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VOL.960 野菜や果物を食べる量と精子の質

2021年11月14日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.960         2021/11/14
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:野菜や果物を食べる量と精子の質
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

 サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2021年11月8日 編集長コラム
サプリメントについて知っておくべきこと
https://www.akanbou.com/column/henshuuchou/20211108.html
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最新ニュース解説 Nov.2021___________________________________________

 サプリメントについて知っておくべきこと
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果物や野菜を多く食べる男性ほど精液検査結果が良好で、それは血液や精液中の抗酸化力の改善によるものかもしれないという研究結果(1)がポーランドから報告されています。

果物や野菜にはビタミンやミネラル、ポリフェノール等の抗酸化物質が豊富に含まれています。

一方、原因不明の男性不妊の多くに酸化ストレスが関与していることが、多くの研究で明らかになっています。

◎どんな研究だったのか?
健康な男性を対象に果物や果物を食べる量と抗酸化力や精液検査結果との関係を調べることを目的として、2018年から2019年に、18歳から40歳の健康な(不妊症でない)男性に参加してもらい実際されました。

まず、果物と野菜の食べる量は、3日間に飲食したものを記録用紙に記録してもらうことで算出しました。また、精液検査を実施するとともに精液や血液中の抗酸化力も測定しました。

その上で、果物や野菜の食べる量と精液検査結果や精液や血液中の抗酸化力との関係を統計学的に解析しました。

◎どんな結果だったのか?
果物とや野菜をたくさん食べる男性ほど精子濃度や生存率、精子運動率が良好で、かつ、精液や血液中のトータルの抗酸化力も高かったことがわかりました。

果物や野菜の摂取量で4グループにわけたところ、摂取量がもっとも多いグループ(734g以上/日)は、最も少ないグループ(318g未満/日)に比べて、精子濃度や生存率、精子運動率、さらに、精液や血液中のトータルに抗酸化力が有意に高いことがわかりました。

このことから、果物や野菜を多く食べることは、血液や精液中の抗酸化力の向上を介して精液検査結果に良好な影響を及ぼすのかもしれないと結論づけています。

◎男性不妊と酸化ストレス
男性不妊の多くは原因不明の精子濃度が少ない乏精子症や運動率が低い精子無力症です。

そんな中で、最近、原因不明の男性不妊の多くに酸化ストレスが関わっているという研究報告が数多くなされています。

酸化ストレスとは、活性酸素の発生量が抗酸化量を上回ることでもたらされる状態のことです。

この状態になると、さまざまな細胞にダメージを与え、DNAを傷つけたり、細胞のタンパク質や脂質を酸化させ、その結果、細胞の働きが低下し、老化が進み、いろいろな病気にかかるリスクが高くなります。

ところが、精液検査結果は、精子の数や運動率、形態が測定できますが、それが酸化ストレスによるものかどうかは、わかりません。

そこで、最近、精液中の酸化ストレスを測定する検査(ORP検査)や精子の質を測定する検査(精子DNA断片化指数検査/DFI検査)を行うクリニックが増えてきました。

◎卵子だけでなく、精子の質も重要
卵子の質に対しては高い関心が払われていますが、それに比べて、精子の質は見過ごされがちです。

精液検査では精子の質まではわからないからです。

ところが、体外受精や顕微授精では、もはや、精子の数や運動率は重要な指標ではなくなっています。

体外受精や顕微授精では、精子の質が悪い(精子DNAが損傷している)と、胚発育にマイナスの影響を受け、胚盤胞調達率が低下してしまいます。

胚発育では2日目、3日目以降、精子の質が関与するからです。

もしも、女性が30代前半までであれば、卵子に精子のDNAの損傷を修復する働きが備わっていますので、大きな問題にはなりませんが、30代後半以降、卵子の修復能力が低下し、精子のDNAが損傷していると受精率や胚盤胞到達率、妊娠率が低下し、流産率が上昇することがわかっています。

そのため、女性が高齢になると精子の質が治療成績を左右するようになるというわけです。

◎精子の質のために
卵子と異なり、精子は毎日つくられていますので、改善の余地があります。

具体的には、酸化ストレス状態を避けることです。

もっとも、有効なのは、禁欲期間を短くすること、すなわち、精子がつくられてから、出来るだけ早く、治療に使うこと、言い換えると、新鮮な精子を使うことです。

新鮮なほど活性酸素のダメージが少ないと考えられるからです。

具体的には治療の前は、少なくとも2日に1回は射精する、出来れば、毎日です。

また、バランスのとれた食生活や適度な運動、質の高い睡眠、ストレスのマネジメントです。

そして、抗酸化サプリメントの服用です。

◎男性のプレコンセプションケアにもなる
精子の質は、妊娠率だけでなく、妊娠後の胎児の発育、さらには、出生児の心身の健康にも影響するという研究報告が少しずつ、増えています。

そのため、男性パートナーが健康的な生活を心がけ、精子の質をよくしておくことは、目先の妊娠だけでないことも、知っておいていただきたいと思います。

不妊治療はふたりで取り組まなくてならないのは、精神論ではなく、生殖機能がそうなっているから、なのです。

文献:
1)Front Nutr 2021; 8: 753843.

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・BABY&ME~新しい命のための環境づくり
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・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
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編集後記____________________________________________________________

不妊治療はふたりで取り組むことが必要であることは、決して、精神論ではなく、生殖機能のメカニズムから必要であることを、男性は理解しておくことが大切ですね。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.960
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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