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VOL.843 葉酸は大気汚染による妊娠率低下をも予防するかもしれない

2019年08月11日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.843                            2019/8/11
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今週の内容__________________________________________________________

・最新ニュース解説:葉酸は大気汚染による妊娠率低下をも予防するかもしれない
・お知らせ
・当社製品&サービス
・編集後記


最新ニュース解説 Aug.2019__________________________________________

 葉酸は大気汚染による妊娠率低下をも予防するかもしれない
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最近、大気中の汚染物質と生殖機能の低下が関連するという研究結果が、主に、アメリカのハーバード大学の研究チームから、相次いで報告されています。

妊娠希望の女性看護師を対象にした大規模前向きコホート研究「看護師健康調査2」では、居住地の大気中に浮遊している非常に小さな粒子です大気中の汚染物質、PM10やPM2.5の濃度が高くなるほど不妊症の発症リスク(1)や流産のリスク(2)が、わずかに高くなるとの報告がなされています。

また、マサチューセッツ総合病院で不妊治療を受けているカップルを対象にした前向き研究「EARTH 研究」では、ART治療中のNO2(二酸化窒素)やPM2.5、BC(ブラックカーボン)の濃度上昇と低い出産率が関連し、特に、卵巣刺激周期中のNO2やPM2.5、BC濃度上昇と採卵前や移植前の不成功と強く関連した(3)と報告されています。

さらに、同じEARTH研究で、治療開始3ヶ月前のPM2.5濃度が2 ?g/m増加するごとに胞状卵胞数が7.2% 減少したことが明らかになっています。そして、PM2.5と胞状卵胞数の関連は、特に女性不妊患者で強くあらわれたとのこと(4)。

PM2.5のPMとは「Particulate Matter(粒子状物質)」の頭文字をとったもので、2.5とは、その粒子の大きさのことで、直径2.5μm(1μm(マイクロメートル)=1mmの1000分の1)をあらわしていて、非常の小さな粒子です。

そのため、肺の奥深くにまで入り込みやすく、当然、ぜんそくや気管支炎などの呼吸器系疾患や循環器系疾患などのリスクを上昇させると考えられていますが、生殖機能の低下にも関連している可能性があり、不妊症や流産リスクの上昇だけでなく、卵巣機能やART成績の低下に関連することが示唆されています。

もちろん、ハーバード大学の研究はいずれもアメリカで実施されたもので、東アジアでは中国や韓国で実施された研究報告であり、日本国内ではありません。

ましてや、日本では、工場・事業場などのばい煙発生施設の規制や、自動車排出ガス規制などによって年間の平均的な濃度は減少傾向にあるとのこと。

ところが、環境省の環境省大気汚染物質広域監視システム、そらまめ君のサイトでは全国のPM2.5などの大気汚染物質濃度が、ほぼタイムリーにチェックすることが出来ます。それをみれば、これまでの論文で記載されている濃度とそれほどの違いはありません。

また、季節や地域による差もあるようなので、海外の研究結果だからと言って、決して他人事ではありません。

ただ、そう言われても、神経質にサイトで汚染物質の濃度をチェックし、外出時は必ずマスクを着用するというものも、そこまでの根拠もないようです。

そんな中で、葉酸のサプリメント補充が、大気汚染物質による生殖機能の低下を緩和に関連するという報告(5)が、これもハーバード大学のEARTH研究によってなされています。

304名のART女性患者を対象に治療開始3ヶ月前の住んでいる地域のNO2やオゾン、粒子状汚染物質、ブラックカーボンの濃度を調査する一方、治療開始時に食物摂取頻度調査票で食事やサプリメントからの葉酸の摂取量を推測し、その後の513治療周期の成績との関連を解析しています。

その結果、葉酸のサプリメント摂取は大気汚染による治療成績の低下を調節することがわかりました。

1日の葉酸補充が800μg未満の女性ではNO2濃度が20ppb上昇するごとに出産率のオッズ比が24%低下したのに対して、1日の葉酸補充が800μg以上の女性ではそのような低下は見られず、関連しなかったというのです。

1日に800μg以上の葉酸摂取は大気汚染物資による生殖機能の低下から守ってくれるかもしれません。

葉酸が有害物質による生殖機能の低下から守ってくれるという研究報告はこれまでもなされています。

これも、ハーバード大学のEARTH研究ですが、尿中のBPAの濃度が高い女性は体外受精の治療成績が低くなります。

ところが、食事からの葉酸摂取量の多いグループと少ないグループにわけると、少ないグループでは尿中BPA濃度と体外受精の治療成績との関係は変わりませんが、多いグループではそのような関連はなかったというのです。

食事で葉酸を多く摂っている女性は尿中のBPAの濃度が高くても、低くても、治療成績は影響を受けなかったと。

このことから、葉酸にはBPAのマイナスの影響を「中和」するような働きがあるのではないかと考えられています。

このようなことが起こるメカニズムについて、明確なことはわからないとしていますが、有害物質のマイナスの働きは、たとえば、遺伝子の発現、すなわち、遺伝子のオンオフへの影響が考えられています。

一方で、葉酸には遺伝子の発現のオンオフの調節に関与するメチル基という物質をつくることに深く関わっていることがわかっています。

そのため、葉酸に有害な影響を中和する作用があるとすれば、遺伝子発現に関わるものではないかと考えられているようです。

葉酸サプリメントは赤ちゃんの先天異常の発症リスク低減だけではないようです。

文献)
1)Hum Reprod. 2016; 31: 638. 
2)Hum Reprod. 2019 Aug 6. Epub ahead of print
3)Environ Health Perspect. 2019; 127: 77002.
4)Epidemiology. 2019; 30: 486.
5)Am J Epidemiol. 2019 Jun 26. Epub ahead of print

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