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VOL.858 男性の年齢の影響について考える

2019年12月01日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.858                            2019/12/1
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今週の内容__________________________________________________________

・編集長コラム:男性の年齢について考える
・当社製品&サービス
・人材募集のお知らせ
・編集後記


編集長コラム Dec.2019______________________________________________

 男性の年齢について考える
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体外受精や顕微授精を受けているカップにとって、女性の年齢に関係なく、男性が40歳以上になると年齢が高くなるほど治療成績が低下するという研究報告がオーストラリアのモナシュ大学からなされています(1)。

1992年から2017年まで大学病院で実施された体外受精や顕微授精24,411周期から、男性パートナーの精液検査結果が正常で、女性パートナーが子宮内膜症や卵管閉塞、PCOS、採卵数が3個未満や15個以上、さらには、凍結卵子、凍結精子を使った治療を除いた原因不明不妊症カップルの2,425周期を対象に治療成績への男性や女性の年齢の影響を調べた結果です。

女性の年齢が高くなるほど治療成績が低くなることは、よくよく、知られていますが、それとは関係なく、また、女性ほどの影響ではありませんが、男性も40歳以降、年齢が高くなるほど治療成績は低くなることがわかりました。

男性の年齢が1歳高くなるごとに出産に至る確率は4.1%低くなるとのこと。

実際、これまでも男性の年齢の影響についてはいくつもの研究報告がなされています。

たとえば、2112名の女性を対象に男性パートナーの年齢と子づくりを始めてから妊娠に至るまでの期間の関係を調べたイギリスの研究があります(2)。

それによると、男性が20代では約6か月なのが、30代から40代前半になるとだと、約10ヶ月に、40代後半になると約1年半、そして、50歳以上になると2年半以上かかるようになり、男性の年齢が高くなるほどパートナーの女性が妊娠するまでに長くかかるようになることがわかります。

ここでも男性が40歳を超える頃からパートナーの女性が妊娠しにくくなる傾向が見て取れます。

さらに、男性の年齢はパートナーの流産率も上昇させることが知られています。5121名の女性を対象に男性パートナーと流産率の関係を調べたアメリカの研究があります(3)。

それによると、男性の年齢が20歳のパートナーの女性の流産率を1とした場合、35歳で1.43、40歳になると1.58、45歳で1.74、そして、50歳では1.90倍と、男性の年齢が高くなるほど女性パートナーは流産しやすくなると報告しています。

いずれの研究でも女性の加齢の影響は統計的に排除されています。

いかがでしょうか?

このように、女性の年齢の影響については、広く知られていますが、父親になる男性の年齢も、また、妊娠率や出産率、流産率にマイナスの影響を及ぼすのです。

それに対して現実はどうかと言えば、男性は女性と違い、年をとっても精子がつくり続けられているため、精液検査で問題がなければ、問題ないだろうと受け止められているのではないでしょうか。

ところが、精子の「量」ではなく「質」に目を向けてみると、男性の年齢が高くなればなるほど、精液検査の結果にかかわらず、精子の質の指標とされている精子のDNAの損傷率が高くなることがわかっています(4)。

つまり、男性も40歳を超えると、精液検査の結果に関係なく、精子の質が低下し、パートナーの女性は妊娠しづらくなるのです。

そうです、年齢が高いカップルは、卵子の質だけでなく、精子の質にも目を向けるべきなのです。

そして、ここが大事なところですが、精子は常につくり続けられているので、質の改善のために出来ることがいくつかあるのです。

たとえば、禁欲期間を短くすること。

頻繁に射精していれば、精液中に新鮮な精子の割合が増えるからです。最低でも数日に1回、出来れば隔日か、毎日が理想です(5)。

また、座りっぱなしを避けること。

デスクワークの時間と精液検査結果は関連しませんでしたが、精子DNA断片化率と有意な関連が認めらたという研究報告がなされてます(6)。

そして、食事やサプリメントで十分なビタミンやミネラルを摂取すること。

食事やサプリメントのビタミンCやビタミンE、亜鉛の摂取量が多い男性と少ない男性の精子DNAの損傷率を比べたところ44歳未満の男性では差は見られなかったのに、44歳の男性ではそれらの栄養素の摂取量が少ない男性のほうが精子DNA損傷率が多い男性に比べて高かったとアメリカから報告されています。

つまり、40代前半までは栄養摂取による違いは出ないものの40代後半になると栄養素を十分の摂取しないと年齢による影響が回避できないということを物語っています。

反対に言えば、年齢が高くなっても新鮮な野菜や果物、サプリメント等で抗酸化物質をしっかりと摂取いていると精子DNA損傷率の上昇は避けられるということになります。

高齢の妊活カップルは「ふたりで取り組むこと」がより重要になるのですね。


1)Hum Reprod, https://doi.org/10.1093/humrep/dez223
2)Fertil Steril 2003; 79: 1520.
3)Am J Epidemiol. 2005; 161: 816.
4)Fertil Steril 2017; 101: 1588
5)Fertil Steril 2011;96: 1083.
6)Folia Histochem Cytobiol. 2019; 57: 15.

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編集後記____________________________________________________________

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