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VOL.926 妊娠中の食事パターンと子どもの肥満度

2021年03月21日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.926           2021/3/21
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:妊娠中の食事パターンと子どもの肥満度
・当社製品&サービス
・編集後記


最新ニュース解説 Mar.2021___________________________________________

  妊娠中の食事パターンと子どもの思春期までの肥満度との関係
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妊娠中の食事は、子どもの思春期までの太りやすさに影響を及ぼすかもしれないことが、アメリカで実施された長期間に渡る調査の結果、明らかになりました。

日本でもこの50年間で、子どもの肥満が急増しましたが、子どもの肥満は、食事やおやつ、ジュースなどの過剰な摂取、食生活のバランスの悪さ、さらには、運動不足などによって起こるものと考えられてきました。

ところが、今回の研究結果から、生まれる前の母親の食生活が思春期までの体重増加に影響を及ぼすかもしれないというのです。

妊娠中のどんな食事が子どもの肥満を招きやすくするのでしょうか。

◎どんな研究だったのか?
母子の健康に関する前向きコホート研究「Project Viva」に参加する1459組の母子を、母親の妊娠から子どもの思春期まで追跡しました。

妊娠中の母親の女性の食事は、食物摂取頻度調査票を用いて食事調査を実施し、3つの食事パターンのスコア、具体的には、D2スコア(炎症の起こしやすさの指標)、妊娠中の代替健康食指数(妊婦の健康的な食生活の指標)、地中海食スコアを算出し、それぞれの食事パターンスコアで4つのグループにわけました。

一方、子どもの出生後から思春期までの5つの時期(出生から1ヶ月、1-6ヶ月、6ヶ月-3歳、3-10歳、10歳以上)の肥満度を調査し、それぞれの食事パターンスコアとの関連を解析しました。

◎どんな結果だったのか?
妊娠中の炎症を起こしやすい食事パターンスコアが最も高かった母親グループの子どもは最も低かった母親のグループの子どもに比べて、3歳から10歳の体重増加率が高いことがわかりました。

一方、妊娠中の地中海食スコアが最も低かった母親のグループの子どもは最も高かった母親のグループの子どもに比べて3歳から15歳の体重増加率が高いことがわかりました。

このことから、妊娠中に炎症を起こしやすい食事をしていた女性の子どもは思春期までに肥満になりやすく、反対に地中海食に近い食事をしていた女性の子どもは健康的な体格を維持しいやすいことが示唆されました。

◎子どもの肥満を招きやすい母親の食事とは?
出生後に子どもが肥満になりやすい妊娠中の母親の食事は炎症を起こしやすい食事とされましたが、具体的には、穀類や菓子類、肉類の摂取量が多く、反対に、豆類やナッツ類、淡色野菜、緑黄色野菜、果実類、魚介類、調味香辛料の摂取量が少ない食べ方です。

一方、子どもが健康的な体格を維持しやすい母親の食事とされた地中海食は、野菜や豆類、果物、穀物、魚が多く、赤身肉・肉加工食品や牛乳・乳製品が少ない食事です。

正反対であることがわかります。

◎妊娠中の健康的な食事は妊娠前から
今回の研究は、子どもの食育は、お腹の中にいる時から始めるということ、また、子どもへの食育とは、両親が健康的な食事を心がけることであることが教えてくれています。

であれば、妊娠が判明してから健康的な食べ方を心がければよいのかと言えば、食べ方は生活に密着しているからか、食べ方を改善するころは言うほどは簡単ではないようです。

実際、イギリスで、妊娠前と妊娠初期、妊娠後期の食事の状況を調べ、比較した研究が行われてています。それによると、妊娠前に健康的な食事をしている度合いは妊娠初期の健康的な食事の度合いと相関していて、また妊娠後期とも相関係数にあるという報告がなされています。

反対に、高カロリー食の度合いは、妊娠前と妊娠初期、妊娠後期と相関していて、妊娠前、すなわち、プレコンセプション期の食生活は妊娠後もほとんど変わらないことがわかっています。

こうした結果は複数の研究で報告されています。

要するに、妊娠前から健康的な食事をすることは、その後の妊娠生活を左右することになるというわけです。

◎妊娠、出産にふさわしい食事の影響
地中海食は世界で最も研究されている、お墨付きの健康食で、地中海食が高い女性は体外受精治療成績も良好であったり、妊娠や出産の合併症のリスクが低いという報告がいくつもなされています。

つまり、妊娠前から妊娠や出産にふさわしい食べ方を心がけることは、妊娠しやすさや不妊治療の成績だけでなく、胎児に発育、そして、出生後の子どもの健康、さらには、自分自身の将来に渡る健康にまで一貫して影響するというわけです。

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編集後記____________________________________________________________

地域によっては、一気に桜が開花したようで、自然のチカラを実感します。

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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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