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VOL.775 男性不妊への抗酸化サプリメントの有用性

2018年04月22日

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 妊娠しやすいカラダづくり No.775 2018/4/22
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今週の内容__________________________________________________________

・更新情報
・最新ニュース解説: 男性不妊への抗酸化サプリメントの有用性
・イベント&セミナー情報
・当社製品&サービス
・編集後記


更新情報____________________________________________________________

サイト版「妊娠しやすいカラダづくり」の更新情報です。
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2018年4月21日 曇り時々雨、のち晴れますように
小さな悩み事
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最新ニュース解説 Apr.2018__________________________________________

 男性不妊への抗酸化サプリメントの有用性
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男性不妊患者への高用量コエンザイムQ10+ビタミンC、ビタミンEのサプリメントによる抗酸化療法は精子DNA断片化率を改善するという研究結果が、現在、京都で開催されている第106回日本泌尿器科学会にてポスター発表されました。

獨協医科大学埼玉医療センターの泌尿器科及びリプロダクションセンターの研究チームは、男性不妊外来を受診したOAT症候群(乏精子症・精子無力症・奇形精子症の総称)の男性不妊患者19名に抗酸化サプリメント(SOサポート)を飲んでもらい、摂取前と摂取後8週間後、16週間後の精液所見と精子DNA断片化率を測定し、サプリメントの有効性を評価しました。

その結果、精子数や運動率は改善傾向がみられたものの統計学的な有意な差ではありませんでしたが、摂取前には31.3%だった精子DNA断片化率は摂取後8週間で21.3%に、16週間後には16.4%へと有意に改善しました。

また、6ヶ月後には7例が妊娠、その内、2例は自然妊娠によるものだったとのこと。

このことから高用量コエンザイムQ10+ビタミンC、ビタミンEのサプリメントによる抗酸化療法は精子DNA断片化率を改善する可能性のあることがわかりました。

抗酸化サプリメントによる男性不妊患者の精子DNA断片化率の改善効果を、日本で初めて確かめた研究になりました。

■精子DNA断片化率とは?
男性の不妊検査は精液検査が一般的で、精液量や精子数、運動率、奇形率などが測定されます。ところが、それらは男性の「妊娠させる力」を直接、測定しているわけではなく、あくまで間接的なものです。

精子の数や運動能力ではなく、精子の質を、より反映するのが精子DNA断片化率です。父親の遺伝情報が含まれている精子の頭部に格納されているDNAの螺旋構造を構成する鎖がちぎれることを精子DNA断片化といい、男性が射精した精子のうちの断片化している精子の割合のことを精子DNA断片化率と呼ばれています。

もちろん、断片化率が高いほうが悪く、すなわち、妊娠させる力が低くなります。

■精子DNA断片化率と妊娠させる力の関係
精子DNA断片化率が25%以下であれば、25%以上と比較すると自然妊娠できる確率が5倍以上になるという研究報告(2)があります。

また、精子DNA断片化は、たとえ、受精してもその後の胚の質を低下させ、着床率を低下させると報告されています(3)。

そして、原因不明の習慣性流産のカップルの男性パートナーはたとえ精液所見が正常でも精子DNA断片化率が高いという研究もなされています(4)。

さらに、精液所見が正常な男性の11%が精子DNAの損傷率が高い値とされる30%以上であり、年齢が高くなるほど、その割合が高くなることもわかっています(5)。

最後に卵巣予備能の低下した女性のカップルでは男性パートナーの精子DNA断片化率がART治療成績に影響を及ぼす(6)ことも付け加えておきます。

まとめると、精子DNA断片化率が25%を超えると自然妊娠しにくくなり、もしも、受精しても胚の質が悪くなり、たとえ、妊娠しても流産する確率が高くなってしまうということ。

また、精液検査が正常でも男性の年齢が高くなると精子DNA断片化率が高くなり、女性の年齢が高くなり、卵巣機能が低くなると卵子の精子DNA損傷の修復能力が低くなるため体外受精の成績が低下するリスクが高くなるというわけです。

■精子DNA断片化を招くもの
精子DNAの断片化の主因として酸化ストレスが関与するのではないかと考えられています。

そのため、長い禁欲期間や喫煙、ストレス、精路感染、また、高温環境や精索静脈瘤も酸化ストレスを上昇させ、精子断片化を引き起こすと考えられています。

このように男性の生活習慣や疾患などが精子DNAを損傷させるのです。

■男性不妊専門医の受診
これまでの研究報告からわかるように、精液検査の結果は、あくまで、妊娠させる力についての間接的な目安であり、精子DNA断片化率が、より直接的な目安となります。

ただし、精液検査はどこでも受けることが可能ですが、精子断片化率の測定は限られた医療機関でしか受けることはできません。

精子断片化率の検査を受ける機会は限られていると言わざるを得ません。

そのため、もしも、精索静脈瘤と診断されていれば、男性不妊を専門とする泌尿器科医の診察を受け、適切な治療を受けること、また、妊活カップルにとって、質のよい精子のために、精子DNA断片化率を高めないような生活習慣を心がけることが大切です。

また、高齢のカップル、あるいは、体外受精や顕微授精で、なかなか、結果が伴なわないカップルにとっても精子も質に目を向けることが必須と考えられます。

■質のよい精子のために
最も手軽な対策は精液溜めすぎないこと、すなわち、禁欲期間を短くすることです。具体的には最低でも2、3日に1回は射精すること。

もちろん、マスターベーションでも構いません。

また、禁煙やストレスマネージメントは言うまでもありません。

そして、抗酸化サプリメントです。

今回、日本泌尿器科学会で発表された還元型コエンザイムQ10+ビタミンC、ビタミンE配合の抗酸化サプリメントは当社製のSOサポートです。

もちろん、この研究は、あくまで、摂取前後の精子DNA断片化率を測定し、比較した観察研究の結果に過ぎません。

今後もさらなる研究が必要であることは言うまでもありません。

精子は卵子に比べて、その時々の心身の状態の影響を受けやすいようです。

そのため、高齢カップルや体外受精や顕微授精を繰り返しても結果が出ないカップルの男性パートナーにとって、精液検査の結果の良し悪しにかかわらず、禁欲期間を短くし、バランスのよい食生活に適度な運動、質の高い睡眠を心がけ、その上で抗酸化サプリメントを摂取し、精子の質を悪くしないような取り組みが大切だということが言えるかと思います。


文献)
1)第106回日本泌尿器科学会 PP3-232

2)Fertil Steril. 2016; 105: 637-644.
3)Asian J Androl 2012; 14: 24-31.
4)Fertil Steril 2016; 105: 329-336.
5)Fertil Steril 2014; 101: 1588-1593.
6)Fertil Steril 2015; 103: 910-916.

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編集後記____________________________________________________________

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