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VOL.836 ふたりで取り組んだほうが高い治療成績が期待できる

2019年06月23日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.836                              2019/6/23
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説:ふたりで取り組んだほうが高い治療成績が期待できる
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2019年6月22日 
曇り時々雨、のち晴れますように
不妊とは違うサポート
https://www.akanbou.com/column/reproductivecounseling/20190622.html
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最新ニュース解説 Jun.2019__________________________________________

 ふたりで取り組んだほうが高い治療成績が期待できる
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男性不妊の原因で最も多いのが、原因不明の乏精子症や精子無力症です。要するに、特別な原因は見当たらないにもかかわらず、精子の数や運動率が基準値に満たないというものです。

もしも、そのようなケースでも、影響いていると考えられる生活習慣を改善することで精液所見が改善される可能性があることが千葉大学泌尿器科と亀田IVFクリニック幕張の研究で明らかになり、第38回日本アンドロロジー学会で発表されました。

◎どんな研究だったのか?
亀田IVFクリニック幕張の男性不妊外来を受診した男性パートナーで、初回の精液検査が不良だった男性に喫煙や飲酒、下着の種類、陰嚢温度を上昇させる習慣、禁欲期間などについて指導を行い、その前後の精液所見を比較しました。

◎どんな結果だったのか?
生活習慣改善指導前後の検査結果の中央値は以下の通りでした。

・精液量:2.7mL → 3.0mL
・精子濃度:2600万/mL → 3310万/mL
・精子運動率:14.0% → 32.0%
・総精子数:8100万 → 8380万
・総運動精子数:810万 → 1840万

いずれの項目においても数値が改善されていますが、精子運動率と総運動精子数で統計学的に有意な差が認められました。

精子運動率は13.7%の上昇、総運動精子数は700万の増加し、全体の67%の男性が運動率が上昇し、63%が総運動精子数が増加しています。

さらに、運動率はもとの運動率が低かった男性ほどよく改善し、総運動精子数のほうは、もとの精子数が多かった男性ほどよく改善していたことがわかりました。

◎病的な原因以外の生活習慣が影響
原因不明の男性不妊と診断されると、有効な治療の手立てがないため、人工授精や体外受精、顕微授精といった、女性パートナーに対する治療で妊娠を目指すのが一般的です。

ところが、今回の研究結果は、まずは、男性が生活習慣を改善し、精液中の精子の数や運動率を改善を試みることが重要であることを示してくれました。

当然、女性パートナーの年齢を考慮に入れる必要がありますが、生活習慣の改善指導前後の精液検査の間隔の中央値は21日とのこと。

このことは、1ヶ月弱でも精液所見が改善される可能性があることを示唆しています。

このことから、たとえ、女性パートナーが顕微授精を受けることになったとしても、男性は生活習慣の改善に取り組むことが治療成績に寄与する可能性があることがわかりました。

◎どのように生活習慣を改善すればよいのか
今回の研究で指導された生活習慣は、喫煙や飲酒、下着の種類、陰嚢温度を上昇させる習慣、禁欲期間です。

禁煙や節酒については、よく知られていることと思います。

それらに加えて、下着の種類や陰囊温度を上昇させる習慣を見直すことも重要です。中でも下着の種類を見直すことは簡単に出来ます。

ボクサータイプ(ゆったりしたタイプ)の下着をつける男性は、その他のタイプの下着(肌にフィットしたタイプ)をつける男性に比べて精子濃度や総精子数、総運動精子数が多く、FSH値が低いことがアメリカで実施された研究で明らかにされています。

もしも、これまで肌にフィットした下着をはいていたのであれば、ゆったりしたタイプの下着に変えるだけで精液所見が改善されるかもしれません。

実際、股間に熱がこもり、陰囊の温度が上昇することが精子形成の障害になってしまいます。

下着だけでなく、座りっぱなしの仕事であれば、同じ姿勢続けるだけで陰囊の温度が上昇することがわかっています。

そのため、意識して、姿勢を変えたり、股間から熱を解放するだけでも違ってくることが研究で確かめられています。

また、サウナや長風呂の習慣の見直しも必要かもしれません。

さらに、肥満の男性のほとんどは陰囊温度が高く、精子をつくる働きにマイナスの影響を及ぼしていることもわかっています。

最後に禁欲期間です。

少なくとも、2日か3日に1回はマスターベーションでも射精することが精子の質の改善に大きく寄与します。

いずれの生活習慣の見直しも簡単で、期待できる効果は大きいものがあります。

◎ふたりで取り組む不妊治療
今回の研究では初回の精液検査の結果が不良だった男性を対象としています。ところが、たとえ、精液検査の結果が基準値をクリアしていても、喫煙や深酒、陰囊温度上昇、禁欲期間が長くなることは、精子DNAを損傷し、治療成績にマイナスの影響を及ぼすことが知られています。

最新の研究でも精液検査に異常がなかった場合でも精子DNA断片化率が30%以上のカップルは30%未満のカップルに比べて胚の発育が悪く、胚盤胞到達率や着床率が低く、流産率が高くなるという報告がなされています。

大切なことは女性の卵子と違い、男性の精子は、毎日、つくり続けられているため、簡単な生活習慣を改善することで精子がよくなるということです。

不妊治療は女性に施されることがほとんどですが、ふたりで取り組んだほうが高い治療成績が得られるということを、全ての男性パートナーは知っておくべきです。

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・お勧めの本:妊娠しやすいカラダづくり BOOK GUIDE
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編集後記____________________________________________________________

生活習慣の改善効果は男性のほうが治療成績に及ぼす影響が大きいかもしれません。

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妊娠しやすいカラダづくり[毎週末発行]      VOL.836
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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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