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VOL.886「座らない」という運動のススメ

2020年06月14日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.886 2020/6/14
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今週の内容__________________________________________________________

・トピックス:「座らない」という運動のススメ
・当社製品&サービス
・編集後記


トピックス Jun.2020________________________________________________

 「座らない」という運動のススメ
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STAY HOMEで自宅で過ごす時間が増えると、知らず知らずのうちに運動不足になってしまったという声をよく聞きます。

ちょっとした外出でもそこそこの歩数を歩くため、通勤や外出の頻度が少なくなれば、身体を動かすことにより意識的になる必要があります。

そこで、今週は「座らない」という運動を提案したいと思います。

その前に、女性にとって、運動と妊娠する力の関係について2つの研究報告をご紹介します。

まず1つ目は、フランスの研究(1)で、多施設症例対照研究「ALIFERT 」に参加した女性を対象に実施されたものです。

原因不明の女性不妊症患者80名と不妊症でない女性71名に身体活動を中心とした生活習慣についての質問票や身体測定の結果を比較することで、どんな身体活動や体組成が妊娠する力の低下に関連するのかを調べています。

その結果、不妊症女性と不妊症でない女性の間で統計学的に有意な差が確認されたのが、座っている時間や体脂肪、筋肉量だったというのです。

具体的には、女性の1日の平均の座っている時間を比べると不妊症でない女性では4.3時間だったのに対して、不妊症の女性では5.8時間、そして、1日に5時間以上座っている女性は5時間未満の女性に比べて不妊症になる確率が3.61倍にもなったとのこと。

また、体脂肪率では不妊症でない女性では25.2%だったのに対して、不妊症の女性では30.7%、そして、体脂肪率が年齢標準以上の女性は年齢標準以下の女性に比べて不妊症になる確率が3.16倍でした。

そして、除脂肪体重では不妊症でない女性では44.7kg、不妊症の女性では44.9kgで、平均では差がなかったものの、除脂肪体重が年齢標準以下の女性は年齢標準以上の女性に比べて不妊症になる確率は2.65倍だったといいます。

これらのことから言えるのは、座っている時間のトータルを1日に5時間未満に抑えること、そして、メタボは避けるべきですが、女性は筋肉量にも目を向けるのがよいということになります。

もう1つは、デンマークの研究(2)で、18~40歳の女性の日常の運動時間と妊娠するまでに要した期間を調べ、運動が妊娠確率にどのように影響するのか調べています。

運動強度の影響をみるため、激しい運動(ランニングやスピードを意識したサイクリング、エアロビクス、水泳)と穏やかな運動(ウォーキングやサイクリング、ゴルフ、ガーデニング)に分けています。

その結果、週に5時間以上の激しい運動をする女性は全く運動しない女性に比べて妊娠確率が32%低く、週に5時間以上穏やかな運動をする女性は1時間以下の女性に比べて妊娠確率が18%高いことがわかりました。

要するに、しっかりと運動することは避け、軽く身体を動かすことがよいということになります。

これら2つの研究結果は、妊娠を希望する女性にとって、どのように運動すればよいのかについて大きなヒントを教えてくれています。

それは、妊娠を望む女性にとっては「運動に取り組む」というよりも、「ちょこちょこ動く」程度の運動が適しているということです。

このことは、わざわざ、「運動に取り組む」ような時間的余裕がない方にとっても現実的な指針になりそうです。

日常の中で「ちょこちょこ動く」程度であれば、誰でも出来そうです。

言ってみれば、「運動」というよりも「座らない」というイメージです。

具体的には日常の行動を置き換えるというパターンです。
・エレベータやエスカレータ → 階段
・電車・バス移動の一部 → 自転車・徒歩
・座る動作や作業 → 立つ動作や作業

実際にやってみるとどうなるか、過去に当社の2名のスタッフで試しています。

オムロンの活動量計(HJA-403C)を身につけて、平日に普段どおりの生活の中で「座らない」運動を実践してみた結果は以下の通りです。

・スタッフM の場合
○朝のウォーキングはいつもより距離を延長。
○自転車の駐輪場はいつも1階を使用しているが、3階において階段を上り下り。
○通勤中の移動は階段を使い、電車内では立つ。
○ランチはいつもより遠いお店まで歩く。
○トイレに行ったら、腿上げ10回。

これだけで、1日の歩数が2500歩増え、消費エネルギーが143kcal増えました。水泳でクロール20分間、エアロビクスだと25分に相当しました。

・スタッフHの場合
○バスの停留所は一つ前で降りて歩く。
○帰りはバスを使わずに、40分の道のりを歩く。
○会社のエレベータを使わずに階段で上り下り。
○歯磨きしながら腿上げ。
○ランチはいつもより遠いお店まで歩く。
○トイレに行ったら、腿上げ10回。

これで歩数で2500歩、消費エネルギーで117kcal増えました。クロールで16分、エアロビクスだと21分の運動に相当しました。

特にスタッフHは運動習慣がありませんが、日常のちょっとした取り組みで、相当な運動が可能なことがわかりました。

これだけでも、頭がスッキリしたり、身体がポカポカするとのこと。

いかがでしょうか?

わざわざジョギングや水泳、サイクリングを始めたり、スポーツジムや教室、クラスなどへ通わなくても、ちょっとした工夫で、身体を動かすことは可能です。

運動をはじめようと気合いを入れて、お金と時間をつかう必要もありません。

私たちが取り組んだ方法以外にも「座らない」運動は、いくらでもあると思います。


文献
1)PLoS ONE 2019; 14: e0210770.
2)Fertil Steril 2012; 97: 1136.

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・翻訳書:妊娠しやすい食生活
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・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
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編集後記____________________________________________________________

「座らない」運動も、チリも積もれば山となる典型ですね。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行] VOL.886
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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