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VOL.919 射精間隔の短縮は簡単で確実な精子の質の改善方法

2021年01月31日


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 妊娠しやすいカラダづくり No.919          2021/1/31
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:射精間隔の短縮は簡単で確実な精子の質の改善方法
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

  サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2021年1月31日 曇り時々雨、のち晴れますように
不妊治療中の男性の役割
https://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20210130.html
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最新ニュース解説 Jan.2021___________________________________________

 射精間隔の短縮は簡単で確実な精子の質の改善方法
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3日間の禁欲期間後に射精した精液に比べて、その後3時間後に射精した精液中のほうが精子の質が高いことがカナダで実施された研究で明らかになりました。

禁欲期間、すなわち、射精の間隔を短くすると精液量や精子数は少なくなるものの、精子の質が高くなり、妊娠に有利なことは知られていましたが、射精間隔が3時間というほとんど連続的な射精が精子の質の改善に有効であることが示されました。

◎どんな研究だったのか?
マクギル大学医学部の研究チームは、射精間隔によって精液所見や精子の質の目安とされている精子DNA断片化指数がどのように影響を受けるのかを調べるべく、前向き研究を実施しました。

大学病院でパートナーが不妊治療を受ける112名の男性に初めての精液検査の際に3日間の禁欲後に射精した精液と、その3時間後に再度射精してもらった精液を提供してもらい、精液所見と精子の質の目安とされている精子DNA断片化指数(DFI)を比較しました。

◎どんな結果だったのか?
射精間隔が3日間のDFIが34.6%だったのが射精間隔が3時間では23.7%に低下し、精子の質が有意に改善されることがわかりました。

また、DFIが35%を超え、精子の質が不良だった男性の55%は、3時間後の射精で基準内に改善されました。

その一方、精液量は3.1mlから1.9mlに、精子濃度は4100万/mlから3200万/mlに、いずれも有意に低下しましたが、前進精子運動率は57%から60%に上昇しました。

さらに、年齢が若い男性ほど、また、抗酸化サプリメントを摂取していた男性ほど、射精間隔を短くすることによる改善効果が高いこともわかりました。

このように射精間隔を3日間から3時間に短くすることで精液量や精子濃度は低下するものの、精子の質をあらわすDFIや前進精子運動率は改善されることが示されました。

◎精子DNAの損傷とは?
男性の不妊検査は、主に精液検査で精液量や精子数、精子運動率、奇形率などが調べられますが、これらは自然妊娠の際の「卵子までの到達度」の目安にしか過ぎません。

また、その時々の心身の状態、また、射精の完成度が検査結果に影響し、結果のバラツキが大きいことも知られています。

妊娠や出産に大切なのは受精後の胚の正常な発育であり、それは卵子の質だけでなく、精子の質も重要です。

特に初期胚から胚盤胞への成育には精子の質が関与していることがわかっています。そのため、精子の質の低下は胚盤胞到達率や受精率、妊娠率の低下、流産率の上昇を招きます。

それでは、精子の質の良し悪しはなにで決まるのでしょうか?

それは、精子DNAが損傷していないことです。

具体的に言えば、DNAの二重らせんの1本、もしくは、両方の鎖がちぎれてしまうことです。

そして、精子の製造工場である精巣から出て以降、具体的には精巣上体を通過し、受精能力を備えながら射精を待っている間に、活性酸素によって精子DNAに損傷を受けます。射精間隔が長くなり、すなわち、「待ち時間」が長くなると、それだけ、損傷を受けやすくなります。

当然、自己修復力も備わっていますが、年齢とともに低下してしまいます。

そのため、射精間隔が長くなるほど、そして、年齢が高くなるほど精子DNAが損傷しやすくなり、精子の質が低下してしまうのです。

◎卵子の精子DNA修復能力について
実は卵子には精子DNAの修復機構が備わっていることが知られています。

卵子と精子が出会い、卵子内で卵子のDNAと精子のDNAが融合し、受精が成立するわけですが、精子側のDNAに損傷があった場合でも、その程度によっては修復されます。

ところが、卵子の精子DNA 修復能力は年齢とともに低下してしまうことも知られています。

そのため、女性の年齢による妊娠率の低下は、卵子の質だけでなく、精子の質も関与しているというわけです。

つまり、女性の年齢が高くなるほど、男性側で精子の質をよくしておくことが妊娠、出産の要件になります。

◎抗酸化サプリメント+射精間隔短縮
今回の研究によって、射精間隔を短くすることが精子の質に改善に有効であることが示されました。

考えてみれば、射精間隔を短くすることは、なんの治療も、コストもかからないにもかかわらず、妊娠、出産に寄与してくれます。

また、抗酸化サプリメントを摂取することで射精間隔の短縮化の効果が高くなることも、今回の研究で明らかになりました。

特に、パートナーの女性だけでなく、男性も年齢が高い場合は、その効果はより顕著です。

パートナーの女性が時間と費用をかけて、頑張って通院し、よい卵子を採卵しても、なにもしていない男性の精子の質が悪く、受精しなかったり、胚発育にブレーキがかかってしまったら、こんな理不尽なことはありません。

なぜなら、卵子に比べて精子の質を改善するのは簡単だからです。

まず、男性は禁煙し、深酒をやめ、ストレスをマネジメントし、バランスのよい食生活心がけ、睡眠の質に留意し、適度な運動を行います。

それらはすべて精子DNAの損傷に関わります。

そして、抗酸化サプリメントを摂取し、射精の間隔を短くします。

これがART治療を受けているカプルの男性が「取り組むべきこと」です。

繰り返しますが、男性が取り組むべきことは、パートナーの女性に比べて、本当に簡単でコストがかかりません。


文献)
1)J Assist Reprod Genet 2021; 38: 227.

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編集後記____________________________________________________________

自粛期間は、二人でカラダづくりに取り組む絶好の機会ですね。

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編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
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