必須です。

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編集後記____________________________________________________________

葉酸は卵子や受精卵、胚の健康な発育に必須のビタミンです。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.973
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