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VOL.923 胚移植後から妊娠判定までの生活について

2021年05月09日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.933            2021/5/9
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説: 胚移植後から妊娠判定までの生活について
・当社製品&サービス
・編集後記



最新ニュース解説 May.2021___________________________________________

  胚移植後から妊娠判定までの生活について
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胚移植後から妊娠判定までの歩行数は、その後の継続妊娠率に影響を及ぼさない、そのため、胚移植の直後から通常の生活に戻るべきであることが、イスラエルで実施された研究で明らかになりました(1)。

◎どんな研究だったのか?
イスラエルのテルアビブ大学の研究者らは、胚移植後の身体活動量レベルがその後の継続妊娠率にどのように影響を及ぼすのかを調べるべく、大学病院で融解胚移植を受けた女性を対象に前向き研究を実施しました。

被験者は38歳未満のART女性患者50名で、胚移植直後から妊娠判定までリストバンド式身体活動量計を装着してもらいました。

そして、胚移植の日から妊娠判定までの1日あたりの歩行数とその後の継続妊娠率の関係を調べました。

尚、この期間の身体活動について、特別な指導は行われませんでした。

◎どんな結果だったのか?
50名中、30%が妊娠しました。

胚移植当日の歩行数の中央値(4075歩)は、その後の2日間(5204歩)と比べて有意に少なく、胚移植当日は身体活動量が少なかったことがわかりました。

そして、妊娠に至った女性と至らなかった女性の胚移植から妊娠判定までの1日あたりの歩行数の中央値は、それぞれ、7569歩、6572.5歩で、有意な差はありませんでした。また、それだけでなく、妊娠した女性と妊娠しなかった女性の胚移植当日やその後の2日間の歩行数にも有意な差はみられませんでした。

このことから、胚移植から妊娠判定までの歩行数はその後の継続妊娠率にマイナスの影響を及ぼさないことがわかりました。

◎胚移植から妊娠判定までの身体活動について
このように胚移植を行なったからといって、大事をとって、普段よりも大人しくしておく必要はなく、むしろ、普段通りの生活に戻るべきであると結論づけられています。

ただし、あくまで、特別、静かに過ごさなくてもよいということであって、やはり、激しい運動は控えるに越したことはありません。

◎胚移植から妊娠判定までの性交について
胚移植前後の性交の妊娠率への影響を調べた研究があります。478周期の胚移植後に性交したグループと性交しなかったグループの妊娠率や継続妊娠率を比較しています(2)。

その結果、性交のあったグループの妊娠率が23.6%だったのに対して、性交のなかったグループのそれは21.2%でしたが、統計学的な有意差はありませんでした。

ところが、妊娠6~8週までの継続率は性交のあったグループで11.0%、性交のなかったグループでは7.7%と、こちらは有意差があったと報告されています。

胚移植後の性交が妊娠の継続に寄与しているとすれば、性交そのもの、もしくは、射出された精液との接触で、女性の免疫の調整、すなわち、胚を排除する働きが抑えられて、受け入れようする働きが優勢になるのではないかとの意見があります。

ただし、着床直後はマイナスに影響するという研究報告もあり、結論づけることは出来ませんが、胚移植の当日や翌日は避け、それ以降は神経質になる必要はないのかもしれません。

◎日常の運動習慣について
日常、すなわち、治療に入る前の運動については、やはり、身体を動かす習慣が治療成績に良好な影響を及ぼすことが示唆されています。

体外受精に臨む121名の女性に過去1年間の身体活動について調査を実施し、その後の妊娠率との関係を調べた研究があります(3)。

家事や介護や仕事、日常の身体活動、そして、スポーツやエクササイズの4つの領域で、どの程度、活発に身体を動かしているのか、それぞれ、5段階で評価し、トータルの身体活動レベルを4〜20でスコア化にしたところ、身体活動が活発な女性ほど妊娠率が高い傾向がみられたとのこと。

特筆すべきは、散歩やサイクリング、移動などで、よく身体を動かす人は、妊娠率、出産率の全体を通して、治療成績が良好だった一方で、何らかのスポーツに取り組んでいる人は、妊娠率は高いものの、出産率は関連しないという結果だったことです。


文献:

[1]Reprod Biomed Online 2021; 42: 930

[2]Hum Reprod 2000; 15: 2653

[3]Fertil Steril 2014; 101: 1047

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編集後記____________________________________________________________

アウトドアで身体を動かすのが、1年で最も気持ちのよい季節です。

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