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VOL.798 栄養素の摂取は足りているか?

2018年09月30日


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 妊娠しやすいカラダづくり No.798 2018/9/30
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今週の内容__________________________________________________________

・今月の特集:栄養素の摂取量は足りているか?
・イベント&セミナー情報
・当社製品&サービス
・編集後記


今月の特集 Sep. 2018_______________________________________________

 栄養素の摂取量は足りているか?
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9月11日に厚生労働省は平成29年国民健康栄養調査の概要を公開しました。今週は公開されたデータをもとに、30代、40代のビタミンやミネラルの摂取状況を算出し、充足のためのポイントを考えてみました。

■平成29年国民健康栄養調査から

◎国民健康栄養調査とは?
国民の身体状況(体重や腹囲、血圧、血液検査、問診結果)や栄養素摂取や生活習慣についての状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とした調査で、厚生労働省により、毎年、実施されています。

平成29年の結果概要が9月11日に公表されましたので、栄養素・食品群別摂取量に関するデータから30代、40代の女性の栄養摂取状況をみてみます。

◎30代40代女性のビタミンやミネラルの摂取状況
同じ厚労省から公開されている「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」で定められたビタミンやミネラルの推奨量(栄養素によっては目安量)を100%とし、平成28年国民健康・栄養調査から30代40代の女性の平均摂取量の充足率をビタミンとミネラルごとに算出しました。

妊娠時には付加量が設定されているため、非妊娠時と妊娠初期をそれぞれ算出しました。

因みに、日本人の食事摂取基準で設定されている指標は以下の通りです。

○推定平均必要量(EAR):
50%の人たちにとって不足しないと考えられる摂取量(欠乏リスク50%)
○推奨量(RDA):
97~98%の人たちにとって不足しないと考えられる摂取量(欠乏リスク2~3%)
○目安量(AI):推定平均必要量や推奨量を定めるのに十分な根拠がない場合に設定される量のことで、ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量
○耐容上限量(UL):摂取過剰による有害事象のリスクを回避する指標

ただし、すべての栄養素に上記も指標が設定されているわけではありません。ただし、推奨量か目安量のどちらかは、必ず設定されていますので、今回の充足度の算出はどちらかで算出しています。

30代、40代の女性の非妊娠時/妊娠時のビタミンやミネラルの摂取状況は以下の通りです。

・ビタミンA:64.8%/64.8%
・ビタミンD:98.2%/77.1%
・ビタミンE:103.3%/95.4%
・ビタミンB1:70.0%/59.2%
・ビタミンB2:86.7%/69.3%
・ビタミンB6:79.2%/67.9%
・ビタミンB12:183.3%/157.1%
・葉酸:99.2%/49.6%
・ビタミンC:71.0%/64.5%

・カルシウム:67.5%/66.6%
・マグネシウム:72.4%/63.0%
・鉄:61.9%/62.9%
・亜鉛:88.8%/72.0%
・銅:121.3%/110.0%

ビタミンではビタミンB12とビタミンE以外、ミネラルでは銅以外、軒並み、平均摂取量が必要量を満たしていませんでした。

特に、ビタミンAやビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、ビタミンC、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛は、約50~70%と低い充足率でした。

◎食生活の状況
朝食の欠食、そして、野菜や食物繊維の摂取状況をみてみます。

○朝食の欠食率
・30~39歳の女性:15.1%
・40~49歳の女性:15.3%

・30~39歳の男性:23.3%
・40~49歳の男性:25.8%

朝食を食べない人の割合は男性で4人に1人、女性で6、7人に1人の割合でした。

○野菜の摂取状況
健康日本21の野菜摂取量の目標量(350g)を100%とし、平均摂取量の充足率を算出しました。
・30代女性:66.4%
・40代女性:70.4%

・30代男性:73.5%
・40代男性:77.0%

男女とも目標量の約7割の摂取量でした。

○食物繊維の摂取状況
日本人の食事摂取基準の食物繊維の目標量(女性18g以上、男性20g以上)を100%とし、平均摂取量の充足率を算出しました。
・30代女性:69.4%
・40代女性:72.2%

・30代男性:65.5%
・40代男性:67.5%

男女とももく目標量の約7割の摂取量でした。


■新しい命のための栄養環境を整えるために
受精時の体内のビタミンやミネラル濃度は妊娠率や妊娠、出産の合併症発症リスクだけでなく、胎児の成育、そして、お子さんの一生の体質に影響を及ぼすことが、これまでの研究で明らかになっています(1。

そのため、妊娠を望むカップルはビタミンやミネラルを必要とされる量を摂取することを心がけねばなりません。

ただし、推奨される量に足りていないからといって、いきなり、サプリメントだけで補充するという方法は得策ではありません。

なぜなら、ビタミンやミネラルは、本来は食事から摂取すべき栄養素です。そして、ビタミンやミネラルの摂取量が推奨量に達していないということは、食べ方に問題があるということであり、その影響はビタミンミネラルの不足にとどまらず、糖質やたんぱく質、脂質の摂取バランスにも及んでいる可能性が高いからです。

それらの摂取バランスの乱れは、新しい命の成育のための栄養環境を損ないます。

まずは、食べ方を見直すことです。

◎栄養バランスを整える食べ方を実践する

5大栄養素をバランスよく摂ることは、バランスよく食べることでしか、実現できません。

5大栄養素の名前と各栄養素の働き、そして各々を多く含む食材をおおまかに覚えておくことは、栄養バランスを整える基本になるので必須です。けれども毎日の食事に栄養素を細かく落とし込んで考えるというのは現実には難しいものです。

そこでご紹介したいのが、栄養素ではなくアイテムで考える「栄養フルコース型」の食事です。

これは5つのものを食卓に揃える食べ方です。
(1)主食(ごはん、パン、麺類、いも類)
(2)おかず(肉、魚、卵、大豆製品)
(3)野菜(野菜全般だが、効率良く栄養摂取するには緑黄色野菜を意識して摂る)
(4)果物(ビタミンCの豊富なかんきつ類、いちご、キウィフルーツなどがおすすめ)
(5)牛乳(ヨーグルト、チーズ含む)

この(1)~(3)を朝食、昼食、夕食の毎食、(4)果物と(5)牛乳は運動量に合わせて1日1~2回程度摂ると5大栄養素をバランス良く摂ることができます。

また、量の目安は以下の通りです。
(1)主食:ごはんなら茶碗1杯、パンは1枚。精製度の低いものが望ましい(2。
(2)片手にひとつからふたつ。魚を週に2、3回以上は食べる(3。
(3)両手にいっぱい以上。
(4)小皿1つ(バナナ1本、リンゴ半分、オレンジやキウイ1個)。
(5)牛乳コップ1杯。

最後にお伝えしたいのは大切なポイントは色々な食材を楽しむということです。

◎サプリメントで補充する

最低限補充したいのは「葉酸」です。

・摂取量:1日に400~800μg
・摂取開始:妊娠する6週間以上前から
・摂取期間(1):妊娠3ヶ月迄(子どもの神経管閉鎖障害の予防目的)
・摂取期間(2):出産まで(早産予防も含める)

摂取開始は早ければ早いに越したことはありません。

なぜなら子の先天異常の予防に必要とされる濃度(赤血球中葉酸濃度)である906nmol/Lに達するのに、1日400μgで6週間以上(4、1日800μgで4週間弱必要になる(5ことがわかっているからです。

また、先天異常の予防を目的とする補充であれば、妊娠3ヶ月までの摂取で十分ですが、それ以降、出産まで補充することで早産のリスク低下に関連するという研究報告があります。葉酸は正常な細胞分裂増殖に必須のビタミンなので妊娠全期間補充するに越したことはありません。

また、偏食や外食などで食事に不安がある方、もしくは、不足予防のために万全を期しておきたいという方は、マルチビタミンミネラルもサプリメントを補充するのがよいでしょう。

その場合、葉酸が400~800μg、ビタミンDが20μg、亜鉛が15mg配合されているかどうか確認しておくと安心です。

いずれにしても新しい命のための栄養環境を整えるには、食事バランス、そして、食材の質、適切なサプリメント利用がポイントです。

また、不要(余計)なものを摂らないことも忘れてはなりません。

・文献)
1)Hum Reprod Update 2010; 16: 80
2)Fertil Steril 2016; 105: 1503
3)J Clin Endocrinol Metab 2018;103: 2680
4)Am J clin Nutr 2006; 84: 156
5)Int J Vitam Res 2009; 79: 61

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編集後記____________________________________________________________

台風が接近しているようです。くれぐれもお気をつけてください。そなえあればうれいなし、ですね。

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発 行:株式会社パートナーズ
編 集:細川忠宏(日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー)
サイト:http://partner-s.info/
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