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VOL.934 ストレスに対してしなやかな心の状態を自分でつくる方法

2021年05月16日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.934            2021/5/16
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今週の内容__________________________________________________________

・トピックス: ストレスに対してしなやかな心の状態を自分でつくる方法
・当社製品&サービス
・編集後記


トピックス May.2021_________________________________________________

  ストレスに対してしなやかな心の状態を自分でつくる方法
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体外受精などの高度不妊治療を受ける女性の約半数が、治療開始初期の段階で、すでに軽度以上の抑うつ症状があるという研究結果が国立成育医療研究センターの研究グループから発表されました。

マスコミでも報道されていましたのでご存知の方も少なくないと思いますが、体外受精を受けている女性の半数が抑うつ症状があるということもさることながら、長く治療を続けている女性ではなく、治療開始初期の段階ということも驚きました。

不妊治療にはストレスがつきものであることは、広く知られていると思いますが、不妊治療が精神面に及ぼす影響についての研究は、ほとんどが海外にものだったので、今回の日本人女性を対象とした初めての研究で得られた結果はとても貴重です。

研究は、体外受精などの高度不妊治療を受ける女性約500名を対象に行われ、被験者のメンタルヘルスやQOL(生活の質)の状況を分析しました。

その結果、軽度以上の抑うつ症状ありと判定された調査参加者の割合は54%だったとのこと。また、不安が高まっている状況と判定された割合も39%と高い割合となっていたといいます。

この研究報告は、改めて、メンタルケア、それも、治療が始まる前からのケアが大切であることを、私たちに教えてくれています。

今回はその方法を考えてみたいと思います。

まず、現実の問題として、治療を受ける女性が治療開始前から適切な「心のケア」に取り組める環境が整っているとは、到底、言い難い状況です。

それは、治療開始前は、治療の方法の選択やスケジュール、費用等のことを優先せざるを得ないということ、また、おそらく、心のケアは、治療期間が長くなってからというイメージがあるのかもしれません。

それだけでなく、現実に可能な「心をケアする方法」として、ヨガや気功、鍼灸などがありますが、治療と並行して、それらのクラスや教室、治療院に通うのも、なかなか、簡単なことではないでしょう。

ちょっと頑張れば受けられたとしても、不妊治療で通院するだけでも、時間的、経済的な負担を強いられている中では、「ちょっと頑張る」のも難しいものがあります。

そのような、現実的な問題を考えると、時間や費用がかからず、自分で手軽に出来て、有効な方法を身につけることがよいのではないかと思います。

■ストレスに負けない生活 心・身体・脳のセルフケア

そのことをわかりやすく教えてくれる本があります。早稲田大学教授で心療内科医の熊野宏昭先生が書かれた「ストレスに負けない生活 ー心・身体・脳のセルフケア」です。

ポイントだけをご紹介します。

まず、「ストレスに負けない」ようにするには、「ストレスをなくす」ことでも、「ストレスから逃げる」ことでも、「ストレスを発散する」ことでもなく、「ストレスに影響されない、もしくは、影響されてもすぐに元に回復するような、そんな心の状態をつくること」が大切であるということです。

そして、そのような心の状態は「誰かに」つくってもらうのではなく、「自分で」つくること、もっと言えば、「自分で」しかつくれないということです。

もう一つ、その方法はそれほど難しくないこと、ポイントは「毎日続ける」ということです。

順番に説明していきます。

◎心の「リラクセーション状態」をつくること

ストレスに影響されない、もしくは、影響されてもすぐに元に回復するようなそんな心の状態、イコール、リラックスした状態(リラクセーション状態)です。

ですから、ストレスに負けないようにするめには、ストレスに強い心の状態、すなわち、「心をリラックスした状態」にするということになります。

ただ、ここで確認しておかなければならないのは「リラックス」した状態の定義です。

世間では、「リラックス」と言えば、のんびりするとか、なにもしないとか、気分を転換するとか、そんなことを連想すると思います。

ところが、「リラックスした状態」とは、ただゆったりとした心身の状態を指すのでは、決して、ありません。誰しも経験があると思いますが、いくらのんびりしても、たっぷり寝ても、ストレスが解消されるわけではありません。

それは、「リラックス」、イコール、のんびりする、なにもしない、寝るということではないからです。

そうではなく、「リラックスした状態を作り出すための正しい方法」によって生み出され、作り出される特有で特徴的な状態なのです。

この状態は、決して、抽象的、気分的なものではなく、脳科学では、生理的、物理的に明確に定義されていて、極めて科学的です。その状態になれば、ストレスがかかってもそれほど影響を受けにくくなり、影響を受けてもすぐに元の状態に戻ることができるようになるというわけです。

◎心の「リラクセーション状態」をつくる方法

「リラックスした状態を作り出すための正しい方法」とは、どんな方法なのでしょう。

いろいろな方法があります。指導者から習う必要のあるものもあるようですが、誰でもできる簡単なものも多くあります。

たとえば、呼吸法などが代表的なものですが、とても簡単な、手をグーパーさせる方法があります。息を吸いながらいっぱいに拳を広げて2、3秒止め、次にゆっくりと息を吐きながら力を抜いて手を握る、これを4、5回繰り返すと緊張している状態が和らいでいきます。

また、眼球運動も手軽です。目を左右に数十回動かして、ぱっと止めます。すると目の周りの筋肉が緩んで、とても深いリラックス状態を引き起こします。そして、眼を動かすのは脳なので、眼球運動自体が脳の活動と関係していて、脳のリラクセーション反応を引き起こします。

次に最もお勧めしたい「呼吸の数を数える方法」を熊野先生の著書からそのまま抜粋します。

横になるか、イスに楽な姿勢で腰かけます。身体の力を十分に抜き、姿勢に偏りがないようにしてから、ゆったりとした複式呼吸をしてください。

そして、「吸って、吐いて」で一、「吸って、吐いて」で二・・・というように、十まで数えていきます。途中でいくつまで数えたか分からなくなったら、静かにまた一に戻って数え直しましょう。このとき、数えることに一生懸命になりすぎないように注意してください。

規則正しく呼吸する必要はありません。ゆったりとした呼吸で、長ければ長いなりに、短ければ短いなりに、要は、「吸って、吐いて」で一、「吸って、吐いて」で二と、数えればいいのです。

必ず、気持ちがいろいろな方向に逸れて、今、気になっているようなことが浮かんでくるはずです。そうすると、不思議なくらい、いくつまで数えたのか、分からなくなってしまいます。

そうなると、また、一に戻るのです。

そして、「吸って、吐いて」で一、「吸って、吐いて」で二・・・というのを繰り返すようにします。

これを、1回あたり、5分から10分、1日に、1~2回行います。

◎「リラックス貯金」をつみたてる

これらの方法は、すべて、誰でも、いつでも、どこでもできるものです。ただ、大切なことは、「毎日やる」ということ、これに尽きます。なぜなら、「リラックス状態」は貯めることができるからです。そして、貯めれば、貯めるほど、「リラックス状態」が強化され、ストレスに強い心が養われていきます。

ストレスが慢性化すると、ストレスがたまると表現されますが、リラクセーションもたまるのです。ストレスが慢性化し、その影響も慢性化すれば、するほど、一時的なリラクセーションでは歯が立たなくなります。

そのため、リラクセーションを、毎日、継続的に続けるのです。

そのことでリラックス状態を強化し、体質を変え、ストレスによる慢性的な心身の緊張状態を緩めるのです。そして、身体調節機能を正常化し、生殖器官の働きを本来のレベルに回復させることになります。

身体には、必ず、元に戻ろうとする力が備わっています。リラクセーションが、それをサポートします。とにかく、リラクセーション法を、たとえ、1日に10分でも十分です、とにかく、毎日、続けることが大切です。

それによって、これまでの慢性的なストレスによる借金を返済し、リラックス貯金をつみたてるようになれば、ストレスに強い体質が強化されるようになります。

毎日やる、そして、採卵の前、胚移植の前にやると、いい状態で治療を受けられるようになります。

そして、治療や検査の結果を聞く前、妊娠判定の前にもやることで、期待しない結果でも心の乱れが最小限になります。

お役に立てば嬉しいです。

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・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
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編集後記____________________________________________________________

リラックスを蓄積するという感覚に目が開かれますね。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]     VOL.934
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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